「これ持って満員電車乗っていいですか?」コントラバスのハードケース、その規格外のサイズ感が話題 「移動にも気を遣う」「優先車両があれば」

「コントラバスをソフトケースに入れていたが、電車内でそれにぶつかってきた人がいて破損した」…そうしたSNSでの投稿に、「ハードケースを使えばいいのでは」という意見が見受けられたという。

そのやり取りを見たコントラバス奏者でドイツで修行している石塚 廉 / Ren Ishizuka(@Kontrabass_Ren)さんは、

「コントラバスがぶつけられて壊れたという話が盛り上がっていて、『ハードケース使えばいいのでは?』との意見も見られます。それではご覧ください。ハードケースより少し小さいセミハードケース(合計25kg)で楽器を運んでいる図です。ねぇ、これ持って満員電車乗っていいですか?」

と、X(旧ツイッター)に画像を投稿した。

電車の天井に届かんばかりのセミハードケース。横幅もあって、窓は半分塞がれている。

画像を見た人からは、

「カルロスゴーン氏が隠れてるんじゃなかろうかと思えるサイズですね」

「音楽を楽しませてもらってる立場なので、いつも素敵な演奏ありがとうございます。移動にもとても気を遣って大変な思いをなさっているのですね…賛否両論ありますが、皆様の温かいご理解が得られると良いです…これからも頑張ってください」

「コントラバスではありませんが、サーフボードや長い弓のような物を縦にして持って前の座席に座られ、スマホに夢中でしっかり抑えていないので、急ブレーキかかる度と怖いと思いました」

「サイクリング用の車両もあることですし、そういう大きい、大事、宝物たちの優先車両を作って欲しいですね。そこにベビーカーやお子たち、ちょっと騒いじゃうかたたち専用の車両も加えて、平和列車運行を求めます」

など、賛否両論たくさんのリプライがあり、「いいね」は4.9万件にもなりました。

石塚 廉 / Ren Ishizukaさんにお話を伺いました。

ーーラッシュ時には乗車しないなど気を遣われているのですね。

「運搬に際して苦慮するのは、『なるべく他人の迷惑にならない』と『自分の楽器を守る』の2点です。特にコントラバスのような大型楽器はその大きさ故に多くのスペースを潰します。電車の中では車椅子用のスペースや扉付近のスペースにいることが多いですが、必要とされている方や乗降される方の邪魔になりますから、かなり気を遣います。また、衝撃で破損するような事態にもなりますので他人の邪魔にならない状態であっても油断はできません。特に混雑する時間帯の電車や施設では両方に気を遣わなければならないので、どうしても必要でない限り、その時間帯は運搬しないようにしています」

ーー持ち込める楽器の基準は鉄道会社によって異なるのでしょうか。

「異なる、というか明確ではありません。それが、『あのサイズは規則に載っていない』『やはり車で運ぶべき』と主張される方とのきしみの原因にもなっています。根本的な解決法は、ルールや制度を明確化することだと考えてます。現在、鉄道会社の運送約款には、コントラバスのような大型楽器の持ち込みに関して明確には記載されていませんが、楽器は『問題なく持ち込みできる』と記載されているところもあります。私個人としてはこのような記載のねじれをなくし、明確化することがきしみを減らすことに繋がると考えています」

ーー楽器は商売道具でもありますが、皆さん、保険には加入されているのでしょうか。

「まず、私は楽器が壊されたら『必ず補償されるべき』とは考えていません。車の事故と同じで双方の過失が原因の場合もあるからです。もちろん故意に破損された場合は、賠償請求するのは問題ないと思います。また、楽器は家財保険・動産保険として保険に加入できます。ピアノなど普段は家から持ち出さない楽器に対しては家財保険、普段から外に持ち運びする楽器には動産保険が適用されるかと思います。これらの保険は国内での災害、盗難、運送中の破損等色々な事態に対応しています。しかし、多くの演奏家がそのような保険に加入していないのが現状かと思います。この際、演奏家の方は加入を検討してみてもいいかもしれません」

今回、石塚 廉 / Ren IshizukaさんがXに投稿するきっかけにもなった、コントラバス破損事件。破損した人はそのまま立ち去ったそうです。人のことを思いやる気持ちを忘れずにいたいですね。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

関連ニュース

ライフ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス