夫「自分で家を作る!」→窓ゆがみ、床には隙間…「味が出たね」「いや失敗だよ!」夫を信じた私がバカでした…
ハウスメーカーや職人さんに家づくりを依頼するのではなく、自分の手で家を作り上げる「セルフビルド」にチャレンジしたい方がじわじわと増えています。
建築基準法や関連施行令に準拠すること、電気工事など一部専門資格が必要な工事は外注すること…などなど注意点はたくさんありますが、「家そのものを建てること」は資格がなくても可能です。セルフビルドを支援してくれる施工会社や途中経過を公開してくれるSNSなどもあり、インテリアのDIYだけでなく家づくりのDIYに関する情報にもアクセスしやすくなっています。
しかし、その一方で「家づくりDIY」には失敗も付きもの。セルフビルドをやりたい本人は失敗も受け入れられますが、一緒に暮らす家族はそうもいきません。
Aさん(関東在住、40代、パート)はもともと地元工務店で新築一戸建てを購入するつもりで、親戚から古家付きの土地を安価で譲り受けました。
幸い手元の貯金で賄える額だったため、ローンを組むことなく土地を購入、ゆっくり時間をかけて工務店やハウスメーカーを探す予定で検討していたそうです。
ところがAさんの夫、Bさんが突然セルフビルドの家づくりがしたいと言い始めました。
「今の古家、土地はしっかりしているし基礎と柱は法改正後の耐震基準で作られているからまだ使えるって。間取りは変えられるし、セルフビルドでリフォームしたら、ローン組まずに新しい家が作れるよ!」
Aさんは正直なところハウスメーカーできれいなお家を建てたい……と思ったそうですが、仕事と子育てに忙しく、すぐにハウスメーカー探しに着手できそうにもなかったため、そのまま夫のセルフビルドを見守ることになりました。
■作ってるっていうか壊してる……
セルフビルドの解説本を買い込み、SNSでいろいろなセルフビルド体験者の記録を読んでやる気満々のBさんは「躯体以外は全部イチからやり直そうと思う!」と宣言。片っ端から設備や壁を解体していきます。
はじめのうちはどんなことをするのか気になったAさんも週末には顔を出して片付けの手伝いをしていましたが「あっ、これはとっちゃいけなかった……?」「わあ窓の桟がゆがんだ!」などの声を聞くたびに怖くなってきました。
■それは「味がある」じゃなくて失敗です(怒)
それでもゆっくりと作業は進み、壁や床も少しずつ新しくなっていきます。しかし、いくら時間をかけてじっくり取り組むといってもそこは素人仕事、なかなか思った通りには行きません。
フローリングは隙間があき、漆喰風のぬりかべはあちこち凸凹があり、キッチンのタイルはゆがんで斜めに……。「いやあこういうのがセルフビルドの味だよね!!」懲りないBさんに思わず「いやそれは失敗レベルだからやり直して?」と言って“険悪ムード”になったことは1度や2度ではないそうです。
■何でもかんでも貰い物やゴミですまそうとしないで
「ローンを組まずに家を建てる」と宣言したせいか、とにかくお金を使わない方向で考えるBさん。
「まだ替えて5年の畳をフローリングにする知りあいがいるから畳もらってくる」「ラーメン屋が閉業するらしい。キッチンの作業スペースにステンレスの棚をもらってこようかな」「発注ミスして余ってるタイル安く譲ってもらえる!色は選べないけど」……などなど、お金をかけないDIYに振り切っているそうです。
「トータルバランスというか、コーディネートっていう概念を無視している気がするんですよね」……確かに、その可能性は否定できません。
■いつできるの?「一生かけてつくるんだよ!」もう限界!!
実はAさん&Bさん夫妻の家づくりはまだ現在進行形。現在は社宅扱いの借り上げ住宅にお住まいですが、来年には家賃補助の負担額が上がる予定。しかし、正直なところセルフビルドは週末にBさんが一人で細々と取り組んでいるため、まだまだ人の住める状態にはなっていないそうです。
「いつ引っ越しができそうなの?」と尋ねたAさんに「引っ越そうと思えばいつでも引っ越せるよ!とりあえず一部屋は床も貼ってるし、トイレはあるから!DIYはね、一生かけて家に手を入れていくからこそ楽しいんだから!一生未完成だね!!」と明るく答えるBさん。
満足のいくマイホームが建ったら、またあらためてお話を伺わせていただく予定です……。
(まいどなニュース特約・中瀬 えみ)