捨て猫きょうだいが病気の長女を癒やし、立ち直るきっかけをくれた 育児放棄された2匹を同時に引き取った家族に訪れた幸せ

■育児放棄された子猫たち

もずくくん(1歳11カ月・オス)とこんぶちゃん(1歳11カ月・メス)は、2021年10月8日、生後16日の時に広島県在住のOさんに保護された。

「ある方の駐車場で生まれ、1週間後に母猫が帰って来なくなりました。発見時、へその緒はなかったけれど、まだ目も開いていないような状態で、こんぶ160g、もずく147gでした。もずくは低体温で鳴くこともなかったようです。駐車場の持ち主は、慌てて温めて授乳を始めてくれました。その方の家には犬がいて飼えないので、その後、里親募集されました」

Oさんは、SNSで乳飲み子猫を拾った人の投稿を見て、少しずつ大きくなる姿に癒されていた。

「うちも迎えたいな…と日々思うようになっていました。ただ、先住ウサギがいたので、できるなら子猫で、小さいうちから触れ合って、仲良くしてほしいと考えていました」

■1匹だけのつもりが…

その頃、Oさんの長女は起立性調節障害という病気で学校にも通えなくなって辛い思いをしていたので、癒してもらいたい気持ちもあった。

「もし捨て猫がいたり里親募集があったりしたら迎えようと、ゆるく子猫を探す事にしました。しばらく経って目に留まったのがもずくとこんぶでした」

子供たちとは二つ約束をした。

「命を迎えるのはその子の一生を背負うこと。お金の面も重要なことだから、猫を飼うことで何がどのくらいかかるのかを調べて考えること。子猫を迎えても、先住ウサギを一番優先してあげること、でした」

娘たちは調べてちゃんとプレゼンした。先住ウサギを大事にすることも約束した。最初は1匹しか飼うことを考えておらず、どちらの子を迎えに行くか相談していたが、普段はあまりわがままを言わない次女に、「なんで片方しかダメなん?あの子たちは、お母さんにももう二度と会えないのにきょうだいも離れ離れになるん?もう私は誕生日もクリスマスもプレゼントはいらんから、2匹一緒に飼いたい」と言われた。

Oさん夫妻は、正直2匹は考えてなかったので少し困った。家族会議をして、猫飼い先輩の方々にも相談。「2匹だったら2匹で遊んでくれるし、手間が2倍に増えるわけじゃないよ!」と背中を押してもらい、2匹とも迎えることにしたそうだ。

■2匹一緒に迎えて良かった

保護主は、母猫がその上で出産したであろう毛布もくれた。そのせいか子猫たちは特に不安がる様子もなく、初日からミルクを沢山飲んだ。

名前は、三姉妹が相談して、先住ウサギが「もなか」なので、和風の食べ物の名前が良いということになった。

もずくくんはちょっとおっちょこちょいな甘えん坊。抱っこはあまり好きではない。抱っこをさせてくれるが、すぐ「ミー!(おろせー!)」と抗議する。しかし、娘たちが悲しいことがあって泣いていると、そっとそばに寄って来て、その時は抱っこさせてくれる。

「心配そうな顔で、ずっと黙って泣き終わるまで抱っこさせてくれるんです。本当に優しい子です。一方、こんぶは気まぐれお姫様です。多分、本当に自分のことを姫だと思ってるんじゃないかと思うくらい、自分が甘えたい時には私たちやもずくにも甘えまくります」

長女が病気で、家族も心から色々楽しめる状態ではない時に2匹を迎えたが、夜中の授乳等を長女が率先してしてくれた。長女も少し自信がつき、日々癒されることで精神的には元気になった。末っ子も妹と弟ができたようで、猫たちに「2階に上がるの一人では怖いからついてきてよ」と声かける。もずくくんもこんぶちゃんも走ってお供するという。

「次女の希望通り、2匹を一緒に迎えて良かったです。多分、2匹とも母猫との別れは悲しかったかもしれないけど、ずっとべったり一緒なので不安ではなかったと思います。でも、次女はしっかり約束通りにウサギのもなかを最優先しています。三姉妹で良い感じでバランスを取っていると思います。二匹が来てくれたおかげで家族全体が明るくなりました」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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