傷つき、ウジがわいた猫 「助かるか五分五分」猫エイズ陽性でも家族の一員に「放っておけなかった」
ビコちゃん(4歳・オス)は2020年の春に東京都在住のにゃうこさん宅に現れた。腰あたりに小さな傷があったが、人馴れしていないため、すぐに保護ができず様子を見ることにしたという。
人に慣らすため、数日間、自宅敷地内でご飯をあげていると、傷が大きくなっていた。15分ほど格闘の末、緊急保護し夜間救急対応の病院に連れて行ったという。
「傷は猫同士の喧嘩による咬み傷が悪化し、傷口にウジがわく皮膚蝿蛆症(ひふようそしょう)になっていた為、皮膚内部が食い破られており、表面上は小さな傷でしたが少し触るだけで皮膚が取れてしまう状態でした。腐ってダメになった皮膚を取り除くと手のひらほどの大きな穴ができていました。初診の段階では『かなり酷いので本人の体力次第、助かる確率は五分五分』とのことで即入院になりました。」
翌々日には虫の駆除が済んだと連絡があり、様子を見に行くと検査の結果、猫エイズ陽性と判明した。にゃうこさんは、里親探しは難しいだろうと家族と話し合い、迎え入れる決断をしたという。
「猫はビコで3匹目ですが、先代猫達も猫風邪が悪化していたり、骨折している所を保護したりと負傷猫ばかりで、放っておくことはできませんでした。先代猫が亡くなり、保護猫活動にも関心があったので、譲渡会に足を運ぶようになった時にビコと出会いました。これも縁だと思います。」
■猫派になった夫と息子
ビコちゃんは、2週間の入院後、5月23日に退院して家に来た。入院中も鳴かず暴れず、怖さのあまりただ固まっていたという話を聞いていたので、「大きな音を出さない」「かまわない」「近寄らない」「お世話は1人だけ」という約束事を決めた。
「すぐにご飯は食べてくれましたが、こちらの様子を伺っているのはわかりました。」
とても怖がりでビビりだったので、最初はビビと呼んでいた。そのうち通称だったビコと呼ぶ方が多くなり、ビビでは反応しなくなった。
性格は慎重で怖がりだけど寂しがり屋。
「抱っこも苦手、膝に乗るのも苦手だけど撫でられるのは大好きなので、どこを触っても怒りません。」
遊んでもらうことやブラッシングなどスキンシップが大好き。虫を見つけても触れず、ただ虫の周りをぐるぐる回る微笑ましいところもある。
にゃうこさんは長年動物と暮らしていたが、夫は結婚するまで動物と暮らした経験が無かったため、家族として迎え入れる猫はビコちゃんが初めて。
「犬猫付きで私と結婚した為、老犬・老猫と暮らした経験はありますが、猫に関しては懐かなかったので、ほぼノータッチでした。息子も老猫としか暮らしたことがなく、ほぼ寝てばかりの猫としか接して来なかったため、私よりも主人と息子が猫にハマりました(笑)猫の生態や飼育環境などにも気を配る様子が伺えます。」
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)