都心に近い「浦和」か、新幹線も乗れる「大宮」か…住むならどちら? 埼玉“因縁のライバル”をデータで比較
埼玉県民なら一度は聞いたことがある「大宮vs浦和」論争。同じさいたま市になった今でも、大宮と浦和はお互いの区をライバル視していると言われています。株式会社LIFULL(東京都千代田区)が運営する情報サイト『LIFULL HOME'S』は、独自のデータなどを活用し、「住まい探し」の観点から大宮と浦和の比較調査を実施しました。各データを同サイトのチーフアナリスト中山登志朗氏が解説しています。
■人口推移
住民基本台帳による月別人口推移によると、2023年10月の人口では「大宮区」が約12.4万人、「浦和区」が16.9万人。人口差はあるもののどちらの区も人口は増加傾向で、2012年8月からの伸び率は「大宮区」が111.6%、「浦和区」が114.5%と、ほぼ同水準となっています。
※さいたま市 町名別人口、さいたま市、クリエイティブ・コモンズ・ライセンス 表示 2.1
https://www.city.saitama.jp/006/013/005/001/jikeiretsu.html
【中山氏の解説】
総務省の調査によると、2022年に人口増が最も顕著だったのがさいたま市で、良好な交通利便性、比較的安価な住宅価格、リモートワークの定着が要因とされており、その中心エリアである大宮区も浦和区も今後の人口増が期待されます。
■住みたい街ランキング
「2023年 LIFULL HOME'S みんなが探した!住みたい街ランキング」の首都圏版を見ると、賃貸意向は「大宮」の2位に対して「浦和」が39位、購入意向でも「大宮」が8位に対して「浦和」は41位と、いずれも大差をつけて「大宮」に軍配が上がりました。
【中山氏の解説】
大宮は首都圏有数のターミナル駅に成長し、新幹線移動も含めた交通利便性の良さや駅勢圏(駅周辺の繁華性の高いエリア)の広さなどが高く評価されています。
■駅周辺の充実度
続けて、「駅周辺の施設充実度」について、徒歩圏で到達できる範囲に「生活利便施設」「商業・レジャー施設」「教育・学び施設」など、都市のアメニティがどれだけ集積しているかを100点満点で評価する指標「Walkability Index(ウォーカビリティインデックス)」で、駅周辺の充実度を比較した結果、「大宮」は78点、「浦和」は77点と、わずか1点差で「大宮」に軍配が上がりました。
※大宮:https://lifullhomes-index.jp/info/areas/saitama-pref/00040-st/
※浦和:https://lifullhomes-index.jp/info/areas/saitama-pref/00541-st/
※Walkability Index:https://www.nikken-ri.com/wi.html
【中山氏の解説】
指数では具体的な利便性を実感できませんが、大宮は弁当・惣菜50点、公園57点、医療施設55点、交番50点と50点台の項目が多いのに対して、浦和は満遍なく高得点を挙げており、どの項目を重視するかで大宮か浦和かを選択する意向に影響がありそうです。
■交通利便性
他方、「交通利便性」について、利用可能な路線数で比較した結果、新幹線の利用が可能な「大宮」が15路線、「浦和」は5路線となり、こちらも「大宮」に軍配が上がりました。一方、主要駅(東京・新宿・渋谷・池袋・上野・品川)へのアクセス時間は、いずれも「大宮」より都心方面に位置する「浦和」に軍配が上がっています(新幹線利用は除く)。
【中山氏の解説】
大宮には新幹線だけで6路線が乗り入れ、JR在来線に私鉄も加わって、上野に代わる「北の玄関口」のポジションを獲得しています。浦和は大宮よりも都心寄りですが、JR在来線のみの乗り入れとなっており、出張や旅行、帰省なども含めて交通利便性は大宮に優位性があります。
■賃貸物件の家賃相場&物件数
次に、「賃貸物件の家賃相場&物件数」を見ると、家賃相場は「大宮」の7万5000円に対して、「浦和」は7万円。物件数は「大宮」が1万3378件、「浦和」は8078件、駅から徒歩5分以内の駅近物件数は「大宮」が1万3378件、「浦和」は8078件、新築物件数は「大宮」が2599件、「浦和」は1096件となり、「大宮」に軍配が上がりました。なお、この項目の調査概要は以下の通りとなっています。
抽出期間:2022年1~12月の期間(1年間)
家賃相場:築40年以内、駅徒歩20分以内、定期借家を除く、専有面積15平米以上40平米未満
物件数:築40年以内、駅徒歩20分以内、定期借家を除く
駅近物件数:築40年以内、駅徒歩5分以内、定期借家を除く
新築物件数:築1年以内(未入居)、駅徒歩20分以内、定期借家を除く
【中山氏の解説】
交通利便性と駅勢圏の広さは大宮がやや優勢で、その影響が賃貸ニーズにも反映されています。首都圏の家賃相場分布は都心に物理的に近いエリアの水準が高いのですが、主に単身者向け物件の家賃相場で、大宮が7.5万円に対して浦和は7.0万円と逆転しているのは賃料が高水準な駅近、新築物件が圧倒的に多いことがその要因です。
■中古マンションの価格相場&物件数
また、「中古マンションの価格相場&物件数」を見ると、価格相場は「大宮」の3685万円に対して「浦和」は5180万円と約1500万円もの差が見られました。物件数では、「大宮」が1404件、「浦和」が1022件、駅から徒歩5分以内の駅近物件数は「大宮」が348件、「浦和」は84件となり、賃貸ニーズとは対照的に購入ニーズは「浦和」に軍配が上がりました。なお、この項目の調査概要は以下の通りとなっています。
抽出期間:2022年1~12月(1年間)
価格相場:築40年以内、駅徒歩20分以内、専有面積30平米以上75平米未満
物件数:築40年以内、駅徒歩20分以内
駅近物件数:築40年以内、駅徒歩5分以内
【中山氏の解説】
住宅購入は長期の居住を前提とするため、交通・生活の利便性に加えて住環境、教育・医療、安全性などチェック項目が多岐に渡り、住宅地としての“品質”が評価された結果です。