不登校に様々なケースがある中で…「驚異の成功率」で改善する画期的なメソッド 29歳社長が手掛ける支援サービス

いまや小中高の不登校児童生徒は29万人とワーストを更新している。学校に通うことがすべてではないとはいえ、支援は必要不可欠。実際、再登校に導くサービスで成果を出している株式会社「スダチ」(東京都渋谷区)への問い合わせも増えている。完全オンラインで驚異的な成功率を上げているメソッドとは。29歳の小川涼太郎代表に聞いた。

■不登校は10年連続増加

文科省によると、令和4年度に小中学校で300日以上欠席した不登校の児童生徒数は29万9048人を数えた。前年度から5万4千人あまり増え、これで10年連続の増加。過去最多を更新している。

背景としてはコロナ禍による子どもの生活リズムの乱れや近年、フリースクールなどの多様化が進み、無理に学校に行かなくてもと考える保護者が増えたことが要因に挙げられる。そんななか、ユニークなメソッドを使って再登校を促す支援サービスを提供し、不登校に歯止めをかけようと奮闘しているのが「スダチ」だ。

「世の中を良くするにはまずは教育から」との思いで2019年設立。その1年後の2020年7月から脳科学と発達心理学からなるメソッド「3週間で不登校を解決するプログラム」を展開し、これまでの累計で620人の子どもを再登校に導いている。

様々な問題を抱える不登校の現状を考えると、にわかに信じ難い実績だが、代表の小川涼太郎さんによると「スダチでは朝から放課後まで元のクラスに登校した日が2日続くことを再登校と定義しており、さみだれ登校や保健室登校、午後からの登校などは再登校に含めていません。成功率は90%」とのことだ。

■”黒歴史”は成功へのステップ

ではなぜ、そこまで高い成功率を上げられるのか。大きな特徴は完全オンラインで不登校の子どもとは一切会わないことだ。アプローチするのは保護者のみ。そこには”黒歴史”から学んだ教訓もあった。

大学卒業後、コンサルタント会社に就職した小川さん。自身は不登校の経験はなかったものの、ボランティア活動を通して、ゲーム依存症の子どものメンタルフレンドに。その子とは小5から高1まで5年間も自宅を訪れ、仲良くしていたそうだが、最後に「会いたくない」と言われ、徒労感を味わった。また起業後に不登校を支援する通信制サポート校を立ち上げたが、何と生徒ゼロという苦い経験もした。

その一方で「本当は学校に行きたいけど行けない」「自分でも行けない理由が分からない」といった悩みを抱えている親子が多いことを実感。「どの親御さんも本音では学校に行ってほしい、と思っている」と肌で感じ取り、その解決策として家庭にフォーカスした不登校支援に乗り出したという。

「不登校には様々なケースがありますが、実はいじめは0.2%。不登校の主な原因は家庭や親子関係、子どもの生活習慣の乱れが大きく、家庭環境を改善することが再登校につながると考えています。また、お子さんの様子は毎日変わるので、先延ばしすることなく、サポーターと呼ばれるスタッフが親御さんと毎日メールのやりとりをして支援していきます」

もっとも、実際に不登校を経験した保護者からは「このシステムで再登校できるのは、まだ不登校期間が短い方が多いのではないでしょうか」とか「すべてを肯定的に捉えることはできないが、子どもへのアプローチはしないなど、理にかなったところもある」という意見をいただいた。

確かに不登校には様々な要因があり、正解はないのだろうが、ある程度のストライクゾーンはあるのかもしれない。スダチの具体的なサポート内容としては①生活習慣を整える②スマートホンやデジタル機器との付き合い方を見直す③親子間の愛情としつけを区別することなどがある。

小川さんは「子どもに共感し、寄り添うのではなく、ダメなものはダメ」という姿勢を貫くことが大切だと説き「ゲームを制限したことで実際、暴れるお子さんもいますが、わたしたちの経験上、長く続くことはありません」と話す。

■業界の異端児と言われ

そんなスダチのやり方は教育業界では異端扱いされることが多く「これまでの不登校支援のやり方とは大きくことなるため、理解されないことも多い」と言う。しかし、例えばスクールカウンセラーは増えているのに、それと比例して不登校も増えている現状を考えると見守り型、傾聴型支援が主流の中、一石を投じているのは間違いないだろう。

「今後も不登校で悩んでいる人たちを1人でも多く救いたい」

スダチは小川さんが徳島出身であることと「巣立ち」をかけているのはいうまでもない。

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