生気が失せたクリクリの瞳 「また捨てられるの?」と鳴き続けたミックス犬 2世代同居のにぎやか家族の一員に「もう安心だよ」
クリクリの目と、くせ毛とクリーム色がかわいらしい、推定2~3歳ほどのマルチーズとトイプードルのミックス犬。その愛くるしい表情に気持ちがつい引っ張られてしまいますが、実は街中を彷徨っていたところを保護され、埼玉県の動物愛護センターに収容されるという辛い経験をしたワンコでした。
愛玩犬なので明らかに飼い犬ですが、動物愛護センターでは一定期間を過ぎても飼い主の名乗りがなく、おそらくは意図的に捨てられたのではないかと考えられました。このワンコの存在を知った犬保護団体restartdog LIEN(以下、リアン)では、この小さな命を救い、幸せな犬生へとリスタートさせてあげるべく、レスキューすることにしました。
■背骨やあばら骨が浮き出るほど痩せ細っていた
このワンコは後に「シャイン」と名付けられました。
愛くるしいルックスとは裏腹に、シャインの体は異臭を放ち、おそらく飼い主がきちんとした世話をしないまま遺棄されたことが考えられました。胸が苦しくなるリアンのスタッフでしたが、まずはその体を綺麗にするために、懇意のドックサロンへと連れて行きました。
毛には異臭が深く染みついていたため「いっそ丸刈りにしましょう」というトリマーさんの意見を受け、顔以外の毛をばっさり落とすことにしました。そしてシャンプーもしてもらい、綺麗になりましたが、シャインの体は背骨やあばら骨が浮き出るほどに瘦せ細っていたのです。まともにエサを与えられなかったのかもしれません。リアンのスタッフは「もう大丈夫だよ。一緒に元気を取り戻そうね」と優しくシャインに声をかけ、まずはたくさんのご飯を食べさせて、体力をつけてもらうことにしました。
■劣悪な環境で過ごしたことを想像させる言動
シャインはリアンに所属する預かりスタッフさんの自宅で暮らすことになりましたが、ここでのシャインは普通のワンコとはやや異なる言動を見せました。
預かりスタッフさんの家にいる先住犬のうんちを口にしようとしたり、オモチャを見ても遊び方を全く知らなかったり。さらには、預かりスタッフさんの姿が見えなくなると、キャンキャン鳴き続けました。以前の飼育環境では満足なエサを与えられることなく、食べられそうなものを口にしようとしていたのかもしれません。また、オモチャなどを使って遊んでもらうことがなかったのかもしれません。鳴き続けるその様子は「私、また捨てられるの?」「そんなのイヤだよ」と訴えかけているようでした。
預かりスタッフさんは、努めてシャインに声をかけ、たくさんのエサを与え、オモチャなどの遊び方も教えました。
■「シャインと一緒に暮らして大切に育てたい」
シャインは日に日に健康な身体を取り戻してくれました。まだ人の気を引こうとして甘噛みをしたり、ふとした瞬間におびえて鳴き続けることもありましたが、以前とは雲泥の違いです。リアンはシャインの里親募集をスタート。程なくして里親希望者さんが現れました。
その方の家は二世代同居で、優しく賑やかな環境とのこと。二世代同居なので、家から誰もいなくなることは極めて少なく、不安を抱きがちなシャインにはこの上なくピッタリの家庭でした。さっそくシャインはこの里親希望者さんの家でトライアルをスタートさせました。この家でも、興奮して鳴いたり甘噛みをすることがありましたが、それでも里親希望者さんは優しく、「シャインを幸せにしてあげたい。一緒に暮らして大切に育てたい」と言ってくれました。
シャインは、この優しい家庭で新たに「ニコ」という名前をもらい、幸せな第二の犬生を歩むことになりました。
ずっとお世話をした預かりスタッフさんも大喜びし、シャインにこう声をかけてあげました。「良かったね。もう不安がらなくて大丈夫だよ。優しい里親さんの元で、『ニコ』という新しい名前の通り、いつもニコニコ楽しい毎日を送ってね」と。
犬保護団体restartdog LIEN
https://ameblo.jp/liendog
LIENインスタグラム
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(まいどなニュース特約・松田 義人)