2500万円で築30年の中古マンションを購入 憧れの最上階! 日当たりと開放感の良さに即決したら…30代女性の後悔

マンションに住むなら、高階層の方が良いと思う人は多いかもしれません。眺望も風通しも良いですし、何より最上階であれば上に人が住んでいないので、足音などの騒音トラブルなどに悩まされることもないでしょう。しかし、最上階だからといってメリットばかりではないという事を覚えておいた方が良いかもしれません。

■高階層マンションへの憧れ

Kさん(愛知県在住、30代、大学講師)は夫(愛知県在住、30代、IT系企業勤務)と賃貸アパートの1階で暮らしていました。内装などの設備は新築完成時に入居したので特に不満はないのですが、低層階で名古屋の都心だということもあり、陽当たりがかなり悪いという点に困っていました。

家賃も月々8万円と名古屋の都心にしては安かったものの、いざ住んでみると部屋は昼間でも暗く、冬場は凍えるように寒く、洗濯物の乾きも悪いとかなり日常生活に不便を感じていました。それでも賃貸の契約が2年あり、解約金ももったいないので住み続けました。

賃貸の更新が近づいてきたころ夫とも話し合い、次の住居はマンションを購入することに決めました。今回の賃貸で学んだ事をいかそうと思い、「高階層」を絶対条件で探そうという結論に至りました。

相談に行った不動産屋では、理想の部屋について、色々条件を聞かれました。そこでも「全部叶えることは難しいとは思うけれども、高階層だけは譲れない」と伝え、マンションを探してもらいました。

後日、営業担当者からお勧めの物件があると連絡を受け、内覧する事にしました。そこの部屋は築30年と古いですが、リノベーションされていて内装はとても素敵でした。6階の最上階で、問題の「陽当たり」も申し分ありません。ルーフバルコニーもついており、風通しも開放的な雰囲気もとても気持ちよく、自分たちがイメージしていた最高の部屋でした。

金額は2500万円。予算内でこんな素敵な部屋が見つかるなんて思ってもいなかったので、すぐに購入を決断しました。

ローンの手続きや、引っ越し業者の紹介まで営業担当者がテキパキこなし、無事転居の日を迎えることができました。

■いざ引っ越してみると…

新居への引っ越し作業も終わり、一段落したのでお風呂に入ろうと思い、チェックも兼ねてシャワーを捻ってみたところ、水圧がかなり弱いことに気がつきました。入浴するには不便なくらいの水圧でした。ほかにも洗面、キッチン…どこも水圧が弱いのです。

これはおかしいと思い、次の日購入した営業担当者に問い合わせました。すると「そこは共用部の問題なので、管理会社に確認して下さい」とのこと。そこで管理会社に連絡して確認してもらったところ「ここのマンションは『重力給水方式』というやり方を採用しているので、水圧が弱くなるのはしょうがない」と言われてしまいました。

重力給水方式は水道の本管から、屋上の水槽に水を一度上げ、それを各住居に送る方式のようでした。重力で水を送るので下の階は水圧が強いものの、高層階は水圧が強くなる前に家の水道にたどり着くため、シャワーなどの水圧が弱くなることが多いというのです。

そもそもそんな事聞いていなかった…。

営業担当者や管理会社の人にもどうにかならないかと聞きましたが、「どうにもならない」の一点張りでした。住む前にしっかり水圧を確認すべきでした。料理をするにも、お風呂に入るにもストレスがかかる毎日が始まりました。

もう一つ高階層で困ったことは、暑いことでした。とにかく暑いのです。引っ越した時は春先だったという事もあり、気にならなかったのですが、夏場になるにつれて、室内の温度が高くなることに気がつきました。エアコンを入れても中々涼しくならず、エアコンのパワーも上げざるを得ないので電気代もかなりかかります。

後から調べてわかったのですが、最上階は太陽光が屋根に当たり、熱が室内に伝わるので暑くなりやすいそうです。正直、陽当たりも良いのですが、こういった問題点がわかっていたら、ここのマンションを購入しなかった…と、Kさんは後悔していると教えてくれました。

■即決してからトラブルが起きても…

こういった問題は購入前から気づくことはできたのでしょうか? アルファホーム名古屋株式会社でマンションコーディネーターとして、不動産仲介もされている川本麻登さんにお話を伺いしました。

ーー水圧の問題に気づくことができたのでしょうか?また住んでから対処法はないのでしょうか?

マンション探しをされる時、多くの人は内装、マンションの眺望や外観などを意識して見るかと思います。なので、購入前に水圧をチェックするのを忘れてしまうという事は良くある事かもしれません。

なので、重要なのは自分が購入すると決めた時は、不動産の方に許可をとって、洗面、お風呂、トイレの水を流して見ることです。今回のKさんみたいに即決してしまい、こういったトラブルが起きてからでは遅いのです。

今回の部屋のような、重力給水方式をとっている古い高階層の部屋は対処するのは難しいかと思います。給水方式を変更するにはマンション自体の大規模な工事が必要になりますので現実的ではないでしょう。

ーー高階層は暑くなるのが普通なのでしょうか?

正確には最上階が、暑くなりやすいと思います。マンションの素材であるコンクリートは熱を伝えやすく、最上階の住戸は太陽の日差しをもろに浴びてしまいます。Kさんが購入した古いマンションだと断熱性能もあまり良くないかも知れませんね。なお、リフォームで断熱性能を高めることもできますので、調べてみてもよいでしょう。

◆川本麻登(かわもと・あさと)アルファホーム名古屋株式会社・マンションコーディネーター

(まいどなニュース特約・ヨシダ コウキ)

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