15歳の年輩猫を保護、家に慣れず徘徊や夜泣き 今はすっかりくつろいで「疾患が色々あって大変、でも寝姿で苦労が吹き飛ぶ!」

■高齢の地域猫

響子(キョン)ちゃん(16歳・メス)は、15歳の時に東京都在住のIさんに保護されて迎え入れられた。

キョンちゃんとIさんの出会いは、友人が2022年2月末に都内のある神社にいる可愛い地域猫についてインスタグラムで情報をシェアしたことから始まった。それを見たIさんは、一刻も早く会いたいという衝動に駆られ、神社に向かった。

「運良くキョンちゃんに会うことができ、手からちゅーるを食べてくれました。その時、私はキョンちゃんに家族になってもらおうと思いました。しかし、その日はキョンちゃんを捕獲できず、家に帰りました」

Iさんは友人に、キョンちゃんがどこに出入りしているか、他の人に触れているかなどの情報を調べてもらった。その結果、キョンちゃんが特定の会社の事業所に出入りしていることが分かった。

「社長とその家族がキョンちゃんを地域猫として世話していて、避妊手術も行っていました。しかし、社長が猫アレルギーのため、キョンちゃんを屋内で保護できないという事情があったのです。そこで、2022年の3月上旬、社長にキョンちゃんの保護を申し出ました」

社長は、「15歳のおばあちゃんなのですぐ介護や看取りになるかも」と言った。しかしIさんは、キョンちゃんが濡れたまま外にいる姿を見て、彼女にどうしても家の中で快適な余生を送ってほしいと思い、保護を決意した。

「人間のエゴかもと悩みましたが、これから来るであろう猛暑のことを考えると保護せねばと思いました」

■余生をゆったり過ごす

キョンちゃんは家に連れて来られた当初、15年間外で生活していたため、1LDKの部屋に適応するのに苦労し、徘徊や夜泣きが頻繁にした。Iさんは彼女に同情し、10日くらいは「ごめんね~」と泣きながら共に過ごした。

キョンちゃんの名前「響子ちゃん」は、以前世話をしていた人が呼んでいた名前だ。Iさんはこの名前を尊重し、キョンちゃんと呼び続けている。

キョンちゃんは外で長く生活してきたため、貫禄がある。彼女は先住の若い猫にも物怖じせず、時には「シャーッッッ」の一声で遠ざける。若い猫のお気に入りの場所をどんどん自分のものにするので、先住猫の方がびっくりしていた。今ではちゃんとテリトリーが決まっているそうだ。 

保護当初は顎周りなど触らせてはくれなかったが、今では顎やお腹も触らせてくれるし、 保護して半年経つと一緒のベッドで寝てくれるようになったという。

「家に来た時から腎臓病ステージ4で、2023年の2月末に数値が悪化して5日間入院しました。かかりつけの先生も『ターミナルケアを考えましょう』とまで話をしていましたが、奇跡的に回復し、元気を取り戻しました。腎臓病だったり便秘持ちだったり、色々な疾患があってお世話が大変だと思う時もありますが、ゆったり気持ち良さそうに寝ている姿を見ると、その苦労は吹き飛んでしまいます」

Iさんはキョンちゃんとの出会いを通じて、猫たちへの深い愛情と保護活動への情熱を育んだ。

「猫ちゃんへの投薬など初めてでしたが、こなしてくうちに上手になり、『私には猫の面倒をみる才能があるのかもしれない』と思うようになりました。キョンちゃんと出会えた事でお外で過酷な生活をしている子たちがたくさんいるということを肌で感じたので、近い将来、保護猫活動をしたいと思っています」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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