高架下の天井からか細い鳴き声 絶食状態の子猫を救え 呼び掛けた人、消防隊員、保護団体らの熱意が奇跡を生んだ
2023年6月、関西エリアのとある高架の真下(天井付近)に子猫がおり、降りられなくなっていました。どうしてこんな場所に子猫がいるのかはわかりませんが、万一落ちたら大けがをしてしまいます。目撃した人によると子猫は2日ほど前からここにい続けており、2日も絶食状態となれば、命に関わる危険もあります。
この子猫の存在を知った心ある人は、まず消防に通報。消防隊員が2度出動して保護を試みたものの、子猫は逃げ回ってしまい保護することができませんでした。
そこで助けを求めたのが、地元・関西エリアを中心に保護猫・ノラ猫専門のお手伝いをする団体「ねこから目線。」。すぐにレスキューに向かうことにしましたが、そこは人の手が到底届かない場所。「ねこから目線。」のスタッフは改めて、消防署を訪ね協力要請を依頼しましたが、すでに2度の出動で救出できなかったこともあり、すぐには動いてもらえなそうな様子。「どうしようもないときは、また改めて連絡をください」という心強い声がけをもらいましたが、いったんは「ねこから目線。」のスタッフだけで子猫の救出にトライしてみることになりました。
■高架下の不安定な網の上に確かに子猫がいた
子猫はいるという高架下の現場は、「ねこから目線。」所有のハシゴでは到底届かない場所でした。そして、その高架下に張り巡らせた網の上に確かに子猫がおり、自分の力では動けない様子で、必死に「ミャーミャー」と鳴いています。
先ほどの消防署の方の「どうしようもないときは、また改めて連絡をください」の言葉を頼りに、改めて救出要請を依頼すると、「目の前に子猫がいる」ということから、程なくしてかけつけてくれました。
消防署の方は、すぐにハシゴをかけ高架下に捕獲器の設置を試みてくれました。
しかし、この張り巡らされた網に穴を開けるわけにはいかず、すでに空いている穴から捕獲器を入れるしか方法がないため、子猫がいる場所から捕獲器までがあまりに遠いです。そして、網は想像以上にフニャフニャとたるんでおり、子猫が自分の足で歩き続けるのはかなり不安定な様子。救出まではさらに難航することが予想されました。
■「別の子猫の鳴き声」をスピーカーで流す作戦
「できることは全てやってみよう」と考えたスタッフは、捕獲器の方向から、スピーカーを準備。録音した「別の子猫の鳴き声」を流し、近寄ってきてくれることに期待しました。
数分後、子猫は「別の子猫の鳴き声」誘導され、捕獲器の方向へと向かって歩いてくれたのです。この時点でもうまく捕獲器が作動するか、そもそも捕獲器へ入ってくれるのかどうか、不安がスタッフの頭をよぎりました。
設置した捕獲器は、スタッフが目視できない場所におり、その後の子猫の動きは死角となって確認できません。子猫が捕獲器に入ってくれることをただただ祈るスタッフでしたが、かなりの時間が経過したところで、「カシャン」という、捕獲器が閉まる音が聞こえました。
救出を呼びかけてくれた心ある人たち、「ねこから目線。」スタッフの諦めない思い、消防隊員たちの連携した協力が奇跡を呼び込んだのです。
■多くの人たちの思いが奇跡を呼んだ
奇跡の救出を果たし、スタッフは救出に関わった全ての人に感謝を伝えた後、すぐに子猫を動物病院へ連れて行きました。幸い子猫の健康状態は、それほど悪いものではなく、ここでもまた奇跡が重なりました。
そして、その数日後、この子猫は、救出を呼びかけてくれた方が里親になることになり、子猫は無事幸せな第一歩を踏み出すことになりました。また、この救出劇にかかった費用は「ねこから目線。」を過去に利用したことがある方々からの「お釣りは猫に使ってね基金」から捻出したため、無償となりました。心ある方々からの支援金がこのように有意義な活動に充てられたというわけです。
「子猫の命を救うことができて本当に良かった」とスタッフは胸を撫で下ろすとともに、あの子猫にも「みんなの思いを受け取って、いつまでも幸せに過ごしてほしい」と願いました。
「ねこから目線。」
https://nekokaramesen.com/
(まいどなニュース特約・松田 義人)