TNRを済ませた地域猫 周辺住民の嫌がらせを受け保護 優しい親子に迎えられた 「本棚の上がぼくのお気に入りの場所」
関西のある民家にやってきた1匹のオス猫。民家の優しい家主さんはこの猫を「ポン太くん」と名付けTNR(Trap-Neuter-Return:捕獲→不妊手術→元の場所に戻す一連の作業)を実施。その後もやってくるたびに世話をしていましたが、周辺住民からの嫌がらせを受けたことなどもあり、「このままではいけない」と思うようになりました。
家主さんはポン太くんを正式な家猫として迎え入れたいとも思いましたが、自身の体調がすぐれず通院・入退院の繰り返し。「ポン太くんをちゃんと幸せにしてくれる家を探すほうが良いだろう」と考えるようになりました。
■募集開始から半年後
里親募集の協力を仰いだのが、関西圏を中心に活動している保護猫・ノラ猫専門のお手伝い屋さん「ねこから目線。」。同団体の呼びかけでポン太くんの飼い主さん探しが始まりました。
ポン太くんは人馴れしているお利口さんです。健康状態も良いことから、スタッフは比較的早い段階で里親希望者さんが現れるだろうと当初考えていました。しかし、なかなか良い縁に恵まれず、時間だけが過ぎていく日々を送っていました。
気づけばポン太くんの里親募集をスタートさせてから半年が経過していましたが、そんなある日のこと、「ポン太くんを迎え入れたい」という里親希望者さんが現れました。優しそうな親子でした。面会したところ、ポン太くんは初めて見るこの親子を前に、少し緊張気味でした。それでも、里親希望者さんは「大丈夫です。ぜひ迎え入れたい」と言ってくれます。
スタッフはその言葉を信じ、いったんはこの里親希望者さんの家へ、ポン太くんをトライアルに出すことに決めました。
■見つけた「僕の場所」
里親希望者さんの家で過ごすようになったポン太くんは当初こそ緊張気味でしたが、間もなく環境に馴れ、自由気ままに部屋中を散策するようになりました。特に「僕の場所」として気に入ったのが本棚の上。この部屋では高い場所が好きになったようで、気づくとすぐこの場所に長居するようになりました。
ときには本棚の上から降りてきて、部屋中を大暴走する元気っぷりも見せるように。押入れの探検が好きな様子で、里親希望者さんが「ポン太くんが押し入れに入らない対策」をしても、スルリとくぐり抜け器用に入ってしまいます。
しかし、「そんな様子も猫らしくてかわいい」と里親希望者さんは優しく見守り、ポン太くんもその愛情を感じ取ったのか日に日に絆が深まっていくのでした。
ここまでのトライアルの経過を見て、スタッフはこの里親希望者さんの家に正式に譲渡することに決めました。里親希望者さんは、ポン太くんをそのまま名前「ポン太くん」として迎え入れてくれることになりました。
元々ポン太くんのお世話をしていた民家の家主さんも大喜び。この新しい環境で、ポン太くんの平穏な日常がこれからもずっと続き、末永く幸せであることを強く願いました。
「ねこから目線。」
https://nekokaramesen.com/
(まいどなニュース特約・松田 義人)