愛護センターで出会った日、寂しそうな目をしていた保護犬 栄養不足で骨に成長の遅れも お手やお座りもマスターして幸せつかむよ
2023年1月、愛知県動物愛護センターに1頭の推定生後9~10カ月ほどの野犬が収容されました。お母さんワンコや他のきょうだい犬とはぐれてしまったようで、ひとりぼっちで町中を彷徨っているところを職員が発見したそうです。
この話を知った保護団体、一般社団法人SORA小さな命を救う会(以下、SORA)は、このワンコを引き出すことを決意。ほどなくして、愛知県動物愛護センターに迎えに行きました。
■「武田信玄のように強く生きてほしい」
そのワンコは、シェパードミックス風のようなイケメンです。SORAのスタッフは「かの武将・武田信玄のように強く生きてほしい」という願いを込め、このワンコに「しんげんくん」という名前をつけました。
動物愛護センターの檻の中にいたしんげんくんは、そのカッコ良い見た目に反し、とても寂しそうな目をしていました。「お母さんはどこ? どうして僕はひとりぼっちになっちゃったの?」と訴えているようにも映りました。
そんなしんげんくんを前にスタッフは「大丈夫。今まで不安でいっぱいだったと思うけど、これから一緒に、温かく迎えてくれる家族を探そうね」と優しく語りかけました。
■栄養不足で足の骨の成長が遅れていた
ところで、しんげんくんは動物愛護センターに収容されたときから、後ろ足が不自由で上手く歩けていなかったそうです。
そのため、SORAのスタッフはしんげんくんを引き出してすぐに動物病院へ連れていき、で詳しい検査をしてもらいました。獣医師によれば、怪我や先天的な病気を抱えているわけではなく、成長期に栄養が足りていなかったり、日光に当たっていなかったことによって、骨の成長が遅れている可能性があるとのこと。また、皮膚病の症状も見られたため抗生剤投与とサプリメントを与えることにし、経過観察をすることにしました。
野生での生活は言うまでもなくサバイバルです。食べられるものが限られます。しんげんくんも満足な食事を摂れていなかったことで足の骨の成長が遅れてしまったのかもしれません。
■明るい表情で上手に歩けるようになった
動物病院での診断が重篤なものでなかったことで、胸をなで下ろしたスタッフでしたが、あらためてSORAの施設に連れて帰ると最初はとても怖がり、伏し目がちに過ごしていたと言います。
スタッフが愛情をたっぷり注ぎ、献身的なサポートを続けた結果、しんげんくんは少しずつ心を開いてくれるようになりました。今では笑顔で過ごしています。また、前述の後ろ足は治療を続けたおかげで骨が成長したのか上手に歩けるようにもなりました。
現在のしんげんくんはまだまだ育ち盛り。エネルギーが有り余っており、人間や他のワンコについ甘噛みやイタズラをしてしまうこともあります。しかし、さらに環境に馴れ、人との生活やワンコ同士の社会性を身につければ、今後必ずやお利口さんのワンコに成長してくれるはずです。その証拠に最近ではトイレはもちろん、「お手」「お座り」もマスターしつつあります。
あの頃の寂しい目をしていたけんしんくんは、もういません。さらに成長し続けることで幸せな第二の犬生を掴む日もそう遠くはないように思います。
一般社団法人SORA小さな命を救う会
https://sora-chiisana.org/
SORA小さな命を救う会・インスタグラム
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(まいどなニュース特約・松田 義人)