「追い越し禁止」と“間違えやすい”道路標識…この標識だけの時の「本当の意味」知っていますか?
青い2つの矢印と禁止マークが描かれた道路標識。クルマを運転していてよく見かけるものの一つですが、みなさんは標識の意味を正しく答えられますか? 追い越し禁止のマークのように見えますが、実は、この標識のみ掲げられている場合は「追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止」という意味になります。間違えやすい標識について、おさらいしましょう。
■道路交通法で定義された「追い越し」
標識についておさらいする前に、「追い越し」の定義を再確認しましょう。道路交通法では、以下のように定められています。
◇ ◇
▽道路交通法第2条の21
車両が他の車両等に追い付いた場合において、その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し、かつ、当該車両等の前方に出ることをいう。
◇ ◇
「その進路を変えてその追い付いた車両等の側方を通過し」という表現があるように、「もともとそのクルマの後ろを走っていたが、追いついたので右側に出て、そのクルマを通り過ぎる」というのが追い越しの定義です。
(※クルマの左側からの追い越しは原則として禁止されていますので、進路を変えるということは右側に出ることになります)
それに対して、「前を走るクルマの横の車線・エリアを走っており、進路を変えることなく横を通り過ぎること」を「追い抜き」と呼んでいます。道路交通法に定義されているわけではありませんが、一般的に先述の「追い越し」と言葉が使い分けられています。
■追い越し禁止違反の違反点数と反則金
追い越し禁止に違反した場合、以下のように違反点数と反則金が科されます。
【反則金】
大型車:12000円、普通車:9000円
【違反点数】
2点
交通量が多かったり見通しが悪かったりする道では、追い越しは事故の原因にもなりやすいです。追い越しを禁止されていないところでも気を付けるようにしましょう。
■追い越し禁止の標識
さて、「追い越し禁止」の標識は、以下の3つが大きな特徴です。
・右側に長い矢印、左側に短い矢印
・禁止の意味を表す斜めの赤線と赤い縁取り
・標識の下に「追越し禁止」と書かれた補助標識が設置されている
この標識が出ている場合、たとえ前のクルマが左に寄って道を譲ってくれたとしても、追い越しが認められていません。
ところが、標識の下に「追越し禁止」と書かれた補助標識が設置されておらず、標識が単体で設置されている場合は、少し意味が変わります。
■補助標識なしだと…右側にはみ出さなければ追い越し可能に
この禁止マークが描かれた標識単体では「追い越しのための右側部分はみ出し通行禁止」という意味となります。
この場合は「右側にはみ出しての追い越しは禁止」という意味になります。補助標識がなければ、前のクルマが左に寄って道を譲ってくれるなど、道路のセンターラインを越えない範囲での追い越しは認められています。
■標識がなくても追い越し禁止の場所も
追い越し禁止の標識がなくても、以下のような「見通しが悪い場所」や「衝突や接触のリスクが高い場所」では追い越しが禁止されています。
・道路の曲がり角付近
・上り坂の頂上付近
・勾配の急な下り坂
・トンネル(※車両通行帯がある場合を除く)
・交差点とその手前から30m以内の場所(※優先道路を走行している場合を除く)
・踏切とその手前から30m以内の場所
・横断歩道とその手前から30m以内の場所
・自転車横断帯とその手前から30m以内の場所
またセンターラインが黄色や白の実線の場合、その実線を超えて走行することは認められていません。追い越しそのものは認められていますが、センターラインを越えない範囲でなければなりません。
(まいどなニュース/norico)