具合が悪そうな地域猫を保護 不慣れな環境に深夜の絶叫が止まらない クレームのインターホンが鳴った

とある公園に現れるメスの地域猫。避妊済みの証でもある耳のカットがなされており、近所の人たちにかわいがられていました。

普段のご飯は、近所で暮らす高齢の人たちが数人であげていたようですが、しかし、雨の日になると餌やりに来ないこともあります。

また、その地域猫の耳には膿らしきものが出ていて、自分の力で治癒できるとは思えないものでもありました。

そんな地域猫の様子を見たのが、これまでに多くの猫の保護を行ってきた団体・一般社団法人LOVE & Co. (ラブ・アンド・コー。以下、ラブコ)のスタッフでした。

■「何度もくしゃみをし、鳴きながらついてきた」

「なんとかしてあげたい」。そんな思いを抱き、保護のタイミングを見計らっていたスタッフでしたが、ある日のこと。

スタッフのパートナーが公園にその地域猫の様子を見に行きました。すると、「あの地域猫が何度もくしゃみをして、鳴きながらずっとついてきた」と言います。さらに翌日、スタッフが公園に出向くと、地域猫はやはり耳だれを起こしており、鼻水や目やにも出ており、とてもじゃないですが、放っておける状態ではありませんでした。

スタッフは意を決し、その日の夕方にキャリーバッグを持ってきて地域猫を家まで連れて帰りました。

■恐怖のあまり絶叫に次ぐ大絶叫…

連れてきた地域猫にスタッフは「カレー子」と名付けました。

ひとまず狭いところで落ち着いてもらおうと、お風呂場に隔離しましたが、ここでまず地域猫の大絶叫が始まりました。猫は不安を抱えると強く泣き騒ぐことはありますが、それにしても…の大絶叫。

翌日、動物病院に連れて行っても同じような大絶叫が続きました。幸い、ウイルス検査も血液検査も問題はなく、この時点で患っていたのは外耳炎と鼻炎のみ。この外耳炎と鼻炎は投薬で治療をすることになりました。

「ちょっと大声を出す子だけど、健康に問題がなくて良かった」とスタッフはカレー子を連れて帰りました。そして、ずっと気にしていたカレー子を保護出来たことを喜ぶとともに、「優しい里親さんを見付けてあげられるようにがんばろう」と決意しました。

■カレー子の大絶叫を前に、ついにインターホンが…

シャンプーも終えて、居心地良く過ごしてもらえるよう別部屋にカレー子を移動させることになりました。これで少し落ち着いてくれるといいな、と思いきや......ここでも大絶叫。ケージを開けてみたところカーテンをかけのぼり、ふすまに体当たりし、窓ガラスを引っかき大暴れ。

慌ててケージに戻すも興奮は治らず、全く鳴きやみそうにありません。深夜のカレー子の絶叫に、近所の住民からの苦情が心配になりましたが、そんな矢先にインターホンが鳴りました。あまりにも早く予感は的中してしまったのです。

ラブコのメンバーにことの次第を伝えたところ、起きていた優しいスタッフは「明日からオフィスに連れておいで」と一言。救いの手を差し伸べてくれました。

■様々な病気が発覚する一方、すっかり懐いてくれた

結果しばらくの間、ラブコのオフィスで過ごすことになったカレー子。後に新たに様々な病気が発覚し、ときには手術を受けることもありました。こういった治療は決して容易いものではなく、当のカレー子も相当な思いで乗り越えました。

そんな中で、特に嬉しかったことは、カレー子が保護したスタッフと環境に馴れてくれ、当初のような大絶叫をしなくなったこと。

スタッフの優しさと愛情をたっぷり感じ取ってくれ、あの地域猫として過ごしていた頃よりも、今の環境に幸せを見出してくれたようにも映りました。

結果、カレー子はこのスタッフ家の家族として迎え入れられることとなり、見事幸せな猫生を掴むことになりました。

ところで、ラブコは2023年秋に長野県松本市に移転しました。「規模は小さくなった」ということですが、これからも行き場を失った猫たちのためにできる範囲で活動を続けていく予定とのこと。これからも行き場を失った猫、病気を抱えた猫の命を救い、幸せへと繋ぐ活動を続けていきます。今後の活動にもぜひご注目ください。 

一般社団法人LOVE & Co.

https://love-and-co.net/

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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