「何か諦めているように力なく」離婚で飼育放棄され転々としたダックス 毛は抜けダニも…から6年、新たな家族と穏やかに
■飼い主の離婚後転々と
半蔵くん(11歳・オス)は、愛媛県のある夫婦の離婚に伴い飼育放棄された。他の人が預かっていたが、そのお宅も引っ越しするため、さらに別の家庭に一時的に引き取られたという。譲渡サイトに掲載されたが、誰も引き取り手が現れず保健所へ行くことになっていた。
愛媛県在住の吉田さんは、その頃、譲渡サイトに掲載されていた半蔵くんを見た。
「当時預かっていた人に『ご飯も付ける、去勢手術もこちらでやりますから引き取って下さい』と言われました。『そんなこと言われなくても引き取ります』と言い、『そんなにこの子には価値が無いのか』と悲しくなりました。夫に相談することもなく決めました。」
■寄り添う先住犬
2017年8月5日、吉田さんは半蔵くんを引き取りに行った。5歳くらいになっていた。
半蔵くんは、引き取りの時から何かあきらめているように力なく大人しく、生気がないような感じで、吉田さんは心配した。
「実際抱いてみると、ハゲだらけフケだらけで本当に小さかったです。片道1時間ずっと、『もううちの子やからな、もうお引っ越しはないからな!』と声をかけ続けて帰りました。帰宅後はケージから出てこず、唸りもせず、ただただ隅っこにいましたが、先住の太陽がズカズカとケージに入り、仲良くなりたくてケージの中で寄り添っていました。」
半蔵くんの初めてのウンコは寄生虫だらけで衝撃的だった。
「耳にも大きなマダニがいて、なんでこんなになるまで…と非常に辛い気持ちになりました。同時に『何が何でも幸せにする!!』と決意しました。」
吉田さんの夫は、「忍者みたいな顔だ!お前は半蔵だ!」と命名した。
半蔵くんは舎弟気質。太陽くんが庭から帰ってこない時、半蔵くんに「タイちゃん呼んできて!」と言うと、ちゃんと呼びに行って太陽くんと二人で帰ってくる。
「太陽がスロープに登るまで下で待ってから最後に入ってきます。お水を飲むのもちゃんと並びます。」
夫はトラック運転手でほとんど家にいないという吉田さん。
「彼らを迎えて毎日楽しいです。まるで兄弟のように私たちを癒してくれます。」と言う。
(まいどなニュース特約・渡辺 陽)