「高級外車に傷が!」目を離した隙に子どもがイタズラ 犯人探し→崩壊していくママ友4人の人間関係…人気漫画家が描く“リアルな物語”に注目

コミックエッセイを手掛ける漫画家・イラストレーター「ゆむい」さんの新刊『犯人は私だけが知っている~母たちは静観する~』が、早くも注目を集めています。人気作家が新たに取り上げるのは、同じ幼稚園に通う子どもを持つママ友4人の物語。子どものイタズラの犯人探しをきっかけに、誰もが経験しそうな「人間関係のもつれ」がリアルに描かれます。

育児や日々の出来事を中心とした4コマ漫画で描くブログ「ゆむいhpa」を運営し、女性に人気の漫画家・イラストレーター「ゆむい」さん。代表作「夫の扶養からぬけだしたい」シリーズは発行後、累計25万部(紙+電子)を突破するなど、好評を博しています。そんな彼女が久々描いた新刊は、ママ友の複雑に絡み合う人間関係。

物語では、子どものお迎えに来ていた4人が立ち話をしている最中に、子どもたちが高級外車にイタズラし、傷をつけてしまったことが発覚します。「いったい犯人は誰?」…最初は全員で解決の道を探るのですが、真実がはっきりしない中、4人それぞれの思惑が交錯し、何が真実なのかわからなくなっていくミステリー仕立ての作品となっています。

子どもが疑われて大変な思いをする親、静観だけをしている親など、様々な人間関係が描かれますが、浮かび上がるのは子どもたちを通じてつながるママ友同士、離れたくても離れられない関係の面倒臭さです。それぞれの母親が人に言えない秘密を抱えている設定となっていることもあり、作中ではドキッとするようなリアルなセリフや表現も。

著者・ゆむいさんに、新刊で取り上げているエピソードについて聞きました。

■他人のいざこざはエンターテインメント!? 光の速さで広まる根拠のない噂話

--噂の真偽は関係なく本当のように話が広がってしまうことはありますよね。今作『犯人は私だけが知っている~母たちは静観する~』では犯人捜しのようなミステリー調になっています。こだわりのポイントはありますか?

ゆむい:ポイントは、全体を通して、登場人物全員が「憶測」で話しているということです。それぞれの登場人物の時間が経過していくなかで、どう“こじれて”いくのかプロットを練って描いています。これまでの作品は、夫婦のストーリーでしたが、今作はママ友が主役のストーリー。作品の切り口は違いますが、私の作品の根本は同じです。

噂や嘘の話も本当っぽく広がってしまう傾向は現実でもあります。登場人物の「人の思い込み」「すれ違い」に注目してほしいです。

■目撃者がいない!? 予測不能な子どもたちのトラブル

--子どものお迎えに来ていたママ友4人。立ち話をしている最中に、子どもたちが高級外車にイタズラし、傷をつけてしまったことが発覚。目撃者は子どもだけ、誰が傷をつけた犯人なのか分からない……。親が見ていないときに限ってこういうこと、おきますよね。最初は全員で解決の道を探るのですが、徐々にトラブルに発展していきます。これは現実に起きたことなのでしょうか?

ゆむい:そうですね。このストーリーは友人の実体験と私の経験を融合させたセミフィクションです。現実は複雑すぎるので、簡略化したり、削ったりわかりやすくなるように漫画のセリフで表現しています。作品を創作するときは、少しでも自分の経験とかぶるようなテーマに絞るようにしています。理由は、全く知らない世界の話はリアリティに欠けてしまうからです。

子どもたちがトラブルをいっぱい持ってきてくれるのでストーリーのネタには困りません。できれば、ネタがない人生でありたいですね。ネタが尽きたときが本当の幸せなのではないでしょうか。

■マウントをとられても子どもの交友関係のために我慢…

--本作の舞台は社宅。お隣さんは会社の上司や部下というお互いが濃密な人間関係でのトラブルです。近い人間関係ほど、子どものために、我慢することもあるのがとてもリアルでした。今回はなぜこの舞台を選んだのでしょうか?

ゆむい:私は結婚してからずっと夫の仕事の都合で社宅に住んでいたため、いつか社宅の良い面、悪い面を描いてみたいなと思っていました。

例えば良い面は、地震のときなど、勤めている配偶者が自宅へ戻れないときも、残された人たちで助け合える環境であるなど、協力体制が取りやすいことです。一方で「子ども同士でトラブルがあったけど、会社の上司だから強く言えない」なんてことも起きるわけです。

私が漫画で表現している「セリフ」は、自分の中から出た言葉ではありません。私がこれまでに取材をして心に残った言葉や、それを聞いたときに私が感じたことを吹き出しに載せています。

メッセージ性が強い作品ともとれますが、受け取り方は違うと思うので読者の方それぞれで解釈して感じてもらえれば嬉しいです。

--日常の些細なことが原因で、人間関係が崩れてしまうことは、よくあることだと思います。作品では、当事者たちのそれぞれの視点により、正義や真実が変化する様子がとてもリアルに描かれています。

ゆむい:4人のママたちが登場しますが、そこに「本当の悪人」はいません。共通していることは「自分の子を守りたい」という強い気持ちです。その結果、どんどん人間関係が崩れてしまいます。自己顕示欲が強く、トラブルを引き起こすママもいますが、子どもの守ろうとしての行動、という根本は同じなんです。

『犯人は私だけが知っている~母たちは静観する~』は、誰しもが当事者になり得るストーリーで、ママ友だけでなく、会社の同僚、学校の同級生……いろいろな場面で起きうる出来事。「私だったらどうするだろう?」と思いながら読み進めることができる作品です。人間関係のトラブルの原因はどこにあるのか、そして、本当の犯人は誰なのか? さらにラストに待ち受けるどんでん返しの真相も楽しみにしてほしいです。

【著者プロフィール】

◆ゆむい 漫画家・イラストレーター・ブロガー。

育児や日々の出来事を中心とした4コマ漫画で3学年差兄弟の成長を記録しているブログ「ゆむいhPa」を運営。著書に『夫の扶養からぬけだしたい』『ママはパパがこわいの? 夫の扶養からぬけだしたい~ゆうかの場合~』(ともにKADOKAWA)等。レタスクラブニュースにて「わが家に地獄がやって来た」のコミック連載など、幅広く活躍中。

▽X(旧Twitter)

@yumuihpa

   ◇   ◇

【書籍概要】

『犯人は私だけが知っている~母たちは静観する~』

著者:ゆむい

発行:株式会社KADOKAWA

定価:1,210円(本体1,100円+税)

発売日:2023年10月4日(水)

判型:A5判

ページ数:176ページ

ISBN:978-4-04-682383-0

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