大谷選手の犬「コイケル」人気で「悪徳ブリーダーの増加」「育てられず飼育放棄」懸念の声がSNSで続々

米大リーグ(MLB)で2度目の最優秀選手(MVP)に輝いた大谷翔平選手の飼い犬とみられるワンちゃんは、オランダ原産の猟犬「コーイケルホンディエ」(コイケル)。MVP発表の番組に出演した際、横に座っていたコイケルを目にして「飼いたい!」とブリーダーのところに予約が殺到するほど話題を集めました。

SNSでも、コイケル人気に火が付いたことに「大谷翔平効果でコイケル人気が出そう」「コイケルを本気で考える人が増えるのはうれしい」と好意的な声が上がる一方で、「悪徳ブリーダーが増えて、簡単に手に入れられて飼えなくなって棄てられる」「希少犬種というのは獣医さんもトレーナーさんもトリマーさんも経験が少ないから、どんなことが起きるかのアドバイスやフォローをしにくい」と懸念する声も続々と浮上。今回巻き起こりつつあるコイケルブームに対して、X(旧Twitter)に意見を投稿した人たちにお話を聞きました。

■「希少犬種はどんなことが起きても対応できる環境や経験が備わってる人じゃないと」

コイケルは、やや小ぶりな中型犬。性格は忠実で、おおらかだとのこと。昨年1年間に、日本で血統証明書が登録されたコイケルは150匹ほどで希少種だといいます。そんなコイケル人気に火が付いたことに、こうXに投稿したのが、愛犬家で犬用の光るリードなどを販売しているRUMKA (ルンカ)さん(@rumka313)。

「大谷さんのコイケル、飼いたい!って言う人いると思うけど、希少犬種というのは、獣医さんもトレーナーさんもトリマーさんも経験が少ないから、どんなことが起きるかのアドバイスやフォローをしにくいと思うの。希少犬種はどんなことが起きても対応できる環境や経験が備わってる人じゃないとね。大谷さんは実家でわんちゃんと暮らしてたみたいだし、なで方ひとつも熟練してる。それにお金があるからちゃんとしたシッターやトレーナーを雇える。大谷さんだから、飼える犬だと思っていい」

ルンカさんによると、希少種だからゆえの弊害として、同じ犬種を飼ってる人が周りにいないので相談しにくい。もしくは適切な回答を得られない。例えばトイプードルなら周りにたくさんいるので同じような経験の共有ができるものの、コイケルはそうした経験を得にくく犬を飼う経験のない人が購入することは慎重に検討すべきだと指摘。つまり、「野球選手が飼っていたから」という安易な気持ちで迎える飼い主側に対して警鐘を鳴らします。

■「平日も休日もしっかり犬とともに動く時間と覚悟が必要」

また飼う側の問題として、まっちーさん(@hime3648)も次のように投稿しています。

「大谷翔平効果でコイケル人気が出そうだけどさ。コイケル自体は元々猟犬だから散歩時間とか運動ある程度必要だし、訓練しないと飼い主は振り回されることになる。預かりホテルは月々の餌代、病院代も相当になる。犬好きとしてはその覚悟を持って15年近く生きる犬生と向き合ってから飼ってほしい」

飼うには環境的にも金銭的にも余裕が必要だと訴えるまっちーさん。自身もシェットランドシープドッグを歴代飼っているといい、犬と暮らすことについてこう話します。

「シェットランドシープドッグはコイケルよりは小型です。それでも毎日30-40分程度、2回以上の散歩が必要であること、餌代や医療、保険代などは飼育当初の予想以上にかかり、病気になればその都度お金が相当かかることもあります。また、しつけ面でも、飼い主自身が生活上トラブルにならない程度のマナーは最低限教えなくてはいけないという点からも、犬と暮らすということは相当好きでないとできないことだと思います」

さらに「簡単に飼える犬種ではないから心配…」との声を上げたづえぺさん(@obilililiiii)も、コイケルの飼育の難しさを説明してくれました。

「もともと、鴨やアヒルの猟で使われていた犬なので、毎日お散歩は1時間程度、そして思いっきり走らせるためにドッグランなどにも連れていくことが必要。垂れ耳なので耳掃除もこまめにしてあげないと汚れがたまりやすいと思います。コイケルは穏やかな性格が多いと聞いておりますが、それは飼い主が十分に運動させてあげたり、愛情をたっぷりそそげる時間があるからこそ。ですので平日も休日もしっかり犬とともに動く時間と覚悟がないと…」

■近年のMIX犬ブーム→「コイケルは特有の遺伝子疾患もあると報告。別の犬種を掛け合せるなどもってのほか」

そして、コイケルブームが起きた後には「悪徳ブリーダーが増えて、簡単に手に入れられて飼えなくなって棄てられる…の流れが出てきてしまう」という事態も起こりうるとの指摘も上がりました。

「コロナ禍でもペット需要が増えましたが、一方で『思ってたのと違う』『在宅勤務が減ったのでお世話が出来なくなった』などの理由で犬猫の飼育放棄が増えたと耳にしました。今回も大谷選手が飼われているということをきっかけに、安易に飼って育てられず飼育放棄になる飼い主、そして人気にあやかって無理な交配をするブリーダーなどが増えてしまうのではと心配しています。

このほか、コイケルに人気が集まる前からMIX犬も流行っておりますが、全然体格も性格も似つかない犬種をかけあわせると、遺伝子疾患を始めとする多数の病気にかかりやすくなります。コイケルは特有の遺伝子疾患もあると報告されておりますし、仮にコイケルと違う犬種を掛け合せるなどもってのほかです」(づえぺさん)

最後に、まっちーさんやづえぺさんはコイケルの購入を検討している人たちに対し、次のように訴えます。

「コイケルに興味を持ち、本気で飼いたいという思いがある方が増えるのは良いと思います。でも、『~選手がかっているから!』『かわいいから!』それだけで飼うのなら一度考え直してほしいです。体調不良や悪天候でもその子のために散歩や世話ができますか? 自分の予定や旅行ができなくなったり、余計にお金がかかっても一緒に暮らしたいですか? どんな病気になってもずっと守れますか?

家族ってそういうことです。興味があるのなら調べてください。詳しい人に聞く、ネットでも本でもいい。とにかく調べて、生活の中でのイメージをして、一生を過ごしてあげてほしいと思います。私が一番心配している点は、無責任な飼育者による保護犬の増加、虐待などです」(まっちーさん)

「コイケルは穏やかで飼い主に従順な性格が多いと聞いておりますが、どんな犬種でも、人間側に都合のいい『穏やか』『賢さ』を持ち合わせてるわけではありません。我が家にも牧羊犬2匹がおり、その内の1匹は犬の中で最も賢いといわれるボーダーコリーです。ですが、賢いがゆえにわれわれの想像を遥かに超える問題行動を起こしたりもします。今回大谷選手の件で人気が出ているコイケルですが、心にも時間にも金銭的にも余裕がなければ適切な飼育は難しいと思いますので、一過性のブームに惑わされず慎重にご検討をお願いします」(づえぺさん)

(まいどなニュース特約・渡辺 晴子)

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