企業が注目する「2024年のキーワード」 「海外情勢」が上位の一方、「人手不足」関連が前年から急上昇

株式会社帝国データバンク(東京都港区)は、全国の企業を対象とした「2024年の注目キーワードについてのアンケート」を実施しました。その結果、「ロシア・ウクライナ情勢」がトップだった一方で、「人手不足・人材確保」「2024年問題」といった『人手不足』に関連するキーワードが前年から大幅に上昇したことが分かったそうです。

調査は2023年11月にインターネットで実施され、有効回答企業数は1090社でした。

全国の企業に対して、「2024年の注目キーワード」を複数回答で答えてもらったところ、1位「ロシア・ウクライナ情勢」(73.2%)、2位「物価(インフレ)」(64.7%)、3位「人手不足・人材確保」(63.6%)、4位「中東情勢(ハマス・イスラエルの紛争)」(62.2%)、5位「財政政策(増税など)」(59.1%)という結果になりました。

特に『海外情勢』関連では、1位の「ロシア・ウクライナ情勢」と4位「中東情勢」のほか、10位に「チャイナリスク(政治、経済的リスクなど)」(49.2%)がTOP10にランクインしており、これらを合わせると9割を超える企業が2024年のキーワードとして捉えていることから、「戦争や紛争の拡大で原材料・資材の高騰・調達難が懸念される」(飲食料品・飼料製造)など、海外情勢の変化にともなう原材料やエネルギー価格の高騰を懸念する声が多く寄せられています。

また、2023年のキーワードと比べると、3位の「人手不足・人材確保」は2023年から20pt以上も上昇したほか、運送業や建設業などの時間外労働の上限規制による「2024年問題」(50.8%)が7位にランクインするなど、『人手不足』に関連するキーワードが大幅に上昇しています。企業からは、「2024年問題により流通への影響が懸念される」(化学品卸売)などの声が寄せられ、幅広い業界において物流への影響を懸念し、注目している様子がうかがえました。

他方、デジタル技術の活用に関しては、16位の「生成AI」(35.8%)、18位の「DX(デジタルトランスフォーメーション)」(34.2%)がTOP20にランクイン。企業からは、「自社のような中小企業は賃上げを継続するために生産性の向上が必須。そのための業務プロセスのデジタル化やDX、生成AIなどの活用が重要なポイントになる」(サッシ卸売)といった声が寄せられました。

業界別に見ると、「建設」では2024年問題が迫るなか、「人手不足・人材確保」(74.3%、全体比+10.7pt)および「2024年問題」(61.1%、同+10.3pt)の割合が高く、体を10pt超上回る結果になりました。

また、「不動産」では「金利動向」(37.9%、同+11.8pt)、「小売」では「食品・日用品価格」(36.5%、同+15.6pt)といった個人消費に直接関わるキーワードがほかの業界より目立ったほか、「運輸・倉庫」でも「2024年問題」(79.0%、同+28.2pt)や「物価(インフレ)」(79.0%、同+14.3pt)などが高くなりました。

アンケートに回答した企業からは、「人材不足、エネルギー価格の高騰、価格転嫁の状況などで経営がますます困難な時代になる」(建設)、「海外リスクに加え、2024年問題に代表されるように、労働力確保や適正な賃上げができるかがポイント」(運輸・倉庫)などの声が聞かれたことから同社は、「海外の戦争や紛争の収束がカギを握るほか、政府・行政による多岐にわたる経済政策や、企業のビジネス環境の変化への対応力が問われる1年となろう」と述べています。

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