あおり運転をされた…その時「どうすれば?」 確認しておきたい対処法

ニュースなどでよく見聞きする「あおり運転」。実際に遭遇したときはどのように対処すればよいのでしょうか。できれば普段からあおり運転を受けないような対策も取っておきたいところです。

■あおり運転の定義

いわゆる「あおり運転」は法律上「妨害運転」と呼ばれており、追突しそうな距離で後ろから追い回したり、前を低速で走って走行を邪魔したりといった悪質かつ危険な行為を指します。具体的には、以下のような違反が「妨害運転の対象となる違反」として定義されています。

・通行区分違反(対向車線へのはみ出し)

・急ブレーキ禁止違反(危険回避以外のための急ブレーキ)

・車間距離不保持(前走車に過剰に接近)

・進路変更禁止違反(急な進路変更)

・追越し違反(危険な追い越し)

・減光等義務違反(嫌がらせ目的でのパッシングやハイビーム)

・警音器使用制限違反(不必要なクラクション)

・安全運転義務違反(妨害目的での蛇行や幅寄せ)

・高速自動車国道最低速度違反(妨害目的での低速走行)

・高速自動車国道等駐停車違反(非常時を除く高速での駐停車)

加えて、例えば殴る蹴るなどの行為をした場合には暴行罪や傷害罪にも問われるなど、道交法違反以外の罪に問われる場合もあります。

■刑罰と違反点数

妨害運転に対する罰則は、その危険度によって2段階に分かれています。

・妨害運転(先述10類型が対象となる違反)

・妨害運転により著しい危険を生じさせる

それぞれの場合で、以下のように非常に思い刑事罰(懲役・罰金)や行政罰(違反点数・免許取り消し)が科されます。

 【妨害を目的とした運転】

▽刑事罰

3年以下の懲役

または50万円以下の罰金

▽行政罰

違反点数25点

免許取り消し(欠格期間2~5年)

【妨害運転で著しい交通の危険を生じさせる】

▽刑事罰

5年以下の懲役

または100万円以下の罰金

▽行政罰

違反点数35点

免許取り消し(欠格期間3~10年)

■あおられないための予防策

妨害運転罪の制定によりあおり運転がなくなれば良いのですが、未だにあおり運転による事故は起きています。あおり運転されないためにも、以下の4つの予防策をとるのがお勧めです。

・事前にドラレコやステッカーを準備

・周りの走行スピードに合わせる

・追い越し車線の走行は必要最低限に

・「挑発」だと取られる運転は避ける

▽予防策① ドラレコやステッカーなど対策グッズを活用

あおり運転予防グッズを事前に用意しておくと、あおり運転に遭った時にも慌てずに対応ができます。代表的なグッズとして、以下のようなものがあります。

・「録画中」「ドライブレコーダー搭載」などのステッカー

・ドライブレコーダー

・車載ハンズフリーキット

この3つが揃えば、ステッカーであおり運転を予防し、ドライブレコーダーで証拠を残し、車載ハンズフリーキットでスムーズに通報することができます。特に忘れがちなのがハンズフリーキット。「運転に必死で電話できない」「携帯が見つからない」ということがないように、普段からハンズフリーキットに電話をセットしておくと安心です。

▽予防策② 周りの走行スピードに合わせる

あまりに低速で走っていて周りの走行の妨害をしてしまうと、それに苛立ったクルマからあおり運転を受ける可能性があります。高速道路では法定最低速度が時速50kmに設定されている通り、あまりにスピードが遅いと却って危険です。そのため、周りのスピードに合わせた走行を心掛けましょう。

▽予防策③ 追い越し車線の走行は必要最低限に

「追い越し車線で邪魔をされた(と思った)」というのも、あおり運転をした人がよく口にする理由です。

だからといってあおり運転が許される訳ではありませんが、そもそも追い越し車線は「追い越しを目的にする時にだけ」走行することが認められている車線です。交通ルールの観点からも追い越し車線の利用は必要な時だけにし、追い越しを終えたら左の車線に移るようにしましょう。

また後ろから自分より速い速度でクルマが走ってきたときは、邪魔しないように早めに車線を譲るのも重要です。

▽予防策④ 「挑発」だと取られる運転は避ける

あおり運転をした理由を聞くと、非常に些細なことを「挑発や嫌がらせだと感じた」と答える人も多いです。

特に急な車線変更は「割り込んだ」と思われる可能性もありますし、急ブレーキや急アクセルも「嫌がらせだ」と解釈される可能性もあります。

些細なきっかけから執拗なあおり運転に繋がったケースもありますし、そうでなくても急な車線変更やアクセル・ブレーキは危険です。安全に走行するためにも、余裕を持った運転を心掛けましょう。

■あおり運転に遭った時の対処法

あおり運転に遭ったら、それぞれの状況ごとに以下のように対応しましょう。どの場合にも、決して高速道路上でクルマを停めたり、クルマから降りたりしてはいけません。身の危険を感じたら、ためらわずに110番をしてください。

▽割り込みをされた

割り込みをされたら、ゆっくりと減速をして車間距離を保つようにしましょう。その後で特に何もされなければ、単に「マナーが守れない人」「運転が苦手な人」でしょうから、気にしなくてよいでしょう。

急な割り込みをされた時など「イラっ」とすることもあるでしょうが、車間距離を詰めてはいけません。相手を挑発してしまう可能性があるだけでなく、自分があおり運転をする側にもなってしまいます。

▽急ブレーキを踏まれた

もし前を走るクルマが、必要もなく急ブレーキを踏んでくる場合には「嫌がらせ」目的だと考えていいでしょう。

そういう場合には、できるだけ早くそのクルマから離れるのが得策です。

一般道を走っているのであれば、どこかで曲がってそのクルマから離れるか、あるいは人目があるところで一時停車すると良いでしょう。停車する前には、ドアの鍵がかかっていることを確認してください。

高速道路を走っている時は、次のサービスエリアやパーキングエリアに入ってやり過ごしましょう。もしサービスエリアやパーキングエリアを出たところで待ち構えていた時は、すぐに警察に通報してください。

▽追いかけ回された

追いかけ回された場合など、後ろを走るクルマからのあおり運転をされた場合はすぐに通報しましょう。サービスエリアに入るなど「何とかやり過ごそう」と思っても、付いてきてしまう可能性があるからです。

止まらないのが基本ですが、信号のように「止まらざるを得ない」場所ではドアに鍵をかけてください。人目があるところを目指し、可能なら警察署や交番に向かうと良いでしょう。

(まいどなニュース/norico)

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