かわいくてお利口さんなのに 飼い主の勝手に振り回されたミックス犬 新しい家庭に迎えられ幸せを取り戻す
にっこり笑顔のかわいいワンコ。推定年齢5~6歳のオスで、フサフサした柔らかいベージュ色の毛が特徴的なミックス犬ですが、悲しい過去を経験したワンコでもありました。
2023年8月、飼い主から飼育放棄され埼玉県の動物愛護センターに収容されました。一定期間を過ぎても引き取り手がなく、このままだと殺処分の可能性が出てきます。愛らしいワンコの命を飼い主の都合だけで奪うなんて断じて許されない……そう考えた犬保護団体restartdog LIEN(以下、リアン)のスタッフは、迷わずこのワンコを引き出すことにしました。
■保護後すぐに体中の毛玉を取ってもらうことに
引き出した後、リアンのスタッフは「ダーマ」という名前をつけました。保護当初から人間が大好きな様子で自ら近寄ってきてくれるダーマでしたが、問題はその毛並み。ところどころに毛玉がゴッソリ付いており、異臭も放っています。明らかにきちんと世話をされてこなかった様子でした。
懇意のドックサロンへと連れて行き、トリミングをしてもらうことにしました。ダーマは体中を触られても唸るようなことはなく、落ち着いた様子でじっとトリミングが終わるのを待ってくれました。トリマーさんによって、頑固な毛玉をカット。体が綺麗になったダーマは、その表情がいっそう豊かになったようでした。
また、動物病院にも連れて行きました。少々やつれてはいるものの重篤な持病はなく、すぐに去勢手術を受けることになりました。この手術の際も、もちろんダーマは暴れることなくジッと耐えてくれていたそうです。
術後、リアンに所属する預かりスタッフの家で暮らすことになりました。この家には先住犬がいますが、ダーマは他のワンコとの協調性も十分で、ここでも終始ニコニコ。すぐに仲良く遊ぶようになりました。
預かりスタッフは「こんなにかわいくてお利口さんのワンコを、なぜ元の飼い主は遺棄したのだろう」と疑問に思いましたが、憤ってばかりいても、これからのダーマが幸せになれるわけではありません。ダーマの笑顔に引っ張られるかのように、「罪を憎んで人を憎まず」といった気持ちで世話を続けました。
■里親希望者さんや先住犬ともすぐに溶け込み正式譲渡
こんなにお利口さんのダーマなら、里親さん探しにそうは時間がかからないはず、と判断したリアンでは、間もなく里親募集をかけることにしました。数日後に「ぜひダーマを家族に迎えたい」という希望者さんが現れました。その人は以前にも多頭飼育を経験したことがあり、現在は1匹の先住犬がいるそうです。
とても優しそうな里親希望者さんだったので、スタッフはトライアルとしてダーマをこの方の家に送ることにしました。この家に着いた後、ダーマは持ち前の笑顔ですぐに溶け込み、部屋中を尻尾を振りながら楽しそうに探索したそうです。もちろん、先住犬との相性もバッチリ。後に正式に「ずっとの家族」として、この里親さんの元で暮らすことになりました。
もともとが笑顔いっぱい、元気いっぱいの穏やかな性格のダーマですが、スタッフは「この優しい里親さんの元で、さらに楽しいことが増えるといいな」と願いました。そして、このダーマの例を胸に、これからも1頭でも多くのワンコの命を救い続けたいとあらためて思いました。
犬保護団体restartdog LIEN
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(まいどなニュース特約・松田 義人)