網戸を破って屋外へ 元さくら猫のライムを探せ チラシ&カメラ作戦で狭まる包囲網
2023年6月、関西のとある民家から、網戸を破って飼い猫が逃げ出してしまいました。名前はライムくん。推定3~5歳ほどの元さくら猫で、長いしっぽが特徴の元気なオスです。
しばらくの間は、飼い主さんが畑を耕すための用具庫の中に一時潜んでいたようで、飼い主さんが農作業をしようと用具庫に入ると、ライムくんが慌てて顔を出し猛ダッシュで飛び出していきました。
TNR済みのさくら猫で、外の散策には馴れているはずですが、それでも事故やトラブルに巻き込まれる可能性があります。飼い主さんは念入りに周辺を探し歩きましたが、なかなか足取りをつかむことができませんでした。
そこで関西圏を中心に活動をする保護猫・ノラ猫専門のお手伝い屋さん「ねこから目線。」に捜索を依頼。同団体スタッフは、まずこの民家を訪ね、周辺の様子を調査することにしました。
■「見かけない猫がうちの前を通る」
飼い主さんによると、ライムくんが一番最後に逃げ込んだ先は、住宅の間の左右にある水路とのこと。スタッフは「確かに行きそうだな」と考え、近隣住民に協力を仰いだ上で、水路周辺に複数のカメラを設置。並行して捜索を呼びかけるチラシを、近隣にポスティングすることにしました。
しかし、カメラに映るのはこの地域で暮らす別のさくら猫ばかり。肝心のライムくんの姿はありません。スタッフはカメラの位置を変えながら、捜索を続けました。
そんな矢先、チラシを見た方から連絡が入りました。この方は「見かけない猫がうちの横を通っているけど、このチラシのような柄だった」と有力情報を寄せてくれました。
「もしや?」と思ったスタッフは、この方の家の付近を見回ることにしました。すると、その目の前を何かが走っていきました。逃げ込んだ先を見るとなんと、お目当てのライムくんらしき猫の姿がありました。
■無数の蚊に刺されながらライムくんの登場を待つ
追えば逃げるのが猫の習性です。情報をくれた心ある人にカメラ設置の許可をもらい、エサを近くに用意し、いったんは撤収しました。
翌日、カメラを確認すると、間違いなくライムくんがエサを食べる様子が映し出されていました。スタッフが撤収した数時間後に来ていた様子もわかり、この日の晩に捕獲を決行することにしました。
すでに蚊が飛びまわる季節になっていました。かゆみに耐えながら、ライムくんが現れることを待ち続けました。願いが通じたのか、程なくしてライムくんが登場し、無事に保護することができました。
「さらに時間がかかっていたら、もっと蚊に刺されていたはず(笑)」と笑うスタッフでしたが、協力してくれた方には、「快く協力してくださり、本当にありがとうございました」と心からお礼を言いました。
■お母さんの手からエサをバクバク
ライムくんは無事に飼い主さんの元へと帰ることができました。家を出てから10日前後が経過しており、満足なものを口にできていなかったであろうライムくんは、飼い主さんの家のお母さんの手からエサを美味しそうに食べていたそうです。
スタッフは「本当に無事で何よりでした。飼い主さん、ライムくん本当にお疲れさまでした」と伝えるとともに、今後も保護猫やノラ猫たちの命の手助けを続ける思いを、改めて胸に強く抱きました。
「ねこから目線。」
https://nekokaramesen.com/
(まいどなニュース特約・松田 義人)