冬の河原で油まみれだった子猫「ウチ来るか?」「ニャー」かくれんぼ大好きなおてんば娘
ムギちゃん(4歳・メス)は、2020年11月、山梨県在住のFさんに保護された。ムギちゃんの物語は、寒い日の河川での仕事中に始まった。
寒くて風の冷たい日。Fさんは河原で仕事をしていた。その時、草むらから子猫の鳴き声が聞こえ、Fさんは何かが近づいてくると感じた。すぐに「あっ、来たな」と思い、鳴き声を辿ると、キジトラ模様の子猫が現れたという。
「保護した先住猫もキジトラだったので、またキジトラだーって、思いました(笑)子猫はとても汚れており、毛並みも油のような物質でカピカピに固まっていました。場所は河川敷で、幹線道路も近く、危険な場所でした。」
子猫に「おい、家に来るか?」と問いかけると、「ニャー」と返事をした。Fさんは「じゃ、仕事が終わるまでここで待っていてくれ」と伝え、仕事を続けた。子猫はじーっと体を丸め、動くことなくずっと待っていてくれた。その子がムギちゃんだった。
「2015年に保護したチビちゃんも同じ様なシュチュエーションで出会ったので、こんなことが続くなんて、これは『家に連れていきなさい』という神様からのお告げだと思いました。次に僕の前に現れる子が居たら、また連れて帰ります(笑)」
■2匹になって癒やしも2倍
仕事が終わり、Fさんは近くのスーパーで段ボールを手に入れ、子猫を自宅に連れて帰った。会社に戻らなければならなかったため、子猫を自宅に置いて、「しばらくそこに居てよ」と言い残して会社に戻った。
「仕事を終えて帰宅すると、家族には何も言っていなかったため、みんな驚いていました。でも、『今日から家の子だよ』と伝えると、みんな嬉しそうな顔をしていました。」
その後、一家は動物病院へ直行し、子猫の体をきれいにしてもらい、健康診断を受けさせた。汚れていたが健康だったという。その場で名前は「ムギ」と決まった。Fさんの家には、先住猫のチビちゃんがいたので、姉妹が誕生した瞬間だった。
先住猫のチビちゃんがいたので、ムギちゃんは最初は隔離されていたが、すぐに家族の一員として受け入れられ、おてんばな性格を発揮した。冒険と探検が大好きで、一人の時間を楽しむことも好きなようだ。色んな所に入り込んだり、かくれんぼしたりするので、時には家族がムギちゃんを探し回ることもある。すると、涼しい顔したムーちゃんが現れて、「お腹すいた~」とご飯食べるので笑いが絶えないという。
「家に帰ると必ずチーちゃん&ムーちゃんがお迎えしてくれるので、癒やしも2倍になって、とても幸せな時間をみんな過ごしています。チーちゃん、ムーちゃんとの出会いで家族のみんなは小さな命を大切にしなければならないってことを学んだし、最後まで責任を持つって覚悟も共有しました。これからもこの気持ちを大切にしていきたいと思います。」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)