弟に譲られた実家…両親が亡くなったとたん、速攻で売却された! 「維持管理のための預金も渡されていたのに、どうして」…50代主婦の後悔

「相続で実家の古い土地建物を譲り受けた」「高齢者施設に入居するのをきっかけに実家の整理を手伝うことになった」…。人数の多い団塊世代が直面しつつある「終の棲家の後始末」について、気にかかる方も多いのではないでしょうか。そんな「実家の売却・整理」には、家族の問題もからんでくるため、なかなか一筋縄ではいかないことも多いようです。経験者の方の「大失敗」エピソードをご紹介します。

■実家の「行く末」こんなことになるとは…

Aさん(関東在住、50代、主婦)は結婚して実家を出ましたが、実家まで車で30分程度のところに住んでいます。遠くに住んでなかなか顔を出せない弟にかわり、普段から両親と時間を過ごしてきました。

ところが、両親が相次いで体調を崩し、施設に入る前にこんなことを言い出しました。

「実家の土地家屋は長男である弟に残す。維持管理のために預金も長男に」

突然の相続放棄を迫られたAさん。実家に愛着はあるものの、「ウチはもう家を建てたし、弟家族は賃貸暮らしだし…」とモヤモヤしながらも納得。預金も渡されれば、きっと弟も実家を守ってくれるだろうと思って判断したそうです。

ところがしばらくして両親が亡くなると、弟は速攻実家を売却。しかもAさんには一言の相談もありませんでした。

実家が残ると思っていたAさんは大変なショックを受けました。「両親も実家が残ると思っていたはずなのに、と思うとやり切れません。後でトラブルになったとしても、私と弟で共有分割にしてもらえばよかったと思っています」と、5年経っても悔しさがなくならないとため息をついています。

■実家の整理の考え方で高齢の両親に深い溝

就職をきっかけに実家を出たBさん(関西在住、40代、会社員)。実家までは新幹線に乗って行くほどの距離で、なかなか帰省のタイミングをつくれていませんでしたが、このたび長く嘱託職員だった父親の退職祝いで久しぶりに実家に帰りました。その際に、突然父親からこんなことを言われたそうです。

「定年後は田舎に住みたい。もう移住先も決めていて、家賃が安いからこの家を売れば100歳まで長生きしても問題ない。不動産会社もぜひと言っている。売っていいか?」

Bさんとしては実家に帰るつもりもなく、どちらでもよかったのですが、それを同時に聞かされた母親は大激怒。

「この土地で40年以上やってきて、これからわざわざ一から出直すなんてありえない。やりたければ一人で勝手にどうぞ。私はこの家から死ぬまで出ません!!」

父母どちらの気持ちもわかるBさんは、結局「良い季節だけ毎年2カ月のプチ移住」を提案。「熟年離婚」につながりそうな危機を、なんとか丸く収めるまで1年かかったそうです。

■よそのうちの売却相談なんてのるんじゃなかった

Cさん(関東在住、30代、主婦)には昔から親しくしている叔母がいます。叔母にはひとり息子がいるものの、親子の相性が悪いせいかもう何年も実家に顔を出すことはありません。早くに夫を亡くしたこともあり、広い一軒家にひとり暮らしをしています。そのため、近所に住むCさんが自分の母親と一緒に、時々顔を出していました。

その叔母から「子に家を残したくない。売って老人ホームに移るから、売却を手伝って」と頼まれ、引き受けたCさん。幸いすぐに買い手も付き、叔母からは感謝されて、それなりの報酬をもらうことになりました。

しかし、それを聞きつけた叔母の息子、つまりCさんのいとこは激怒。「金目当てで近づいて、年寄りをだまして大金をせしめた」と言いがかりをつけられる羽目になりました。親戚中に悪口を言いふらされ、相当不愉快な思いをしたそうです。

付き合いの長い親戚とはいえ、よそのお家の財産のお話。「軽々しく協力などするのではなかった」と、Cさんは叔母との付き合いに少しずつ距離を置き始めています。

(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)

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