ゼリー状の黄色い果肉のパッションフルーツ「芝生みたいな味」「変な声出た」という若い実の中身とは
南国らしいカラフルな見た目と甘酸っぱいゼリー状の食感で人気のパッションフルーツ。しかし日本で見かけるものは熟したものがほとんど。若い実を見た人、食べたことがあるという人はきわめて少ないのではないだろうか。
今、SNS上ではそんなパッションフルーツの若い実を食べたという若者の投稿が秘かな注目を集めている。
「若いパッションフルーツ、切ってみたら中身がショボすぎて変な声がでました 芝生みたいな味でした」とその貴重な体験を紹介したのはニュージーランド在住の高校生で、小さな生物の観察、マクロ撮影、研究に取り組んでいる「ニュージーランドの生き物屋」さん(@Invertebratist)。
熟しているものとは違って、実も種も真っ白で、中身がスカスカのパッションフルーツ。芝生みたいな味だったという衝撃的なコメントに、SNSユーザー達からは
「(え…うちのも鈴なりなのになかなか色変わらないんだけど芝生なんかな…」
「摘果した瓜科の果実のように浅漬けは如何でしょう。クダモノトケイだと無理ですかね」
などコメントが寄せられている。
■投稿者さんに聞いた
ニュージーランドの生き物屋さんに話を聞いた。
ーーこの実を食べようと思った経緯を。
ニュージーランドの生き物屋:庭に植えてあるパッションフルーツに実がたわわに実っており、熟すまで待ちきれなかったため、その場の勢いで若い実をひとつもぎ取ってしまいました。パッションフルーツの若い実の食レポは聞いたことがなかったので気になった、というのも理由です。
ーーニュージーランドでは若い実も食べられるのでしょうか?
ニュージーランドの生き物屋:ニュージーランドでは日本と同様にパッションフルーツをグリーンカーテンとしている庭が見られますが、若い実を食べる人はいないと思います。
ーー味わいはいかがでしたか?
ニュージーランドの生き物屋:柑橘類のように、未熟な実でも爽やかな味がする果物もありますので、瑞々しい酸味を感じられないかとの淡い期待を持っておりました。しかし、実を切って中身を見た瞬間、その期待は崩れ去りました。
パッションフルーツの実の内側にある種たちを覆っている黄色い可食部は、熟している実でも少ないことは有名です。が、今回私が愚かにも食べようとした未熟の実では、そもそもその可食部が米粒以下くらいの大きさにしか成長していませんでした。肝心の味の方も、酸味はあまり感じられなく青臭いしまつです。参考にもともと可食部とはされていない皮の部分も食べてみましたが、こちらも青臭くボソボソしており、一週間断食でもしていない限り、そのまま食べられるようなものではありませんでした。アクを考えない場合、漬物にしたら味の問題は解決できるかもしれません。
ーー未熟の実は他にも試食経験が?
ニュージーランドの生き物屋:小学生のころ未熟のカラスウリを食べようとしたことがあり、形状、味ともにそれに近いものを感じました。実、花の形状や蔓性の生態がよく似ているので、納得がいく話です。ちなみにカラスウリは熟したものでもあまり美味しくないです。話は変わりますが、赤くなるまで熟したゴーヤの中身の種を覆う赤い部分は優しい甘さで美味なので、面白い果物を食したい方にはこちらを推奨したいと思います。
ーー投稿が反響を呼びました。
ニュージーランドの生き物屋:身近な農作物は店頭に食材として並んでいる姿ばかり連想しがちですが、彼らも立派な生き物です。彼らの一般的に目にするのとはまったく異なる姿を通じて、生き物の面白さを伝えられたら嬉しいです。農作物についてはまったくの素人なので、主観的な感想主体な書き散らしとなりましたことをおわびします。
◇ ◇
日本でも沖縄や鹿児島を中心にパッションフルーツを栽培している。若い実にご興味ある方はぜひ栽培農家などに交渉していただきたい。
今回の話題を提供してくれたニュージーランドの生き物屋さんはSNSを中心に日々、ニュージーランドの小さな生き物たちの写真を紹介している。いずれも非常に貴重で、興味深いものばかりなので、生き物好き、写真好きの方はぜひチェックしていただきたい。
(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)