キジの野良猫を保護 検査すると出産直後、授乳中の体だった 生まれたばかりの子猫はどこに
行き場を失った猫、犬などを保護する団体は全国に複数存在しますが、どの団体にいる保護猫、保護犬も「いたって健康体」であるとは限らないことが多いものです。中にはかつていた環境の影響や、先天的なものの影響で、障がいや持病がある保護猫、保護犬も数多くいて、こういった子たちは、健康体の子に比べて新しい里親希望者さんが見つかりにくい傾向にあることも現実です。
千葉県我孫子市で猫の保護活動、TNR活動を行う団体・ねこ友会では「里親希望者さんとの縁がつかみにくい保護猫のための施設を作ろう」と一念発起。資金調達のため、クラウドファンディングをスタートさせることにしました。
このクラウドファンディングを始めたその日、ねこ友会に保護された猫たちがいました。「通称・クラファンベビーズ」と名付けられた4頭の子猫たちです。
■出産直後の母猫は子猫たちから遠く離れないもの
クラファンベビーズの保護のいきさつはこうです。
ある地域で過ごしていた野良のメスのキジネコがいました。地元の人がなんとかしてこのキジネコを自宅に迎え入れてあげたいと、日々餌をあげるなどしコミュニケーションをとっていました。
キジネコはやがて心を開くようになり、この人の自宅にも抵抗なく入るようになりました。この人は迎え入れるに際して、まず、このキジネコを動物病院へと連れていき、健康面での検査をしてもらうことにしましたが、驚くべき事実が分かりました。このキジネコは、この人の知らないところで出産して間もない状態で、現在は授乳中とのことでした。
出産直後の母猫は子猫たちから遠く離れないものです。キジネコが元いた近くを捜索したところ、4頭の子猫たちが「ミャーミャー」と小さな声を出しながら過ごしていました。もちろん、この子猫たちも放っておくわけにはいきません。そこで、ねこ友会が協力するカタチとなり、この子猫たちも保護されることになりました。
■すでに威嚇する猫らしさを発揮した4頭
4頭はキジ白2頭、キジトラ1頭、グレーホワイト1頭の4頭。まだ生まれて間もないことから、ねこ友会ではこの子猫たちを預かり、より慎重にお世話をすることにしました。
4頭それぞれに「ハリー」「ダン」「ロン」「ハーミー」という『ハリーポッター』になぞった名前をつけてあげましたが、いずれの子も初めて見るものに対して、目をパッチリ開いて「シャー」と威嚇する猫らしさを兼ね備えていました。
ねこ友会のスタッフは「これだけ元気ならすぐに里親希望者さんが見つかるはず」と、同団体が主宰する定期譲渡会に4頭とも参加させることにしました。
■新しい試みでも多くの幸せが実現しますように
すると、すぐに4頭ともに里親希望者さんが現れました。そのうち、ダンくんとロンくんを迎え入れてくれたお家には、ねこ友会出身のおはぎくんという先住猫が暮らしていますが、その温厚な性格からまだ小さいダンくん、ロンくんを見守りながら穏やかに過ごしているようです。もちろん、ダンくんもロンくんも、そんな先住猫をお手本にしながら、健やかに過ごして、そして家族にも思いっきり甘えてくる猫に成長中とのこと。「本当に良かった」と胸を撫で下ろすスタッフでした。
ねこ友会がクラウドファンディングを実施した日、こんな保護と第二の猫生へのサポートがあったわけです。このクラファンベビーズのように、ねこ友会の新しい試みにより、1頭でも多くの猫たちの幸せが実現すると良いですね。同団体の今後の動向にもぜひご注目ください。
ねこ友会
https://nekotomokai.amebaownd.com/
(まいどなニュース特約・松田 義人)