昭和の時代に見かけたUコン、ラジコンとの違いは? 実は静かに進化して、今も健在だった

 Uコンってご存知でしょうか。ラジオコントロール、つまり電波で操縦するのではなく、有線でコントロールする模型飛行機です。昭和の時代にはたまに河川敷などで見かけることがありましたが、近ごろはほとんど見聞きすることがなくなりました。

■京都の河川敷、RCスカイフェスタ

 京都RCヘリコプタークラブ(関西模型クラブ連合会)が毎年秋に開催しているRCスカイフェスタ。その飛行会に今年Uコンが登場すると聞き、取材に行きました。

 場所は国道1号にほど近い京都宇治川模型飛行場。一般社団法人関西模型クラブ連合会が国土交通省の許可を得て運用している、とても整備の行き届いた模型飛行場です。当日は風はあるものの晴天で、模型関連メーカーのブースやキッチンカーも出るなどお祭ムード。刈り込まれな芝生の上に大小様々な飛行機やヘリコプター、撮影用のドローンなども並べられています。

■スケール機の飛行、そして極限デモ飛行

 最初にスケールヘリのフライトから始まりました。目立っていたのは前後にローターのある輸送ヘリ、バートルです。このタイプの操縦は複雑で非常に難しいのだそうです。電動式で、ほぼ無音のフライトです。

 それから、固定翼機(いわゆる普通の飛行機ですね)のトップフライヤーによるアクロバット飛行。これがまたいったい何がどうなればあんな風に飛ぶのかという不思議な動きをします。直進しながらくるん、くるんと回るのをロール飛行とか言いますが、それが連続してまるで電動ドリルのようにぐるんぐるん回りながら超低空を超スローで行ったり来たり上がったり下がったり。さらに垂直になってホバリングしたり。

 さらにF3Cというクラスの世界チャンピオンによるヘリコプターの動きは、もう目の前で実際に起こっていることが信じられません。当たり前のように背面飛行して、そこから残像が残りそうな勢いで上下に往復移動、機体を回転させながら真横に瞬間移動、ローターが触れるすれすれの高さで真横になって水平移動……。動画で見せられたらきっと「CGでしょ」とか「タイムラプス?」な世界です。

■いよいよUコンの飛行

 そのあと、いよいよUコンの飛行です。

 軽く説明をしますと、これはRCと違って電波を使いません。また、翼の先で機体と繋がっている線はワイヤーですが、ここを通して電気でコントロールするわけでもありません。手で持ったU字型のコントローラーを傾けて二本のワイヤーを交互に引くことで、尾翼のエレベーター(昇降舵)をコントロールするのみなのです。操縦者の回りを円を描くように、遠心力とワイヤーで、わかりやすく言うとぐるぐる振り回すような動きです。なので左右の舵はありません。ワイヤーの長さは19~21メーターくらい、つまり半径20メーターあまりの範囲を飛ぶことになります。

 以上の説明から普通に考えると「単にぐるぐる回るだけやん、それって面白いんか?」なんて思われそうですが、実際に見るとこれがまたすごい動きをするんです。

 最初は普通にクルクル旋回していたのですが、いきなりクイックに軌道を変えると宙返り、背面飛行、複雑な軌道の連続宙返りなど、ワイヤーに繋がってることがにわかに信じられないような自由な動き。まさに目から鱗です。また、円の中心で操縦しているパイロットの動きもかかっこいいです。

 Uコンの歴史は戦前の1936年ごろが始まりとされます。1970年代には筆者もたまに見ました。エンジンの音を響かせながら河川敷などでぐるぐる回っていたのを憶えています。RCが普及すると下火になっていったのか、見かけなくなりました。

 今回話を聞くと、最近その面白さが見直されつつあり、愛好者が増えてきているのだといいます。また、現在はエンジン機を飛ばす人はほとんど居なくなって、ほぼ電動なのだそうです。

 とにかくこのシンプルな機構で、あんなダイナミックでアクロバティックな飛行ができる。これは確かに面白いと思います。飛ばせる場所さえ近くにあれば、筆者もちょっとやってみたいなあと思いました。

 その後、F3Cクラスで海外遠征をする現役女子高生パイロットの岩田愛佳さんによるデモフライト、世界に2機しかない(もう1機はフランスにあるそうです)巨大な模型ジェットヘリ・アグスタの飛行などもあって、RCスカイフェスタは盛況のうちに無事終了いたしました。

 季候の良いこの季節、素敵な大人達が集まって和気あいあいと、しかし真剣に趣味を楽しむ1日。こういう世界に触れ、世の中に楽しいことはいろいろあるなあとうれしい気分になりました。

(まいどなニュース特約・小嶋 あきら)

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