夏休みの宿題から少子化対策まで 社会のあちこちにいる「先延ばし」さん 希望的観測の悪癖が阿鼻叫喚の修羅場に
日本社会にありがちな先延ばし、希望的観測の悪癖がX(旧Twitter)上で大きな注目を集めている。
きっかけになったのは"今年末退職を決めたものの会社が年末まで持つか不安な社畜"として目下SNS活動に励むよんてんごPさん(@yontengoP)の
「世の中にはマジで
『このままいくと確実に破滅が待ってる、今ならギリギリ手が打てます
急いで各所に連絡なりお詫びの上、対応してください!!』
ってなっても
『う~~~~~ん』
つって手を打たずに結果、見えていた確実な破滅に突っ込んでいき
関係者全員を●に追いやる管理者ってのがおるな」
という嘆きの投稿。
よんてんごPさんによると翌日、顧客を含む関係者にお披露目しなければならない新サービスが、設計すら終わってない状態。数ヵ月前から開発部は「仕様決めろ!」「無理です!」「完成しません!」などと計画の見直しを求めていたが管理者により黙殺され、とうとうどうしようもないまま土壇場を迎えたということだ。
先だって対策や見直しをしていれば修正できるのに、希望的観測だけで突き進んでしまう日本社会になりがちなこの悪習……Xユーザー達からは
「心理学の『逃避』ですね…」
「国内の製造系メーカーはほとんどがこれで、海外勢にやられていくんだと思います。」
「『卒論が2日後に〆切なのにまだ白紙』
『手も付けてない参考書を明日までに3冊理解しないと資格取れない』
『今日中に4県巡ってハンコ貰って補助金の申請しなきゃ…時速300kmで移動すれば何とかなるかも』
みたいな夢、最近とみによく見る
2番目はこないだ正夢になった」
「ありますね その方自身の過去に、『なんとかなってしまった成功体験』があると、『まぁ今回もなんとかなるやろ』ってなってしまうんですよねー。夏休みの宿題を30日の全部やりきってた私も、分からないでもなくて心が痛いものはある…。でも迷惑」
など数々の共感の声が寄せられている。
■投稿者さんに聞いた
よんてんごPさんにお話をうかがってみた。
ーー今回のご投稿のきっかけをお聞かせください。
よんてんごP:コレまでも度々、先延ばし癖のある管理者の方がおられまして、また今回も同じような癖によって、現場が迷惑を被って怒り心頭…というのがきっかけです。被害についてはあまり詳しくは言えないのですが、お客さん、取引先さん、協力会社さん、自社、のそれぞれに多大なる迷惑を掛けている感じですね。なおかつ、その被害に対する対応に関しても先延ばしが炸裂しているので、二重三重に被害が連鎖しているような状態…でしょうか。
ーーこういった傾向について、ご意見をお聞かせください。
よんてんごP:投稿の反響を見ても感じますが、私のいるIT業界だけでなく至るところでこのような「先延ばし癖」のある管理者の方はおられるようで、実際にリプライ等でも「うちにもいます」「当に今同じ目にあっています」という方から、「私もその傾向がある」「自分のことを言われてるようだった」という反応まで様々でした。
ーーご自身は。
よんてんごP:実際には私自身も嫌なことは先延ばしに、避けたいと思う事はあるのですが、やはりそこは自分の都合だけではなくて、大局的な検知から「ここで先延ばしにしたらどういうことになるか?」ということを考えてほしいなとは思います。ただ一方で、仕事が重なったり心身摩耗状態になると、「もう何でも良いや~~」となってしまう社員の人も沢山見てきたので、先延ばしにする当人だけの責任か?というのも考慮すべき事情ではあるかと思います。
◇ ◇
先延ばし、希望的観測がはびこるのは企業内の業務のみならず、先の戦争や少子高齢化にも共通する日本社会の悪癖。これを克服しなければ日本に再浮上のチャンスはないかもしれない。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)