イギリスで愛妻弁当を作りつづける28歳の駐在妻 食文化・生活費に驚愕…異国で気づいた日本の良いところとは?

日本から遥か離れたイギリスで、夫のお弁当を作り続ける駐在妻のYouTubeチャンネルが注目を集めています。

YouTubeチャンネル「ポンコツまるこの日常」を運営するまるこさんは、28歳の女性。保育士として約5年働いたのち夫の海外赴任に帯同し、1年ほど前に渡英しました。YouTubeでは夫のお弁当を調理するショート動画をメインに投稿しており、のんびりとした内容や語り口が人気を呼び、登録者数8万人を抱えるチャンネルです。

まるこさんはお弁当作りの動画に載せ、イギリスと日本の文化の違いや現地でのお金事情や暮らしなど発信。コメント欄では視聴者が日本との違いっぷりに驚く声も多数あがっています。

まるこさんに駐在妻としてのイギリス生活、YouTubeでの活動などについて、日本とイギリスをビデオ通話で繋いでお話を聞きました。

■帯同に「迷いはない」しかしビザが下りず…

ーーYouTubeを始めたきっかけは。

「夫の海外赴任が決まった時から、何か記録として残しておきたいなと思っていて。YouTubeがちょうどいいんじゃないかなと思い、渡英を機に本格的にスタートしました」

ーー帯同に際し、キャリア中断など迷いは。

「迷いは特にありませんでした。というのも、入籍自体は2年ほど前にして、事情があって1年ほどは夫婦別々に住んでいたんです。週末に会える程度で、私としてはやはり早く一緒に住みたいという気持ちが強くて。もし仮にここで帯同しなければ一緒に住めない期間が長くなってしまうので…。私のなかでは夫に付いていくという選択肢しかなかったですね。

ただ、ロシアとウクライナの戦争があり、情勢の問題でビザがなかなか下りず…。数か月してやっとビザが下りて、昨年の7月に夫が一足先に渡英、私が1か月遅れて追いかける形で、イギリスでの生活が始まりました。このころにちょうどYouTubeもスタートしましたね」

ーーお弁当ショート動画をメインにアップされています。

 「当初は記録としてやっていただけだったんですが、ありがたいことに多くの方に観ていただけるようになりました。より多くの方に観ていただけるようコンスタントに動画をアップしようと思うようになったんですが、その分動画の素材やネタが必要になりますよね。最初はイギリスでの旅行などをアップしようと思っていたんですが、そんなに度々行くものでもないし…。

毎日定期的に(動画として)あげられるものって何だろうと考えたとき、日々夫に作っているお弁当が最適だと気付いて。私が料理動画を観るのが好きだったこともあり、お弁当作りなら私でも動画にできそうと思って始めました」

ーー見事に人気を博し、800万回、400万回以上再生されたショート動画もありました。

「最初はそんなに伸びると思っていなくて、ただ投稿を続けていたんですが、あるときを境に一気に再生数が増えました。例えば、夫がおかずを残した理由の動画、お弁当のサイズが小さいんじゃないかというコメントに答える動画などでしょうか。

私と夫とのやりとりに関しての動画は、他の動画に比べ多く再生される傾向にありますね。編集で1.1倍速に加工した声も、観ていただけるようになった要素の一つにはあるのかなと」

ーーショート動画を毎日投稿していますが、忙しさは。

「専業主婦で比較的時間に自由が利くので、そこまで大変なスケジュールにはなっていません。YouTubeが仕事だと思ってやれば、本当はもっと動画を出せるんですが、今はあくまで趣味の延長として、観てくださるみなさんと交流を楽しむことを心掛けています。スケジュールとしては、朝にお弁当の動画を撮影して、午前中からお昼ぐらいにかけて編集、アップは日本時間を基準にしていて、夜10時くらいを目処に投稿しています。

ショート動画は1分と短いことに加えて、私の動画はそこまで凝った編集はしていないので、カットして声を録って、大体2時間くらいで編集作業を終えています」

ーー旦那さんのYouTubeに対する反応は。

「最初は、私も夫もここまで(登録者数が)伸びるとは思ってなくて。急激に増えたときは一緒になって喜んでくれました。今では『こんなに再生されてるよ!』と、私よりチェックしてくれているみたいです(笑)。動画ではイギリスと日本の文化違いなど、夫からの話題提供もあるので協力してくれていて、今日あったこととか、動画に使えそうなタメになる話とか。仕事から帰ってきたらいろいろ話してくれますね」

■薄切り肉がない?イギリスで感じた文化の違い

ーーイギリスと日本、文化の違いっぷりが面白いです。日本のお弁当は珍しいようですね。

「日本のお弁当は、イギリスの人からすると手が込んでいておいしそうに見えるようです。こちらのランチはサンドイッチやフルーツなどが主流だそうで、確かにスーパーでもラップサンドとドリンクセットなんかがよく売られていますし、道端でリンゴやバナナを頬張りながら歩いてる人もいたりして。そこは日本と違うところかなと感じます」

ーーほかにも食文化の違いを感じることが?

「外食に行くとどのお店もメニューが結構同じだったり、全体的に日本と比べて食に対する興味がそこまで強くないのかな?と思ったりもします。もちろん人によるとは思うのですが、改めて日本の食文化の多様さをこちらで実感しています」

ーー食文化といえば、薄切りのお肉が無いなど買い物の勝手も違うようで。

「イギリス来る前にそれは私も知ってはいたんですが、いざこちらに来てみると、薄切り肉って万能食材だったんだ…!と痛感しました(笑)。こちらでも一応、日本食材スーパーなどで売っているんですが、我が家からだと徒歩30分あるいは電車に乗って行く距離ですし、あったとしても冷凍なので冷凍庫のスペースの関係で買いだめが難しくて。

日本食材は手に入りづらいけど、日本の味は食べたい。夫は豚汁が好きなので、ゴボウも里芋もこんにゃくもイギリスにはないけどほかの食材で代用したり、今は試行錯誤しながらこちらにある食材でなんとかうまくやっていくことを覚えました」

ーー家賃の動画では2500ポンド(約45万7500円)と、その高さに驚く声もあがっていました。物価なども日本と比べると高めですよね。

「日本に比べると高いので、価格はかなり見てしまいますね。動画で物価などのお金の話をすると、コメント欄で『円換算するのはおかしいでしょ』とご指摘をいただくこともあるのですが、私が日本人ということもあってつい日本円換算してしまうんですよね。あと、視聴者の皆さんに分かりやすいように日本円での表記も入れるようにしています。

日本円で考えるとやはりすごく高く感じますね。物価が高い分、全体的にお給料の水準も高いのだとは思うんですが…。でも野菜とかフルーツとか、日本と比べて価格が安いものももちろんあるので、そういうものをうまく使って、なんとか工夫しながらやりくりしています」

ーー動画では旦那さんが日本出張でたくさんの日用品を買ってきていましたが、日英でどのような違いが。

「正直、個人的には日本の製品は品質がとても高いと感じます。日本だと100円ショップでも高品質なものが買えますよね。イギリスだとそうはいかなくて、価格が高かったり使い勝手がイマイチだったりで。イギリス製品が悪いというよりは、日本製品のクオリティが高いのだと思います。特に食品用のラップなんかは違いを顕著に感じていて、夫が日本で買ってきてくれたラップは節約しながら少しずつ使っています(笑)」

ーーでは、イギリスの良いところは。

「こちらの人は良い意味で人の目を気にせず、オープンな人柄の方が多い印象です。例えば服装とかで言うと大胆な肌見せファッションだったり、私は私、自分らしく生きるというのが、日本とはまた違った魅力があり素敵だなと感じます。あとは、気さくに話しかけられたり親切にしてもらえる機会が多く、フレンドリーというか人との繋がりを大切している印象もあります」 

ーー今後イギリス生活で挑戦したいことや目標は。

「ぐーたらタイプなので、目標をしっかり決めているわけではないんですが(苦笑)、やはり英語に関してはもう少しできるようになりたいです。あとはYouTubeを続けて、みなさんのためになる情報とか、興味を持ってもらえるような動画を発信したいです。今(登録者が)8万人ほどなので、年内10万人という区切りは意識していますね。

イギリス生活があとどれくらい続くかは分からないのですが、日本に帰りたい気持ちはもちろんある一方、今のような動画スタイルを続けるのであればイギリスにいたい気持ちもあり、正直葛藤もあります。ただ、今の私にとってYouTubeは純粋に楽しんでできる趣味なので、今後イギリス生活が続いても日本に帰ることになっても、自分のペースと楽しむことを大切にして、観てくださるみなさんとの交流など楽しんでいきたいです」

(まいどなニュース・門倉 早希)

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