焦げ付きフライパン3520枚、味の素冷凍食品が本気の検証 餃子を張り付かずに焼くために…驚きの消費者の利用実態
ロングセラー「ギョーザ」を手掛ける味の素冷凍食品(東京都中央区)が、消費者からフライパンを集め、どうすればきれいに焼けるのか、研究を重ねている。発端は今年5月、SNSへのある投稿がきっかけ。「油いらないって書いてたじゃん!嘘つき!」。そんな文章とともに、フライパンにギョーザがこびり付いた写真が添えられていた。問題意識を持った同社は、研究のため消費者に呼び掛けた。「ギョーザが張り付くフライパン、見せてください」。すると、届くわ届くわ…。その数3520枚。フライパンから見えた消費者の利用実態、研究成果とは。
■着払いでフライパン送付呼び掛け
50年超の歴史を持つ「ギョーザ」。改良を重ね、水と油を使わず、誰でも羽根つき餃子を作れることを売りにしている。「本来張り付くということはあまり起こりにくいですが…。フライパンが劣化してくると、張り付きやすい傾向はあります」と戦略コミュニケーション部の勝村敬太さん。SNSに投稿されたフライパンを見て思ったのは、「どんなレベルのフライパンを使っているのだろう」。素朴な疑問は社内でも広がり、生活者のみなさんにフライパンを着払いで提供してもらえるように呼び掛けた。
集まった荷物は3000個以上。「箱を開けたら3つ4つとたくさん出てきて。黒焦げのフライパンに中華鍋、卵焼き用、ミニサイズ…。中には、手紙が付いたものも多数あった。「5年、10年使っていました、とか。思い出があって捨てられませんでした。だけど、味の素さんが研究に使ってくれるんだったら、この機会に送ります、という内容も。大切なものをお預かりしたなという気持ちになりました」
■みんな頭を抱えております…
フライパンは研究所に送り、張り付き具合をテスト。今は500枚ほど進んでいるという。「見た目は傷だらけだったり、フッ素加工が剥がれたりしていても、パッケージに記載の調理方法で検証すると、きれいに焼けるフライパンがあったり、見た目がきれいでも、しっかり張り付くものもあって。カオスな世界で…見た目と焼いた結果が比例せず、みんな頭を抱えております」。フライパンを集めたニュースが大々的に話題になったため、「味の素はフライパン屋になったのか、と言われたこともありますが…」と笑う。
現在、コーティングが剥がれたフライパンで調理をする場合は「大さじ1程度の油をひく」または「弱火で10分蒸し焼きする」のいずれかで張り付きが改善できることを提示している。しかし今回、フライパンを集めたことで、火加減や調理方法に個人差があることも想像もできた。「ギョーザの改良ができれば一番よいですが、きれいに焼ける方法のアドバイスなど紹介ができればいいなと思っています」
進捗状況は随時、プロジェクトサイト内のnoteなどで紹介している。
https://www.ffa.ajinomoto.com/enjoy/frypan
(まいどなニュース・山脇 未菜美)