コンタクトを入れて失神!?「娘さんが倒れました!」と眼科から突然の連絡 緊張やストレスが原因の「迷走神経反射」とは

Aさん(40代、主婦)の大学生の娘が、「コンタクトレンズを入れたい」と言い出しました。小学校の時から視力が悪く、今までは「眼鏡っ子」でしたが、大好きなアーティストのコンサートに当選し、「眼鏡だと飛び跳ねられない!」からコンタクトに変えたい、というのです。

すでに成人している娘さんなので、一人で近所の眼科に行ったのですが、しばらくすると、眼科の看護師さんから電話がかかってきたそうです。

「あの~、娘さんが倒れまして…」

「…え~っ?!」

眼科でコンタクトを入れる練習をしている時に、失神したらしく…。娘さんに何があったのでしょうか?

■急いで眼科にかけつけた母…「迷走神経反射」ってなに?

Aさんが急いで眼科にかけつけると、娘さんは奥のベッドで横になっていました。少しボーっとしているものの、「えへへ…」と照れくさそうにしていたそうです。看護師さんからは、「迷走神経反射だと思います~。たまにいるんですよ~」と慣れた感じで対応されました。

「迷走神経反射って??」となり尋ねてみると、「強いストレスがきっかけで、心拍数が下がって血圧が下がり、失神する状態」だそうです。急激に心拍数や血圧が下がると、脳へ流れる血液の量が減ってしまい、意識を失うことがある、ということでした。緊張や痛みなどのストレスが原因だといいます。

後遺症などはないとされており、横になって休んでいれば治る症状です。最近では、新型コロナワクチンの接種で失神するケースの原因としても知られており、厚生労働省のホームページでも「倒れるときにケガをしないように注意しましょう」と、呼びかけています。

※参考:厚生労働省「新型コロナワクチン Q&A」より

■そういえば目薬が苦手だった娘…失神するほどだったとは(汗)

初めてコンタクトレンズを購入するときは、眼科を受診して処方箋をもらう必要があります。

問診や視力検査などの診察を受けて、コンタクトレンズを装用できると診断してもらい、レンズの種類を決めたり、度数の調整を行います。

ここまでは割りと順調に進んだAさんの娘さんでしたが、失神したのは、看護師さんと一緒に装用練習をしていたときだったそうです。

「割と」というのは、実は娘さんは「目」に関することが昔から苦手でした。

「目薬」をさすときも、目を固く閉じてしまい、まともにさすことができなかったそうです。そのため、検査をするのも、ちょっと緊張していたらしいのです。

本人も「自分でも、そこまで苦手だという自覚はなかった」と言います。片目は「すごくガマンして」看護師さんにコンタクトレンズを入れてもらい、次はもう片方の目に…、というところで、気づけば椅子から倒れて横になっていたと…。自分でも倒れた記憶はなく、「あれ?どうして横になってるの?」と思ったそうです。

■「自分の人生、コンタクトは入れられないのか…」また起こる可能性もある?

人によって個人差はあるものの、今後も同じ状態になれば、また同じように失神することがあるそうです。今回は、低い椅子から崩れるように倒れたようで、頭を打つようなことはありませんでした。眼科の看護師さんからは「念のため、他の病気がないか、循環器内科を受診して検査したらいいですよ」とアドバイスしてもらいました。

その後、循環器内科で症状を説明し、装置を胸部に取り付け、24時間の心電図を記録する検査を行いました。特に異常はなく、「やはり、迷走神経反射のようですね」と診断されました。「今後、年を重ねるうちに恐怖心が落ち着いてコンタクトレンズを入れられるようになるかもしれないけれど、まあ、しばらくは諦めた方がいいかもね」と言われたそうです。

さすがに今回のコンサートではコンタクトレンズは諦めてはいましたが、「コンタクトはもう入れられないのか…」とショックを受けていた娘さん。「私は一生眼鏡っ子かぁ」とぼやいていたそうですが、Aさんは、「もう倒れるのは、勘弁してほしい」と言っていました。

■さまざまな「迷走神経反射」のタイプがあるらしい…予防のためにできることは?

循環器内科の先生から聞いた話によると、「迷走神経反射」にはいろいろなタイプがあるそうです。

新型コロナワクチンに限らず、「注射が苦手で倒れてしまう」という人や、「下痢や便秘で強くいきむことで失神する」という人もいるそう。長い朝礼で倒れる子などは、「迷走神経反射」が原因の場合もあるようです。

予防としてできることは、疲労や寝不足に気を付けること。「血の気が引く」「冷汗が出る」「視界が暗くなる」などの症状があらわれたら、しゃがんだり横になったりすること。手や足を動かして血流を改善することなどもいいそうです。

Aさんは、「倒れたと聞いてびっくりした。初めて聞く症状だったけれど、悪い病気じゃやなくて良かった」と言います。「体質のようなものだと考えて、自分自身で気をつけるようにさせないと」と、娘さんに話をしているそうです。

※本文を一部変更しました(10月21日7時56分)

(大田 亜由美/ファイナンシャルプランナー・整理収納アドバイザー・防災士)

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