「設備がイマイチ」「これでこの価格?」マンション売却、内見に来た人にあぜん 片っ端から家に文句を付け「うちは見世物じゃない」
「終の棲家」のつもりで買ったマンションだったけれど、家族や仕事の都合で住まいを替えることに……。そんなときにいちばん不安になるのは「新しい家がうまく見つかるか」よりも「現在住んでいる家がうまく売却できるか」の方ではないでしょうか。
Aさん(関東在住、40代、主婦)は配偶者の転職をきっかけに15年前に購入した分譲マンションを売却。無事にローンの残債なく買い手が見つかりましたが、そこに至るまでには色々とイヤな経験もされたそうで……。特に「マンションの内見」の時には、訪れた人たちにいろいろと困惑したそうです。
■「興味だけ」が丸わかりなご近所さん
夫の転職で引っ越しをすることになったAさん夫婦。「いつかは売って郊外に引っ越すのもいいかもね」ともともと思ってはいたそうですが、夫の転職も知人からの声かけがきっかけで急な話だったため、引っ越しまでのスケジュールがタイトになってしまいました。
「多少値段が下がっても、ローンの残債さえクリアできれば早めに売却したい」と売却依頼をしたところ、地域のランドマーク的な大きなマンションだったこともあるのか意外に反響も大きく、週末土日に設定したオープンハウスには何組もの見学申し込みがありました。
イヤな見学者のひと組目は「超ご近所さん」でした。
犬の散歩でよくすれ違う50代くらいの中年女性で、服装が特徴的で印象に残っていたのです。「近所のひとが住み替えを考えることもよくあることだけれど…?」と不思議に思っていると、部屋の中を一通りじろじろ見回して、営業マンを振り切るように足早に退室していった中年女性。
営業マン曰く「ああいう、興味本位で近所のマンションのなかを見てみたいっていう人いるんですよ…」とのこと。「ええ~…見世物じゃないんですけど…」と思わず口に出てしまったそうです。
■まだ生活中なのに収納やキッチンのなかを全部見たがる
次にAさんが辟易したのが若いカップル。こちらは先程の超ご近所おばさんと違い、真剣に家探しをしているようでしたが……。
見えるところはきれいに掃除をして見学者を迎えたとはいえ、そこはまだ居住中。細かい生活雑貨はとりあえず収納に押し込んでおいたのに、なんと若いカップルは断りもせずにキッチンのカップボードを次々に開け始めました。
「えっ」と思うまもなく、カップルの男性は別行動で玄関の収納棚をチェック。
確かに収納は気になるけれど、まだ住んでるってわかるよね!?とビックリ…。写真を撮ろうとスマホを取り出したのは流石に営業マンが止めてくれたそうですが、Aさんはこの時点でぐったり疲れてしまいました。
■売り出し価格について聞こえよがしに「高すぎる」
もちろん常識的な見学者の方のほうが多く、銀行ローンの算段までその場で話をすすめようとする家族もあり「なんとか早めに売却が決まりそう…」とホッとしたAさんを最後に苛立たせた見学者はこんなひとでした。
「え、眺望抜群って書いてあるのに思ったより抜けてないわね」
「築15年も経つと設備がいまいちねえ……オールリフォームかしら」
「柱の位置が悪いから平米数ほどの広さは感じないわあ」
「…え、犬がいるじゃない!ニオイ染み付いてるわね!!」
「これでこの価格?…強気ねえ~もうちょっと待てばいいわよ、どうせ残るから」
…とにかく、見るものすべてに文句を付けずにいられない人のようで…なぜかそれをAさんの耳にも入るように、大きな声で言うのでした。「他の申込みがなくても、あの人には絶対に売らないでください」と不動産会社にお願いしたAさんでした。
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首都圏の不動産中古マンション物件の成約物件価格は10年連続で上昇し、4,276万円と4千万円台になるなど、活況の続く中古マンションマーケット(※)。マンション売却の裏側話はまだまだ増えそうです。
※出典:首都圏不動産流通市場の動向(2022年)http://www.reins.or.jp/pdf/trend/sf/sf_2022.pdf-公益財団法人東日本不動産流通機構
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)