祇園にあふれるゴミ…京都のオーバーツーリズムに悲鳴!市民の大半は「観光業」と無縁なのに…

京都市は今、繁華街や人気観光スポットを中心に、平日の昼間でもスムーズな歩行が困難なほど、多くの観光客でごったがえしている。

とくにこれからは、1年で最も観光客が多い「紅葉」の季節。京都市は住民に対し、「マイカー」ではなく公共交通の利用を呼びかけると共に、嵐山や高台寺、東寺周辺の紅葉名所で、11月18日と19日、23日と25日、26日の臨時交通規制の実施を告知している。

そんな中、京都市内に住む、あと(@atoreiyu200001)さんがX(旧Twitter)に投稿した画像に大きな注目が集まった。

■ゴミ箱からあふれかえる「旅行者のゴミ」

「京都旅行者の民度」とつぶやき投稿されたその画像に写っていたのは、京都市が設置したゴミ箱4基から、大量のゴミがあふれかえった様子。

すでにゴミ箱は満杯だが、ゴミを持ち帰りたくない旅行者がせめてゴミ箱の側に…と捨て置いたのだろうか。あふれかえったゴミ箱の周囲には、ペットボトル、コーヒーチェーン店のプラスチック容器、ビール缶やカップ麺容器、酒瓶など、大量のゴミが散乱している。

撮影された場所は、京阪電車「祇園四条」駅前、「京都南座」前のバス停横。八坂神社や祇園花見小路、祇園甲部歌舞練場などに通じる歩道であり、京都の中でもとくに風情のある場所だ。

ゴミ箱がいっぱいだから、でもゴミは持ち帰りたくないからと、そんな場所に平気でゴミを捨て置ける旅行者……彼らはいったい「京都」に何を求めて来たのだろうか?

撮影したあとさんによると、これは連休や週末などではなく、「毎日の風景。いつでも見られる」とのこと。散乱した大量のゴミは、「近くに住む住民の方が善意で清掃してますよ。住民じゃなくても、ゴミ袋持って京都市内の掃除をしに来る人はいますし…」と、あとさん。

「観光客のゴミ回収車の費用は、観光の恩恵を何も受けていない多くの京都市民の税金から」と嘆いていたあとさんの投稿に対し、多くの反響が寄せられた。

■「観光客多過ぎ」「もはや処理出来ないレベル」

「酷いなこれ。観光客多過ぎ」

「観光公害ってやつ」

「あまりにも観光客が多過ぎる。処理出来ないレベルと違うかな」

「テイクアウト販売してる店が掃除しろよって思ってしまう。受益者負担」

「159億円かけて改修した立派な京都市役所本庁舎前に、ご近所さんが毎日片付けておられるゴミをプレゼントされれば良いと思います」

「もうゴミ箱、撤去したほうがエエと思うんですが」

寄せられたコメントの中には、「ゴミ箱の数」や「ゴミ回収の頻度」の少なさを指摘する声も多かった。これについては、オーバーツーリズム問題に対処できていない京都市政の問題だ。しかしここは人の往来もかなり多いバス停横の歩道。また、ここは車の往来の激しい交差点付近でもあり、これ以上の数のゴミ箱設置や、早朝や深夜以外にもゴミ回収車が作業をするのは実質不可能と言える。

そして残念なことに、観光客であふれかえる京都市内では今、こういった光景があちこちで目撃されている。

■京都市民の大半は「観光」の恩恵は受けていない

「京都のオーバーツーリズム問題」が話題になると、「京都は観光で食ってるくせに」「京都人はこれだから」といった声が必ず上がる。だが、京都市民のほとんどは「観光産業」とは無縁だ。

京都市のHPによると、京都市内の「観光産業」のGDPは市内全体の推計約10%。その10%分の市の税収のため、「観光」の恩恵を受けていない市民も、「観光業」のために使用される税の負担や日常生活における不自由を強いられているのが現実だ。

■ゴミを持ち帰る、片付ける、互いの「思いやり」

寄せられた多くの反響について、「とくに気になったのが、圧縮式ゴミ箱の設置や、企業がスポンサーとなりゴミ箱を設置するという意見でした」と、投稿者のあとさん。

「僕自身は、旅行者が置いたゴミが汚くてみんなが困ってるという意味と、旅行者が一応ゴミ箱の周りにゴミを置いてくれてるという意味を込めて、高いとも低いとも言わずに、観測気球のような感じで『京都旅行者の民度』と書きました。観光地は旅行者がいるからこそ観光地になり得るわけですが、互いの思いやりは必要かなと思います。

僕はもともと小京都と呼ばれる景観の良い場所の出身なので、美しい景観を作り守り続けている京都は好きですし、歴史や文化財なんかを守り続けることの大変さがよくわかる…。でもそういうことは、実際にそこに住まないと理解してはもらえないんでしょうね。捨て置かれたゴミの回収後の分別のことも考えれば、自分なら適当には捨てられないですけどね」(あとさん)

■「市バスに市民が乗れない」

また、ゴミ問題に象徴される観光客のモラルやマナーの低下と並び、京都市民を悩ませているのが、観光客であふれかえる歩道や道路、公共交通などの過剰な混雑問題だ。

京都市では交通渋滞緩和のため、渋滞する観光地から離れた駅周辺に自家用車を駐車して、公共交通で移動する「パーク&ライド」の活用を呼びかけている。専用駐車場の設置に多額の税金も投入されたが、多くの他府県ナンバーの自家用車が市内を行き交う様子を見る限り、周知も効力も及んでいないのが一目瞭然だ。また、京都市が市民に利用を促している京都市営バスなどの公共交通は、常に観光客で満杯のラッシュ状態…。

「市バスに市民が乗れない…」「観光税を取るより、京都市民は観光客が減ることを祈っている」と、ポストしていたあとさんに同調する京都市民は少なくないだろう。

■京都市は今や持続可能な「観光都市」ではない…

とくに海外からの観光客が増え続ける一方で、京都市内の人口は年々減少傾向にあり、市区町村別では日本一の減少数となっているという。要因は、インバウンド拡大による宿泊施設の建設ラッシュ、円安で加速する外国人による不動産取得急増による市内の地価高騰。その結果、子育て世代を中心に滋賀県などへの人口転出が続いており、京都市の財政難に大きな影響を与えている。

例えば、敬老乗車証制度のように、市民には定額の乗車証を配布し、観光客の「市バス・地下鉄の乗車料金」を現在の倍額に設定するなど、観光客の乗車率をコントロールしながら、財源を確保できるような対策はあるはずだ。

納税者の流出を防ぐためにも、市民の負担を軽減するための大幅な財政やサービスの見直しなど、持続可能な観光都市としての早急な改革と対応が京都市に求められている。

(まいどなニュース/Lmaga.jpニュース特約・はやかわ かな)

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