「施設はラブホじゃない」高齢者施設で入所者同士の性行為 介護福祉士「ケガや死亡事故となったら…誰が責任を?」
「私の嫌いな仕事を言います。
施設で。70代のおばあさんが、年上のおじいさんを、自分の部屋へ招き入れて、ことに及ばれた時に、そのできごとのソレをそれぞれの子供さんに報告しないといけないことです。
施設はラブホじゃないし、一応プライベート空間だけれど、ちゃんと規約に書いてある。退去になるかもって。
だから、子どもに報告は気が重い。
おばあさんは開き直って
『どっちも独身だからいいじゃない、
なにガキみたいなこと言ってるの?』
とか言うけど、いい歳したおばあさんが、利用規約ぐらい守ってくれ。仕事増やすな。と言いたいワタシです。
あぁ、また愚痴が止まらない。
優しいあなた、私の愚痴を読んでくれて、ありがとうごさいました。」
高齢者施設で起きた入所者同士の性行為について嘆く介護福祉士の投稿が、X(旧Twitter)で話題になりました。
投稿したのは、介護福祉士のこずえさん(@kozukozu1017)。働いている高齢者施設で、入居する70代のおばあさんが年上のおじいさんを自分の部屋に招き入れ性行為に及んだとか。その出来事を双方の家族に報告しなければならないことに「気が重い」と嘆きました。
こうした施設における高齢者同士の性行為は、行為の最中や行為の後に施設内でけがをしてしまったり、体調不良になったりする場合もあるとのこと。また利用規約の中の「迷惑行為」や「他の入居者に危害を及ぼす不適切な行為」とみなされ退去になる可能性もあり、また施設への責任を問われるケースもあるため、家族への報告が義務付けられる事案だといいます。
■「分別ある大人として利用規約は守って頂きたい」
「やはりそこはラブホではなく施設ですから、分別ある大人として利用規約は守って頂きたいですよね」
「私が働いている施設でもありました 同意の上だったら良いじゃないか?と言う職員もいましたが…きちんと説明したみたいです。」
「難しい問題ですよね。公共の場、宿泊施設ではなく、療養を兼ねた施設ですものね。
お互いのご家族も、受け取り方は様々であることは想像に難くないですね。
男子校女子校みたいに、施設棟を分けるような工夫なども必要なのでしょうね。わたしが以前研修で訪れたところは、男女同じ棟でした。。」
「施設だし…大変。難しいこと。ただ、恋愛感情があるのは、幸せに繋がるからステキだなとかも思ってしまう。99歳で亡くなった曽祖母の好きなタイプは“年上”って聞いた時の感じ」
投稿には、さまざまなコメントが寄せられています。今回施設で起きたという入所者同士の性行為。介護職員としての意見や対応などを、こずえさんにお話を聞きました。
■北海道の特養で性的暴行事件も…入居者同士の性行為への対応に苦慮
──今回の入所者同士の性行為について投稿しようと思われた理由をお聞かせください。
「先日のニュースで100歳の方が、70代の方に無理やり性交渉されて、死亡される事件があったことがきっかけです」
──9月9日、北海道の特別養護老人ホームに入所する79歳の男が100歳を超える寝たきりの女性に性的暴行を加えて逮捕された事件ですね。こずえさんが働く施設内で起きたのは双方が同意のもとでの性行為とのこと。とはいえ、利用規約違反であるとともにけがをする可能性もあり、場合によっては命に関わる危険な行為だと…これまでに同様の事例でトラブルがあったことは?
「行為の最中に内出血したりけがをしたのに、夜間転倒したと言い出されることがありました。また、女性の膣が傷ついて出血されて受診するといったケースもありました」
──またおじいさんを部屋に招き入れたおばあさんは、こずえさんが注意をされた際に開き直っていたとか。
「お互いに独身なのに、何が問題があるのか?との話でした。でも持病があったり双方医師から激しい運動をとめられている点や、薬を服用している点、健康問題を一番に心配しましたが、なかなか聞いてくださいませんでした…」
■入居者の性行為について、家族にも報告義務 施設の責任を問われる問題に発展するケースも
──今回のような居室で起こったことは、入居者のご家族に報告しなければならないそうですね。
「はい。まず1つが、日にちが経ってから内出血やケガ、筋肉疲労による痛みが出た場合、こういうことがあったと報告していなければ事故の隠蔽や虐待を疑われます。またあくまで個室はプライベートな空間ですが、個人間でのトラブルになった場合、ご家族から保護や観察を怠ったのではないのか?と言われるケースが多いので報告の義務があります。施設の規定にあるような、他の入居者へのケガを負わせる行為になりかねないし、その場合、自己責任とばかりはいえませんので」
──入居者同士の性行為について、介護職員としての意見や対応をお聞かせください。
「高齢者の性、性欲、精力などについてはまだまだ、タブーにされがちです。でも事件になった時のリスクは多大です。気持ちはいつまでも、若くても、さまざまな身体的な疾患や精神的な疾患、認知症があるから施設での生活を送っておられる方が多い。性行為自体は個人の自由で、施設はそれを侵害するべきではない、との意見も十分分かります。でも妊娠させた時、責任は誰が負うのか?と同じように、けがをさせたり万が一死亡事故になった場合、誰が責任を負うのか?その議論がなされなくてはなりません。人権や自由も大切だけれど、健康問題の方がより大切だということを分かって欲しいと思って投稿しました。『死ぬまでセックス』と言われて久しいですが、本当にセックスして亡くなったら、残された人たちは大変だと思います」
介護の仕事に携わるこずえさんは「介護のリアル」を伝えるため、SNS(X)にさまざまな介護に関連するエピソードを投稿されています。
(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)