「お猫様専用ミニ畳」爆誕 猫のお昼寝や爪とぎに!いぐさの香りに猫の反応も上々
熊本県産いぐさを用いた「お猫様専用ミニ畳」(50センチ×25センチ)が猫好きの間で注目を浴びそうだ。猫がちょうど寝そべることのできる大きさで、持ち運びや収納も簡単。爪とぎ用にも使うことができる。開発したのは日本の伝統工芸商品を扱う通販会社「貴香」(熊本市、代表・西村沙貴さん)。企画に携わった同社の森香奈さん(26)は「畳の原料となる国内のいぐさ生産量は年々減っています。暮らしの中に畳を取り入れていただくことで、畳のよさや魅力を身近に感じてもらえたら」と話す。
森さんは現在、自宅でルイ、ぷー、マリーの3匹を飼っている。ある日、森さんの母親が知人から30センチ×40センチの小さな畳を「猫の爪とぎ用に」ともらってきた。リビングに置いてみると、3匹の中でも好奇心旺盛なルイが一番に反応を示した。
「畳を見てすぐに駆け寄ってきまして(笑)。いぐさの匂いって猫は好きなのか、クンクン嗅ぐやいなや、畳の上に寝転んだり毛繕いをしたり。『これは自分のものだ』という感じでしばらく離れなれなかったんです。そのうちぷーも寄ってきて、気持ちよさそうに座っていました」(森さん)
実は森さん宅には畳の和室があるのだが、猫たちは出入り禁止にしていた。というのも、過去に猫が爪とぎをして畳をボロボロにしてしまったことがあり、それ以来、猫たちは和室に入れないようしていた。
「母がその小さい畳をもらってきて、ルイが気に入っているのを見てひらめいたんです。猫がくつろげるほどの大きさのミニ畳を商品化すれば、畳の部屋がない家に住んでいる猫飼いの方でも、暮らしに畳を手軽に取り入れることができます。猫と畳の相性って実はいいですからね。爪とぎもこれですればいいですし」と森さん。そこで西村さんと一緒に熊本県内の畳職人を訪ねたところ快諾。商品化することが決まった。
特徴は主に4つある。まず、すべり止めがついているため、フローリングの床に置いても滑らない。畳は四季を通じて優れた断熱効果があり、夏はひんやり、冬はあたたかく、猫が寝転んでも快適だ。猫が爪をとぐ場合、爪がひっかかりやすいため、思い切り爪とぎができてストレス軽減にもつながる。コンパクトサイズなので移動、収納にも困らない。森さんの自宅では3匹ともこのミニ畳がお気に入りだという。
8月から9月にかけて、同社はクラウドファンディングに挑戦。当初目標金額の12万円を達成し、期日までに20万6千円が集まった。現在は、熊本県八代市内の畳職人に製造を委託し、11月末の本格販売に向け準備中。10月半ばからは予約受付を始めた。
「いまは畳の和室がある住宅が少なくなり、需要減に伴って国内のいぐさ農家さんも減り続けているのが現状です。私の熊本の親戚にもいぐさ農家がいて、80歳を超えた夫婦と息子さんの3人で栽培をしていますが、周囲の農家はどんどんやめていき『自分たちもいつまで続けられるか』と漏らしていました。この商品を通じて、畳という日本の誇るべき伝統文化を新しい形で取り入れていただき、畳の良さや魅力を身近に感じてもらえたら」と森さんは期待を込めた。
(まいどなニュース特約・西松 宏)