盗撮心配な場所は「トイレ」、女性の4割も被害に? 男性加害者「行為そのものにスリル」「盗撮の意識がなかった」

女性の4割強が「盗撮された」と感じたことがある--そんな調査結果が、弁護士ドットコム株式会社(東京都港区)が実施した「盗撮」についての意識調査で分かりました。また、日常生活で盗撮行為に気をつけている場所については、「トイレ」が最も多くなったそうです。

調査は、弁護士ドットコム®の一般会員974人を対象として、2023年9月にインターネットで実施されました。

まず、7月13日に施行された「撮影罪」(性的姿態等撮影罪)の認知度を調べたところ、「知っていた」が38.1%であったのに対して、「知らなかった」は61.9%と半数超に上りました。

また、撮影罪では、アスリートの盗撮(競技中のアスリートの股間等を盗撮すること)は「処罰の対象外」となったことについて、「アスリートの盗撮を含めるべきだと思いますか」と聞いたところ、「入れるべき」が62.0%、「どちらともいえない」が29.9%、「入れるべきではない」が8.1%となりました。それぞれの回答についてのコメントは以下の通りです。

【入れるべき派の意見】

▽新体操をしていた10代の時、どう見ても怪しい男性が撮影していて非常に不快だった。未成年者は大人に強く言えないし、その場で証拠を押さえることもできない。アスリートを守ることは大変重要だと思う(30代女性)

▽競技中のフォーム悪化や調子の悪さなど、アスリートの競技結果に悪影響になる可能性が高い。この問題を放置すると、国際的な大会を日本で開催する場合、国際問題になりかねないと思う(30代女性)

【どちらともいえない派の意見】

▽線引きが難しいと思う。結局悪質な撮影者に対して何もできないような形に落ち着くか、正当に仕事をしている人に迷惑をかけるだけのどちらかだと思う(30代男性)

▽撮影を仕事としているが、使うレンズや切り抜き、使用方法によって撮影者が意図せずとも盗撮の罪を課せられてしまう可能性を感じ恐ろしさを感じる。一方で、性的な意図で撮影され、YouTubeなどの消費コンテンツになってしまっている部分もあるので、撮影者、コンテンツクリエーター、競技者間でより慎重な議論が必要と感じている(40代男性)

【入れるべきではない派の意見】

▽アスリートは守られるべきだと思うし、アスリート側が嫌がることは絶対してはならないという前提ではあるが、その一方で撮影者の自由も担保されるべきだと思う。動きの速いスポーツという性質上、連写することもあるのでそういった写真が紛れ込むのは、ほぼほぼ必然であり、処罰の対象としてはふさわしくないと感じる(30代男性)

▽処罰範囲が不明確になる恐れが高い。カメラの持ち込みを制限するなど、主催者が対応できる事も多くある(20代男性)

次に、「盗撮をした経験」について聞いたところ、96.7%の人が「ない」と回答。「ある」と答えた人は3.3%となりました。

さらに、「盗撮をした経験がある」と答えた32人に対して、「盗撮をしたきっかけ」を複数回答で答えてもらったところ、「欲望を満たすため」(37.5%)、「スリルを味わうため」(21.9%)、「ストレス発散のため」(18.8%)といった回答が上位に並びました。

また、「盗撮した場所」については、「スーパーやショッピングモールなどの商業施設」(37.5%)、「電車やバス、タクシーの中」(34.4%)、「駅」(31.3%)といった人が多く集まる場所が上位を占めました。なお、加害者の経験談として以下のようなコメントが寄せられています。

▽最初は、被害者にバレなければ盗撮はいいだろうという勝手な考えから始まり、そのうちどんどんエスカレートしていき、盗撮した画像よりも盗撮する行為にスリルを求めて行うようになっていた。逮捕され専門病院で依存症治療を受けて、現在は2度と繰り返さない決意を持って生活している(40代男性)

▽10年以上前、友人が風呂に入る際に、自宅にカメラを仕込んで脱衣を撮影した。その後、罪悪感で動画はすぐ削除した。当時は色々なことで精神的に追い込まれており、奇行が目立っている旨を指摘されていた(30代男性)

▽自分のやっていることが盗撮という意識がなかったが、一度陸上競技場で校内放送で注意されたのが自分のことだと、後で気がついた(60代男性)

   ◇  ◇

一方、これまでに「盗撮をされた、あるいは盗撮されたのではないかと感じたことがある」と答えた人は25.3%となりました。これを男女別にみると、女性では44.0%に上り、半数近くが盗撮被害の経験者であることが分かりました。なお、被害にあった回答者からのは以下のようなコメントが寄せられました。

▽エスカレーターや道端で携帯から盗撮されたりする事が多い。逮捕されても1度目では前科にならず不起訴処分とは処罰が甘いと思う。また示談金の相場もすごく低い。性犯罪として強く取り締まるべき(30代女性)

▽大学生の時、本屋で本を物色している際にスカートの中を盗撮された。すぐにその場を離れて店員に伝えたが、盗撮犯は逃亡済みだった。盗撮犯に直接抗議するのは怖くてできなかった(30代女性)

▽トイレの個室にいた際に隣の個室の人が手を伸ばして上からスマホをこちらに向けていた(20代男性)

▽銭湯の脱衣所でスマホをいじっている女性に盗撮された。すぐに番頭さんに耳打ち後、女性警官が駆けつけて御用となった(40代女性)

続けて、「盗撮された経験がある」と答えた246人に対して、「盗撮に気がついたきっかけ」を複数回答で教えてもらったところ、「不自然な”動き”があったので自分で気がついた」(66.3%)が最も多く、次いで、「不自然な”器具、機械”があったので自分で気がついた」(22.8%)、「周囲の人が気がついた」(12.6 %)と続き、多くの人が、周囲の人からの指摘ではなく、自身で違和感を感じて盗撮に気がつくという実態が明らかになりました。

また、「その他」(19.9%)としては、「シャッター音がした」「スマホのカメラが向いていた」「ウェブに掲載されていたのを知り合いが教えてくれた」などの回答がみられ、後日、盗撮した画像や動画をウェブに掲載されたり、脅迫によって知る人も一定数いることがうかがえる結果となっています。

そこで、「盗撮への対処」について複数回答可で答えてもらったところ、「相手に抗議した」(22.0%)、「家族や友人に相談した」(14.6%)、「警察に通報した」(12.6%)といった回答が挙げられたものの、約半数の人が「何もしなかった」(50.4%)と答えています。

また、「日常生活で盗撮行為に気をつけている場所」を複数回答で答えてもらったところ、「トイレ」(31.2%)、「更衣室、脱衣場」(24.8%)、「エスカレーター、階段」(20.6%)、「電車やバス」(19.9%)といった回答が挙げられた一方で、「気をつけていない」(49.3%)と答えた人が約半数という結果になりました。

最後に、「予防策」についての意見を聞いたところ、以下のような声が寄せられました。

▽盗撮していると疑われたくないから、エスカレーターで上に女性がいる場合や電車に乗る時は、駅への移動を含めて、スマートフォンは一切見ない(40代男性)

▽アダルトビデオで盗撮ジャンルがあるが、実際に同様のことを行った場合には犯罪となり、どのような罰を受けることになるかをビデオの最初と最後に表示することを義務付けるべきだと思う(50代男性)

▽静止画撮影は必ずシャッター音が聞こえない機能を無くす事。動画についても同じ様な機能が欲しい。動画の機能は小型カメラで使えなくする事が良いと思う(30代女性)

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