「殺される。時間の問題だ」イスラエルでテロに遭った日本人DJ 車銃撃され「走って逃げろ」 深刻な後遺症明かす

イスラエルの音楽フェスティバルで、武装組織ハマスの急襲に見舞われたDJ MASAYAさんが10月17日夜、YouTubeで決死の脱出劇を振り返った。避難する車を撃たれ、ハマスの銃撃で次々と倒れていく人々を目にし、「殺される。時間の問題だなと思った」と一時は死を覚悟したと振り返った。

また、帰国後は生活音に異常に敏感になり、本業の音楽が聴けなくなる深刻な後遺症が出ていることを明かし、「時間をかけて治していくしかない」と話した。

(注意:この記事にはつらい内容の描写が含まれています)

DJ MASAYAさんは10月5日にイスラエル入りし、6日はビーチでハンバーガーを食べるなどリラックスしてイスラエル滞在を楽しんでいたという。6日深夜にクラブパーティーでDJを務め、その後、ハマスに数百人が殺害されることになる音楽フェスティバルでDJを務めるため会場入りした。

事態が急変したのは7日午前6時半ごろ。「『伏せろ!』と言われてバッと伏せて、マジで何事かわかんなくて」と訳が分からないまま10分ほど伏せていると、「ゴーゴーゴーゴーゴー!(逃げろ逃げろ!)」と言われて自身の担当ドライバーがいる車の助手席に乗り込んだ。「そん時はまだテロリストがいるとは思わなかったですよ」とハマスに急襲されているとは思わなかった。

早く会場から脱出できたが、車が銃撃された。助手席の自身とドライバーの間に銃弾が「バーン!」と当たり、「後ろ見たら(銃弾が)シートを貫通してて、速攻しゃがんで、ドライバーもシートに沈み込んだ状態でUターンして、ガソリンスタンドに逃げ込んだ」と緊迫した状況を振り返る。

ガソリンスタンドには他の人たちも避難しており、頭から血を流した子どももいたという。DJ MASAYAさんは防犯カメラの映像を見られる屋内の部屋に入り、防犯カメラのモニターで撃たれて倒れていく人々を見た。「自分もう殺されるだろうなと思って、これは時間の問題だなって思って、『これが最後の電話だから』って大切な人に電話したりとかして」と死を覚悟した。

約30分後、イスラエル軍とみられる部隊の2人が来てテロリストを撃退し、最大の危機は逃れたが、「住宅街が避難場所になってるから、そこまで走って逃げろ」と指示され、交戦中に登り坂を全力疾走で駆けたという。「後ろはもうテロリストと(イスラエル軍)の銃撃戦があって、なんとか避難場所に逃げれた」。その後、約12時間、空はミサイルとロケットが飛び交い、周辺ではテロリストとイスラエル軍の銃撃戦の音が鳴り響き、避難のサイレンが鳴るたびに窓のない一番奥の部屋に逃げ込んだという。避難所では「友達が殺された」という報告を受けて泣き崩れる人もいた。

ハマス急襲から半日たった午後6時ごろ、イスラエル軍から「テロリストがいなくなったから、逃げるなら今のうちだよ」と勧められた。DJ MASAYAさんが乗っていた車はガソリンスタンドに乗り捨てていたが、担当ドライバーの友人が「席空いてるから車に乗りな」と声をかけてくれて、友人の車でテルアビブ方面へ移動した。道路の反対車線はイスラエル軍の戦車が列をなして戦場へ向かっており、「本当にこれ現実なのかな」と感じたという。テルアビブへの移動中もサイレンが鳴れば、降車して避難を余儀なくされた。

テルアビブに戻ってからも、なかなか帰国便が取れず、ホテルではサイレンが鳴るたびに非常階段に人々が不安そうな表情で集まった。

10月11日にようやくチケットを確保した帰国便で日本に戻った。「今まで数え切れない国でDJやってきたけど、まさか戦争に巻き込まれるとは思いもしなかった」

帰国後はテロによる後遺症に悩まされている。「近所の音とか、音にものすごく敏感になっちゃって、すごく生きづらい状態」。病院に行ったが、医師から「こればかりは時間をかけて治すしかない」と言われ、完治には時間がかかるという。

「精神的なケアをどうやっていこう」って感じですね。家ではワイヤレスイヤホンAirPodsのノイズキャンセリング機能で極力、生活音などを耳に入れないようにしており、自身がDJを務める音楽・サイケデリックトランスが「今聞けない状態」と本業に差し支える状況だと明かした。「今月はDJのオファーがないので、ゆっくり治して精神的なケアをしていきたい」と話していました。

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