多摩川河川敷育ちの茶トラ 育ててくれたホームレスのおじさん、保護してくれた団体の皆さん 4年かけて幸せをつかんだよ

これまで、行き場を失った多くの猫たちを救い、幸せへと繋いできた動物保護団体・一般社団法人LOVE & Co. (ラブ・アンド・コー。以下、ラブコ)。保護した猫たちを「モデル」として起用。雑貨などに転じ、その販売収益を猫たちの生活費・医療費として利用するというユニークな試みを実施しています。

「保護猫が働く会社」と呼べる取り組みですが、この雑貨にあしらわれた姿が人気なのがポテトという茶トラの猫。長い尻尾が特徴のかわいい猫ですが、実はラブコに来るまでにホームレスに飼われていた猫でもありました。

■限られた収入を猫たちに費やしたホームレスの人

東京と神奈川の間を流れる多摩川の河川敷には、行き場のない猫たちがたくさん暮らしていると言われています。完全なる「野良猫」として生まれた猫もいれば、飼い主から捨てられた猫も少なくないようです。

こういった行き場を失った猫たちに対し、同じ河川敷で暮らすホームレスの中に十分ではない収入の中から、「かわいそうだ」と世話を続ける人もいるそうです。

2018年のある日のこと。河川敷に突然あらわれた茶トラのポテトは、鳴きながらホームレスの人に寄って来たそうです。河川敷はトンビやカラスも多くおり、猫が攻撃を受けることも少なくありません。そのため、複数の猫の世話をしていたホームレスの人はその猫たちを譲渡することを決意しました。

保護することにした人は、申し出てくれたホームレスの人の気持ちを汲みながらも、キャパシティの問題がありラブコにSOSを出しました。 

■隠れたつもりが、挟まって出て来れなくなることも

ラブコが引き取ることにした複数の野良猫は、秋の味覚にちなんだ名前をつけられました。ポテトもその一匹でした。

ラブコに来た当初のポテトは、やや緊張気味。それまでの野外生活とはまるで違う環境ですから当然です。部屋の狭いところを探し、隠れるように潜り込み「僕ならいませんよ」とばかりに身を隠すことがありました。用心深くふるまったつもりでも、結果的に狭い場所から出てこられなくなる……というかわいいオッチョコチョイぶりも見せてくれる、お茶目な猫でした。

河川敷でホームレスの人に世話してもらっていたことで、人馴れしていたこと、最初の保護主さんのところでも他の猫と仲良く過ごしていたこともあり、程なくすると、「ラブコの一員」としてポテトはすっかりオフィスに馴染みました。河川敷時代から共に暮らしていた猫たちが一緒だったことも、ポテトが安心した理由かもしれません。

■デレデレの反面、抱っこはさせないデレツンぶり

茶トラの猫はフレンドリーで明るい性格の猫が多いといわれています。ポテトも社交的で、遊んでくれる人間をみつけると寄ってきて甘えてきます。

プリンターの上にチョコンと座るのが大好きで、スタッフの手が空いたところを見計らい「なでて」と甘えてくることもあります。ただし、抱っこされるのは苦手のようで、抱っこしようとするとスルリと交わして逃げてしまう一面もありました。

そんな思わせぶりな様子も魅力のポテトでしたが、今年春ついに「迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。聞けば、ラブコのSNSで定期的に行われるライブ配信でポテトのことを知り、「その姿がたまらない」と申し出てくれました。ポテトは河川敷から保護されて4年の月日をかけて幸せをつかみました。

新しいおうちでは「むうちゃん」という名前をもらい、今はのんびりと幸せに暮らしているとのこと。つらい過去を持ちながら、見事幸せになったポテト、いいえむうちゃん。これからもずっと幸せに過ごしてほしいと、ラブコのスタッフは強く願いました。

一般社団法人LOVE & Co.

http://love-and-co.net/

(まいどなニュース特約・松田 義人)

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