失われた昭和の街並み 和歌山・橋本市の中心街…10年で風景が一変 容赦ない“時代の流れ”に、驚きと哀愁が交錯

10年の間に和歌山県橋本市の街並みに起こった変化がX(旧Twitter)上で大きな注目を集めている。

「橋本2012→2021

先ほどの写真の反対側より。味のある吉兆も商店街のアーチもことごとく消滅。

左手のアパートとブロック塀は変わらず、同じ場所であることが分かりました。。。

2021年の写真はストリートビューより

和歌山県橋本市・2012年撮影」

と2012年と2021年のビフォーアフターを紹介したのは「昭和レトロ香ばしい町並み」アカウントの運営者で、今年9月に「昭和の商店街遺跡、撮り倒した590箇所」を出版した山本有さん(@koubashimachi)。

以前あったほんまち商店街の昭和然とした街並は失われ、跡地には何軒かの新しい住宅と駐車場が。過疎化やドーナツ化現象で、中心街の街並みが維持できなくなっている自治体が多いとは聞くが、それを目の当たりにするのはなんとも辛いものだ。

今回の投稿に対し、Xユーザー達からは

「去年、駅を降りて呆然としました。40年ぶりでしたけど。区画整理って、更地にしただけやん…」

「写真を拝見するだけですが、趣きと活気ある街並みがこうも殺風景(失礼ながら)になるものなんですね」

「懐かしの景色の消失は寂しい気もしますが、実用面考えれば、車も入ってこれなかったような地域に駐車場ができたというのは住民からしたら画期的なことでしょうね。土地や建物は個人の物だし、街は住民のもの。時代に合わせて変わっていくのは仕方ないかなと。」

など数々の驚きの声、惜しむ声が寄せられている。

■投稿した人に聞いた

山本さんに話を聞いた。

ーー橋本を訪れた経緯とその時の感想について。

山本:古い商店街を巡るのが好きで、橋本にかなりレトロな商店街があることを知って訪れました。ちょうど再開発の真っ最中で、アーケードの屋根は破れ、半分以上が更地となり、残された数少ない商店も閉店セールの真っ最中で、偶然にも「商店街そのものの店じまい」の訪問となりました。

ーーストリートビューを見たきっかけと感想を。

橋本:2023年9月に「昭和の商店街遺跡、撮り倒した590箇所」という本を出しまして、その中でこの商店街も取り上げておりました。最後に訪れたのは2012年ですが、いまどうなっているか気になりストリートビューで見ました。見たときは大変驚き、どこが同じ場所かすぐには分からなかったほどです。都会だけでなく地方も変化は激しく、やはり記録に残して行くのは大事だと感じました。

ーー投稿の反響は?

山本:地元の方からは懐かしむ声や、変化は防災面や利便性からやむを得ないとの声もありました。多くは変化の大きさに驚き、懐かしい風景が失われた事を惜しむ声が多かったですが、大きな街並みの変化への反響の大きと、失われ行く風景への関心の高さを感じました。

◇ ◇

こういった変化は橋本市のみならず全国で起こっているのだろう。地方の衰退を押しとどめる有効策が見つかっていない現状。せめて山本さんのように在りし日の姿を写真やレポートで残してくれる有志が増えることを願いたい。

なお山本さんは今年9月に著書「昭和の商店街遺跡、撮り倒した590箇所」を303BOOKSから出版。北海道から沖縄まで全国108箇所のレトロな商店街を豊富な写真で紹介したその道のファンにはたまらない一冊なので、ご興味ある方はぜひチェックしていただきたい。

(まいどなニュース特約・中将 タカノリ)

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