「赤ちゃんのお尻みたい」「美しい桃尻」自然が生み出す粘菌、一体これは何?【撮影者に聞いた】

「桃尻……。いえいえ、粘菌です!いやん。」と、ちょっとエロティックな画像をXに投稿したのは、新井文彦『散歩道の図鑑 あした出会えるきのこ100』(山と溪谷社)好評発売中!さん(@ukigumo_club)。きのこと粘菌の写真家です。

可愛いピンクの粘菌について話を聞きました。

ーー粘菌とは、きのことは異なるものなのでしょうか。

「粘菌は菌類とはまったく関係なく、アメーバ動物です。そして、さらに、胞子で増えるという不思議な生きものです」

ーーとても可愛い粘菌ですね。

「これはマメホコリという名前の粘菌で、マメホコリの子実体(胞子が入った袋の状態)は、粘菌の中でも比較的大きく直径1cmくらいになります。通常は球形なのですが、隣と融合して色々な形になることはそこそこあります。色は未熟なときはピンク色で、成熟して胞子を飛ばす状態になると茶色~黒色になります」

ーー食べたり触れたりしたら、毒キノコみたいに大変なことになるのですか。

「未熟なうちは何かを突き刺すとピンク色の液体が出てきます。成熟すると粉状の胞子がこぼれる感じ。有毒ではありませんが、食べるという話は聞いたことがありませんし、そもそも小さすぎて食べる気にはなれないかと」

ーー「粘菌は何か人の役に立っているの?」と、同じ質問になりますが、「生きるために生きている」のでしょうか。

「粘菌が我々の目に見える状態は、アメーバ状の『変形体』のときと、そのあと変身してきのこの子実体状になるときなのですが、いずれも、必ず、虫やカタツムリなどが食べています。いわば、森のごちそうですね。あと、アメーバ状の変形体のときは、移動しつつ、きのこなどの微生物を捕食するため、森の木々の分解が早く進みすぎないように抑制をしている、という説もあります」

ーー新種を発見する旅に出られることもあるのでしょうか。

「いま、粘菌は、きのこと同じく、DNAの塩基配列などを使う分子生物学的分類の洗礼をうけており、分類がどんどん細分化されています。マメホコリも今までは1種だけだったのが、150くらいに分かれてしまうという説もあるほどで、逆に言うなら、多くが新種、と言えるかもしれません。ぼくは素晴らしいシチュエーションを誇る阿寒の森と、そこに生きる粘菌やきのこの写真を撮るのが目的なので、特に新種を追うということはありません」

マメホコリの画像を見た人からは、

「赤ちゃんのおしりみたい」

「だいぶ寒くなってきたからか鳥肌立ってますね」

「しんちゃんのお尻みたいね」

などたくさんのリプライがあり、大いに盛り上がりました。

粘菌やきのこの世界をもっと探究してみたい方は、新井文彦さんの写真集『きれいでふしぎな粘菌』(文一総合出版)、『もりのほうせきねんきん』(ポプラ社)、『森のきのこ、きのこの森』(玄光社)、『粘菌生活のススメ』(誠文堂新光社)などをご覧ください。

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

関連ニュース

ライフ最新ニュース

もっとみる

    主要ニュース

    ランキング

    話題の写真ランキング

    リアルタイムランキング

    注目トピックス