【電気自動車】自宅で充電できるとエネルギー代は半額!?ガソリン高騰で注目、必要な設備・工事費は
ガソリン価格の高騰などで、電気自動車に注目が集まっています。自宅で充電できると、使い勝手が増したり、エネルギーにかかる費用も抑えることができそうです。必要な設備や工事費用をまとめるとともに、必要な電気代をシミュレーションしてみました。
■自宅で充電する設備は大きく3種類
電気自動車を自宅で充電する設備は、大きく「壁面取り付けコンセント」「スタンド」「V2H」に分かれます。
【コンセント】
リーフ(40kwh)の充電時間:13時間ほど(3kWの場合)
本体代+工事費用:~10万円ほど
【スタンド】
リーフ(40kwh)の充電時間:13時間ほど(3kWの場合)
本体代+工事費用:20万円~
【V2H機器】
リーフ(40kwh)の充電時間:7時間~
本体代+工事費用:80万円~
▽主流なのはコンセントタイプ
この中で主流なのはコンセントタイプ、特に200Vの電圧で使う3kWの充電器です。設置費用が安く、気軽に取り付けられるのが最大のメリットです。
充電速度はそれほど早くはないですが、上記のリーフの例のように約13時間で充電できるのであれば「帰宅して夜のうちに充電、朝にはほぼフル充電」という使い方ができるので、それほど不自由はないでしょう。
ただし自宅に通っている電気が100Vの場合、充電器の出力も小さくなり、充電時間も倍以上になってしまいます。
▽設置場所の自由度が高いスタンドタイプ
スタンドタイプの場合も、コンセントタイプと同じく200Vの3kW充電器が主流で、充電時間も変わりません。それでいてコンセントタイプよりも工事費が高いのがデメリットです。
ただしスタンドタイプの場合、複数のクルマを同時に充電できるものもあるため、複数台の電気自動車がある家には便利でしょう。
また壁から離せないコンセントとは異なり、設置場所の自由度が高いです。そのため「駐車場がちょっと離れている」という人には向いています。
▽V2H機器は非常時に心強い
充電時間が短いのがV2H機器。V2HとはVehicle to Homeの略で、「クルマから家に」という意味です。その名の通り、停電時にはクルマに貯めた電力を家で使うことができるのが最大の特徴です。
設置費用が高いため導入は進んでいませんが、非常時にも利用できるため、国や自治体も補助金を出して導入を後押ししています。
▽自宅での充電設備は必要?
自宅の近くに、急速充電ができるスタンドが数カ所あれば、自宅での充電設備がなくてもそれほど困ることはないでしょう。
反対に「充電スタンドが遠い」「1カ所しかない」といった場合は、先客がいたり面倒くさくなったりと、自宅で充電できないと不自由が多いようです。
■必要な設備工事と電力
電気自動車を自宅で充電できるようにするためには、設備工事と電力プランの見直しが必要です。
▽基本の工事は3つ
どんなタイプの充電設備を設置するにしても、以下の3つの工事が必要になることが多いです。
・専用ブレーカーの設置
・配線の敷設
・充電用機器の設置(コンセントなどの取り付け)
自宅の分電盤の状況や、分電盤から充電用機器までの距離によっても必要な工事が異なるので、具体的には施工業者に見積もりを依頼するのが良いでしょう。
▽コンセントタイプでも工事は必要
「うちは駐車場にもコンセントがあるから工事は不要」という人がいますが、電気自動車用のコンセントは、通常のコンセントとは異なります。
例えば200V用の充電用コンセントの場合、プラグの形状も通常のコンセントとは異なることもあります。また一般用コンセントに差し込める形状であっても、必要なロック機能が働かず火災のリスクもありますので、必ず電気自動車の充電用コンセントを使いましょう。
▽電力が不足している場合は追加工事
ここ10~20年くらいで建てられた家の場合は200Vの電圧が使えることが多いですが、古い家の場合、100Vまでしか対応していないことがあります。その場合、100Vでも充電できますが時間がかかるため、200Vにしたい場合は追加の工事が必要です。
また200Vであっても、特に出力が大きい6kWの充電器を使いたい場合は、分電盤の入替など大きな工事が必要になります。6kWの充電器を使う場合にはクルマ側の設定も必要なので、工事をする前に「このクルマは6kWに対応しているのか」を予め確認しておきましょう。
▽契約アンペアは「プラス30A」だと安心
電気自動車を自宅で充電するとなると、使う電力も増えます。従来のままだとブレーカーが落ちてしまう可能性があるので、自宅に充電設備を付けるタイミングで、契約アンペアの見直しが必要です。
200Vで充電する場合、最大出力3kWの充電器が一般的ですが、これは電力プランにおける3kVA(30アンペア)に相当します。そのため今まで契約アンペアから30アンペア上げたプランにすればまず安心でしょう。
100Vの場合は、10~20アンペア上げるのを一つの目安にしてください。
▽お得な電力プランの検討も
契約アンペア数だけでなく、電力プランそのものを見直しても良いでしょう。電気会社によっては「深夜の電気料金が安くなるプラン」などを用意していますので、利用する時間や利用料に応じたプランを選ぶことで、よりお得になる可能性があります。
ブレーカーが落ちる可能性がある契約アンペア数とは異なり、電力プランの見直しは急がなくても構いません。数カ月は今の契約プランで使ってみて、その実績を元に電力プランを見直しても良いでしょう。
■自宅充電した時の電気代
電気代は契約している電力プラン、利用量、利用する時間帯によっても異なりますが、一般に1kwhは20~30円程度といわれています。日産「リーフ(40kWhバッテリー)」の電費は8.05km/kwhなので、20~30円で約8km走る計算です。
▽電気代シミュレーションとハイブリッドとの比較
具体的な電気代をシミュレーションしてみましょう。
今回はハイブリッド車のガソリン代とも比較するため、日産「リーフ(40kWhバッテリー)」と日産「ノート(X)」で、年間1万km走行すると仮定して試算してみます。
◇ ◇
【電気自動車「リーフ」】
電費/燃費(WLTCモード):8.05km/kwh
1万km走行の充電時間/ガソリン量:約1242kwh
1万km走行の充電料金/ガソリン代:約33534円
1カ月当たりの電気代/ガソリン代:約2795円
【ハイブリッド「ノート」】
電費/燃費(WLTCモード):28.4km/L
1万km走行の充電時間/ガソリン量:約352L
1万km走行の充電料金/ガソリン代:60192円
1カ月当たりの電気代/ガソリン代:約5016円
※電費および燃費データは公式サイトより
※ともにWLTCモードでカタログ値
※電気代は1kWh25円、ガソリン代は1リットル171円で試算。電気代の基本料金などは含まないシミュレーション
◇ ◇
このように、ガソリン代が1リットルで171円、電気代が1kWhで25円の場合、電気自動車の方がエネルギー代は半額程度に安く済みます。ガソリン代が上がれば、その差は更に大きくなるでしょう。
(まいどなニュース/norico)