同居する猫のお尻をクンクン 保護された野犬の子犬 預かりボランティアの愛情を一身に受け賢く成長中
2023年4月、岡山県動物愛護センターにキョトンとした目が印象的な野犬が収容されました。生後2カ月ほどのまだ子犬で、「春」と名付けられました。
好奇心が旺盛で遊びと食べることが大好きな春でしたが、一方で、野犬のためか人間への警戒心が強く、ことさらビビる様子も見せました。まだ若く、柴犬のようなうす茶色の毛並みが美しいことから、岡山県動物愛護センターと地元の保護団体、NPO法人しあわせの種たち(以下、しあわせの種たち)は、里親募集をかけましたが、残念なことにこの期間中、里親希望者さんは現れませんでした。
■春の里親希望者は現れなかった
岡山県動物愛護センターでは毎日のように、行き場を失ったワンコが収容されます。その中で里親希望者さんが見つかったワンコは良いですが、そうでないワンコは、キャパシティの問題もあり、後には殺処分の可能性も出てきます。
多くの保護団体もこういった行き場を失ったワンコを保護し、世話を続けており、いつもいっぱいいっぱいの状態です。それでも1匹でも多くの命を救おうと、団体と付き合いのあるボランティアさんや、懇意の他団体とも連携し、できる限りの対策を取る団体もあり、本当に素晴らしいことだと思います。
しあわせの種たちでも、春の里親希望者さんが現れなかったことを受け、2023年夏、同団体の預かりボランティアさんがいったん引き取ることにしました。
■先住犬からの威嚇に怯えていた春
すでに春は生後6カ月となっていました。春を引き取ることになった預かりボランティアさんの家には先住犬がおり、当初の春は不安そうな表情を浮かべていました。
本来、元野犬は他のワンコとの協調性に長ける傾向がありますが、この家の先住犬はひとりっ子タイプで、ヤキモチ焼き。突然自分の家にやってきた春に対し、歯を見せて怒っていたからです。しかし、やがてこの家での春の存在が「当たり前」となってくると、先住犬は春に対して歯を剥くようなことがなくなり、むしろ「一緒に遊ぼうよ」と春を誘うようになりました。
また、この家には、他に先住猫と一時預かりの子猫が2匹いますが、初めて見るであろう猫たちに春は興味津々。攻撃をしかけることはなく、つい犬の習性で猫たちのお尻の匂いを嗅いでしまい、猫たちは少々迷惑そう。でも、こうやって少しずつ春が環境に馴染んでくれることに、預かりボランティアさんは喜びました。
■イケメンになってもヤンチャ盛りは変わらず
春は当初の幼さが抜けイケメンになり、散歩の前には玄関でお座りをして待つという賢さも見せてくれるようになりました。一方、まだまだヤンチャ盛りでイタズラが大好き。この点は、同年代のワンコにも見られる元気な証拠です。
今後は振る舞いもスマートなワンコに成長してくれることでしょう。しあわせの種たちでは、こんなにかわいい春を迎えてくれる優しい里親希望者さんを今日も募集中です。近い将来、春が幸せをつかむ日が訪れますように。
(まいどなニュース特約・松田 義人)