戦前の電力事業者マップが話題 電力、電鉄ではない事業者が!?「ちゃっかりいる」「その時代も勢力誇ってる」

戦前の近畿地方の電力事業者マップがSNS上で大きな注目を集めている。

「戦前の近畿地方の電力事業者の地図を見ると、ちゃっかり延暦寺がいるのが面白すぎる」と件の地図を紹介したのは世界史、地理好きの大学生、ニホニウンさん(@nihosan)。

「旧事業者供給区域色別図」と題するこの地図。地図を電力事業者ごとに色分けしているのだが、関西電力のルーツの一つである宇治川電気や電鉄会社の阪神急行電鉄、南海電鉄などの名前にまじって、ニホニウンさんが指摘する通り滋賀西部には「延暦寺」の文字も。

まさに群雄割拠の様相を呈するこの興味深い地図に、SNSユーザー達からは

「焼かれないように、既にオール電化していたのかな」

「その時代でも勢力誇ってるとか強い」

「『和歌山縣 東邦』の東、『奈良縣 宇治川電気』の西、奈良と和歌山の県境付近一帯、電気が通っていないですね。一見、南海電鉄が供給しているように見えますが、よく見ると境界線があります。『折立電務所』『平谷電気』といった電気の孤島がありますが。(電気の孤島、ドラマがありそうです)」

「南海電鉄が水力発電所持ってたらしいと聴いたがこの事か(南海水力)。」

「ブラタモリが北九州で言っていた『鉄道から電気を買う』というのはそういう意味でしたか。」

など数々のコメントが寄せられている。

■投稿者さんに聞いた

ニホニウンさんにお話を聞いた。

ーーこの地図はどういったものでしょうか?

ニホニウン:昭和28年(1953年)に関西配電株式会社清算事務所が発行した「関西配電社史」中の 「昭和17年4月に関西配電株式会社ができる直前の近畿地方の電力会社の供給地域図」というものです。

ーーこの地図を目にした経緯、感想をあらためて。

ニホニウン:私は戦前の電力会社に興味があり、関連する情報を調べているところ、インターネットでこの地図を見つけました。延暦寺がある他にも、鉄道会社が電気を作っていたり、大阪市、神戸市、京都市などの公営電気事業者、奈良県南部や和歌山の内陸の一部の地域には電気が通っていない場所があるなど、戦前日本の当時の電力事情を知る貴重な資料です。

ただし、地図上での「中国配電」は配電統制令に基づき、1942年4月1日に設立されたものであり、1942年4月1日には関西の主要電気事業者は関西配電に統合されているため、地図上の表記は矛盾します。恐らく、地図上での中国配電は1941年5月から1942年4月1日までの短期間に存在した「山陽配電」の供給地域だと思われます。

ーー投稿が反響を呼びました。

ニホニウン:私はよく世界史や地理に関するツイートをするのですが、電力史に関するツイートでここまで反響を受けたのは初めてです。多くの人に戦前の電力会社について知ってもらえれば幸いです。

◇ ◇

自分が今住んでいる場所が、昔どんな事業者によって電気供給されていたか調べるのも、その土地の成り立ちを知る上で面白いかもしれない。

今回の話題を提供してくれたニホニウンさんは普段、X上でメソアメリカ(メキシコ、中央アメリカ北西部において過去に高度文明が繁栄した文化領域)やアフリカ、コーカサスなどマイナーな世界史情報を発信している。ご興味のある方はチェックしていただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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