見知らぬ民家の犬小屋で捕獲…臆病だった保護犬、今では元気な「イケワン好き」に! 里親に与えた希望

■民家の犬小屋に入っていた犬

朝比奈ちゃん(6歳・メス)は、千葉県の成田空港の北、神崎町というところで、民家にあった犬小屋に勝手に入っていた。2019年2月に捕獲器を使って捕獲され、千葉県の動物愛護センターに収容。捕獲されてから2週間ほど後に、保護団体「ちばわん」に引き出されたという。

一方、東京都在住のKさんは、同様に保護犬だった先代犬が亡くなった後、また犬と共に成長する喜びを分かち合いたいという思いに駆られていた。そんな時、朝比奈ちゃんに出会った。

「先代犬と同じ目をしている、と目に留まりました。初めて会った時はただただ可愛らしいと思い、2019年4月に朝比奈の里親希望の連絡をして、同年6月にトライアル。翌月に正式譲渡してもらいました」

■犬は崇高で美しい

朝比奈ちゃんを迎えると、用意したケージの中に自ら入って行き、静かに伏せていた。名前は、ちばわんの預かりボランティアが付けた名前をそのまま引き継いだ。

「預かりボランティアさんも、経験が長く、預かりの頭数が増えてくると、名前を考えるのに一苦労だそうです。朝比奈の預かりボランティアをしてくださった方も常に名前候補を考えておられ、横浜方面の高速道路にある朝比奈インターを通った時、『今度可愛らしい女の子を預かることになったら、“朝比奈”にしよう』と思って大切に取っておいた名前とのこと。これは絶対引き継ごう、と思いました」

朝比奈ちゃんはとにかく食べることが好き。常に怯えたり、固まったりしてしまう子だったが、オヤツの誘惑に負けて多くのことを克服してきたという。

「緊張するとオヤツを食べない子もたくさんいると思いますが、朝比奈は、病院などでも緊張で震えながらもオヤツは食べました(笑)。男性のことも最初は苦手でしたが、オヤツをくれる人には心を開くようになり、最近では男性に撫でられても逃げなくなりました」

「イケワン」好きでもあるという朝比奈ちゃん。もともと臆病でほかのワンちゃんともあまり友達になることは無かったが、ある時から急にスイッチが入ったように、若くてカッコいい男の子が大好きに!

「女の子や高齢のワンちゃんが正面から来ても、まるで見えていないかのようにスルーするのに、好みの男の子が来るとピーピー鼻鳴きして、数回大ジャンプをして、アピールします。朝比奈が好きになる男の子=イケワンたちは、穏やかで大らかな性格の子が多く、『見る目あるなー』とこちらも勉強になります」

先代犬や朝比奈ちゃんと暮らす中で、Kさんはものごとの優先順位が完全に変わったと感じるという。

「彼女たちは、経験や感覚をフルに使ってものごとを判断し、想像以上に多くのことを理解していると思います。一度信用したら愚直なまでに信じ続ける態度に、精神の高さのような、美しさのようなものを感じることがあり、ハッとします。雑事に惑わされている自分に気づかせてくれるというのか、地に足の着いた所に引き戻してくれるような感覚があります」

(まいどなニュース特約・渡辺 陽)

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