甲子園球場がある西宮市 「西宮」が付く駅がやたら多かった 4駅連続の「西宮」の鉄道路線も
阪神タイガースが38年ぶりに日本一になりましたが、本拠地の阪神甲子園球場は兵庫県西宮市にあります。
野球の街という印象が強い西宮市ですが、実は「西宮」が付く駅名が意外と多いのです。現在、存在している「西宮」が付く駅はJRの西宮駅、西宮名塩駅、阪急の西宮北口駅、阪神の西宮駅が挙げられます。
昔は「西宮」が付く駅名がもっとありました。戦後に存在した「西宮」が付く駅を紹介します。
■西宮駅から400mしか離れていなかった西宮東口駅
最初に紹介するのは阪神本線にあった西宮東口駅です。西宮東口駅は西宮駅の東隣にあたり、西宮駅から400mしか離れていませんでした。隣駅がホーム端から見られる住吉~御影間の500mよりも短かったのです。
西宮駅は特急停車駅でしたが、西宮東口駅は普通列車しか止まりませんでした。2001年、西宮東口駅は廃止されることに。廃止の要因は高架化でした。
高架化に伴い、西宮駅駅舎が200m東に移動し、西宮東口駅は西宮駅に吸収される形で廃駅となりました。
現在、跡地は公園になり、西宮東口駅が存在したことを示す碑があります。
■「西」が二つも付く駅があった?
「西宮東口」駅の次に紹介するのは「西宮西口」駅です。西宮西口駅は阪神国道線にあり、1974年の国道線一部区間の廃止に伴い、消滅しました。もっとも国道線は国道2号線上を走る路面電車だったので、「駅」というよりも停留所に近い感じ。安全地帯はありませんでした。
現在、国道2号線には阪神バスが運行されていますが、「西宮西口」というバス停はありません。現在のバス停は「夙川」となり、最寄駅はJRのさくら夙川駅です。
あとは「西宮南口」です。阪神バスに「阪神西宮南口」バス停は存在しますが、残念ながら後にも先にも「西宮南口」駅は存在しませんでした。
■「西宮」が付く駅が4駅連続もあった
阪神国道線では西宮西口駅から「西宮戎」、「西宮札場筋」、「西宮駅前」の順に「西宮」と付く駅名が連続していました。興味深い駅が西宮駅前です。
同駅は阪神西宮駅前ではなく、国鉄西ノ宮駅(現西宮駅)付近にありました。阪神西宮駅の最寄駅は西宮戎駅であり、現在もバス停は西宮戎(阪神西宮駅北)となっています。
西宮戎駅は「十日えびす」で有名な西宮神社の最寄駅でした。また、阪神国道線の運行面でも重要であり、西宮戎駅折り返し列車も設定されていました。もっとも、行先板は「西宮」であり、昭和のおおらかさを感じます。
このように西宮市内の駅名を振り返ると、西宮市は「野球の街」だけでなく「鉄道の街」であることがわかります。
◆新田浩之(にった・ひろし) 1987年兵庫県生まれ。神戸大学大学院国際文化学研究科修了。関西の鉄道や中欧・東欧の鉄道旅行をテーマとした執筆活動を行なう。最新刊として2023年11月に「関西の私鉄沿線格差」を刊行。ブランドタウンを多く持つ路線は? 社寺や古刹が多い路線は? 沿線の平均家賃が高い路線は?…など、さまざまな視点から関西5大私鉄の「沿線」を徹底比較した。KAWADE夢新書。208ページ、979円(税込)。
(まいどなニュース特約・新田 浩之)