高校受験…「ギリギリでも上位校」「余裕をもったランクの学校」どちらに進学するのが正解?【お笑い芸人→教師経験者がアドバイス】
ギリギリでも上位校に入学するか、余裕をもったランクの学校へ進むのか…志望校選びはいつの時代も悩みがつきません。特にその先の受験を見据えなくてはならない中学・高校受験では、その子に合った選択が重要となりそうです。
■模試の結果が芳しくない娘「ランク落としたほうがいいかな」
Nさん(40代、兵庫県、パート勤務)の高校受験を控えた中3の娘は、志望校の変更をするか悩んでいるそうです。
「志望校のランク、下げようかな…」と不安げに呟いた娘の模試の結果は、第一志望校がC判定という結果。時期的に、周囲も夏休みを経て本腰をいれてきたということでしょう。落ち込む娘に、「まだ諦める時期じゃないよ」と声をかけたNさんでしたが、少し考えることがありました。
それは、ギリギリで上位校に受かったとして、その後の高校生活では苦戦を強いられる可能性があるのではないかということ。学年順位が上がらなかったり、授業の進行に追いつけなくなるのではないかといった心配でした。もちろん娘は頑張れるタイプだと信じていますが、合わない環境で堕落してしまった話も聞かないわけではありません。
高校受験はその先に大学受験を見据えています。それならば娘が言っていたように、ひとつランクを落とした高校を受験すれば、上位をキープすることが可能でしょう。その結果、大学受験が有利になるかもしれません。ただ、学習環境としては上位校の方が優れているように感じます。
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ギリギリで上位校に入学するべきか、ランクを落として余裕をもっておくべきか。迷っている受験生は多いのではないでしょうか。保護者に聞いてみると、以下のような意見がありました。
<上位校を選んだ人の意見>
・目標があるからがんばれた
・周りのレベルが高いとやる気が出てくる。
・友達といつも大学の話になるので自然と大学の情報も入る
・常に努力が必要
上位校へ頑張って入学してよかったという人は、周囲の高いモチベーションに自分も引っ張られて努力できたという意見が多かった様子。また、元々目標がある人にとっても、集中して自分の夢に向かって努力ができたとの意見がありました。
<余裕のある学校を選んだ人の意見>
・成績上位になるので大学推薦をもらえて有利だった
・やっぱり自分が一番になるのは気分がいい
・劣等感がなくのびのびできる。
・どちらにせよ上位をキープするために努力が必要
一方で、余裕のある学校を選んだ人からは学年順位で上位をキープできたという意見も。自信が力になるタイプの子はこちらが向いているかもしれません。一方で周囲の環境に流されやすいタイプの場合は引きずられて学力が落ちてしまったという意見もありました。
■その子に合った環境を選ぶ必要がある
志望校は実際に出願するまで変更することができます。それまでにどこに照準を合わせて努力するのかが重要となるでしょう。また、上位校に無理して入学することと余裕のあるランクの学校に入学すること、どちらの選択をするべきなのか、お笑い芸人から教師に転身し、現在はコーチングの専門家として活動する坂田聖一郎さんにお話を伺いました。
ーー学力的にギリギリの上位校か余裕のある高校どちらを選べば良いのでしょうか?
そもそも進路は子どもが行きたいところに行けばいいんです。親が悩むことではありません。
結局、授業についていけるかどうか、大学進学できるかどうかなどは、入学してからでないとわかりません。そして、成績が下の方になってどうするかは、親の課題ではなく子どもの課題です。
ーー親は悩まないで、子どもが本当はどの学校に行きたいかを聞けばいいんですね。
親ができるのは、子どもの可能性を信じることだけなんですよ。
もちろん、心配する気持ちもわかります。捉え方を変えると、心配はその子を愛しているということですよね。だから、不安を感じたときこそ、親として子どもを愛しているんだなと感じてほしいのです。
進路は子どもが行きたいところに行けばいい。親はお子さんにどっちの選択をしてもあなたなら大丈夫だよと伝えてください。
◆坂田聖一郎(さかた・せいいちろう)ドラゴン教育革命代表
愛知教育大学教育学部卒業後、東京NSC9期に入学。同期だった現在「しずる」村上純とコンビを結成するも解散。愛知教育大学大学院に入学。大学院生の傍ら、定時制高校で非常勤講師として国語を教える。卒業後、愛知県豊田市の正規教員として小中学校に勤務。2020年7月には「株式会社ドラゴン教育革命」代表取締役に就任。2022年「ままためコーチング塾」をスタート。
(まいどなニュース特約・わたなべ こうめ)