保護された子犬きょうだい メスは足先を欠損する大けが ギプスが取れると元気いっぱいのしぐさでみんなを笑顔に

2023年7月初旬、愛知県動物愛護センターに、2頭の子犬のきょうだいが収容されました。推定生後2カ月ほどです。お母さんワンコの行方は分からず収容された経緯も不明ですが、愛知県動物愛護センターでの収容期間が過ぎると、2頭とも殺処分される可能性があります。

2頭を引き出すことにしたのが愛知・三重などの東海エリアを中心にワンコの保護活動を行う団体・一般社団法人SORA小さな命を救う会(以下、SORA)。ほどなくして、愛知県動物愛護センターに2頭の引き出しに向かいました。

■メスのしずかちゃんはあちこちに怪我があった

そこにいたのは、メスのしずかちゃんとオスのよしつねくん。2頭ともベージュと黒の毛色が特徴的で、まるで人形のように愛らしい見た目です。

引き出し当初、オスのよしつねくんの体に障がいは見られなかった一方、メスのしずかちゃんは後ろの右足先と尻尾が切れていました。

これまで多くのワンコを保護してきたSORAのスタッフから見ると、収容前に何らかの器具に挟まったか他の動物に咬まれた可能性があるように映りました。

ともあれ外で暮らしていたた、傷口から細菌が入り感染症を抱えていることも考えられます。スタッフは引き出し後すぐに動物病院へ連れていき獣医師に入念な検査をしてもらうことにしました。

よしつねくんは見た目通り健康体そのもので「異常なし」の診断。胸をなでおろすスタッフですが、しずかちゃんは右後ろ足先4本、左後ろ足先1本が欠損していることがわかりました。欠損した部位は肉球も失い、赤く腫れあがって化膿の症状も出ていたため抗生剤投与して様子を見ることになりました。また後には、右後脚趾球転移術という手術が行われ、ギプス着用をしながら経過観察をすることになりました。

■元気すぎて、きょうだいを踏んづけてしまうことも

多くのワンコは環境の変化に敏感で、体調を崩すようなことも珍しくありません。しかし、しずかちゃんはSORAの施設に連れてこられてからも、すぐに環境に馴染み、室内を元気に歩き回りました。あれだけのけがを負っているのに、明るく元気なワンコです。

その元気なエネルギーはときに行きすぎて、よしつねくんのことを誤って踏んづけてしまうこともありました。そんなきょうだいの様子を見て、「元気なのは良いことだけど、きょうだいなんだから仲良くしてね」とスタッフは笑いました。

優しいスタッフの愛情を受け取ったしずかちゃんはやがて、「しずかちゃん!」と呼ばれると、「自分のことなんだな」とわかるようにもなり、その小さな足で一生懸命スタッフのそばに駆け寄ってきて甘えてくるようにもなりました。怪我の影響で足で踏ん張ることが少々困難なため、ときにひっくり返ってしまうこともありますが、しずかちゃん自身はここでも全く気にせず、すぐに起き上がって元気いっぱいで遊びます。

遊び果て、大好きなご飯をいっぱい食べたら天使のような寝顔でぐっすり眠ります。

■保護1カ月ほどでギプスが取れた!

SORAのスタッフの献身的な世話の甲斐があり、しずかちゃんは保護から1カ月ほどでギプスを取ることができました。動きやすくなったことで、さらに元気いっぱいに走り回るしずかちゃんを見て、スタッフは「最初は不安もあったけど、2頭とも元気に成長してくれて良かった」と安心しました。

そして、「1日でも早く幸せを掴んでほしい」というスタッフの願いからしずかちゃん、よしつねくんともに譲渡会にも参加するようになりました。

元野犬の保護犬、ワンコ同士の社会性を備えている一方、人間は全くダメ……というケースが多いものですが、しずかちゃんとよしつねくんに限っては、来る人来る人に愛想を振りまき「自分を見て」とアピールします。こんなに明るく性格の良いしずかちゃんとよしつねくんならば、優しい里親さんとの出会える日が来るのもそう遠くはなさそうです。生まれまもなくして母親と離れ離れになり苦労してここまで来た分、しずかちゃんとよしつねくんには、家族の温もりをいっぱい味わってほしいものです。

一般社団法人SORA小さな命を救う会

https://sora-chiisana.org/

SORA小さな命を救う会・インスタグラム

https://instagram.com/sora_save.dogs?igshid=OGQ5ZDc2ODk2ZA==

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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