JBLの名機ハーツフィールドをステレオ配置 こだわりの音色に包まれるミュージックパブ&カフェが岡山に
半世紀前のジュークボックスが玄関で出迎え、往年のロックスターのレコードジャケットが壁を飾る。コーヒーの香ばしい匂いと軽快なサウンドが心地よい。岡山市北区の表町商店街にあるミュージックパブ&カフェ「SOMETHING(サムシング)」。オーディオ愛好歴約50年のマスターがこだわり抜いた音色に包まれる空間が音楽ファンらに好評だ。
岡田敬男さん(75)=同市中区=が昨年8月にオープン。店名はオーディオ趣味にはまるきっかけとなったビートルズの名曲にちなんだ。「デジタルでは出せない音の厚みや奥行きが魅力」とジャズやロック、ポップスなどジャンルは幅広く、約5千枚のレコードをそろえる。客がレコードを持ち込んで聞くこともできる。
若い頃ジャズ喫茶によく出入りしていたという岡田さん。20代からスピーカーやレコードプレーヤーなどを収集してきた。「仕事から帰って夜な夜な音響機器をいじっていた」と時々接客を手伝う妻の富子さん(72)が熱中ぶりを明かす。
自分の店を持つことが長年の夢で、仕事が一段落したのを機に開業を決意。自宅から音響機材を持ち込み、繰り返し配置を変えて響き具合を調整した。最奥に鎮座するスピーカーは米JBLの名機ハーツフィールド。モノラル時代の機種だが、大阪で出物があると聞いては、軽トラックで取りに行き、2台をステレオ配置している。内部には手を入れているが、幅も高さも1メートルを超える外観は往時のままで、まるで家具のような重厚感がある。「木で作られた昔のスピーカーは楽器みたいなもの。空気が乾いている方がいい」と納得の音を出すため湿度にも気を配る。
新型コロナウイルス禍で特段のPRもせずひっそりと開業したが、口コミで評判が広がり、1年たち常連客もできた。「家で流すより楽器の音が聞こえる」と喜ぶ人、隣県から毎週来て静かに聞き入る人など利用スタイルはさまざま。岡田さんは「自分の好きな音をお客さんに共感してもらえるのがうれしい。お気に入りの1枚もぜひ持ち込んで」と呼びかける。
営業時間は正午~午後5時。メニューはひきたてコーヒーやビールなど原則ドリンクのみ(1杯500円)。金曜定休。
(まいどなニュース/山陽新聞)