『ブギウギ』スズ子の“熱烈ファン”から恋の相手に!?…水上恒司演じる愛助の魅力 起用の決め手は「真っすぐさ」と「いい意味での泥臭さ」
今週放送中の『ブギウギ』(NHK総合)第11週「ワテより十も下や」から、スズ子(趣里)の熱烈なファンを名乗る大学生・村山愛助(水上恒司)が登場している。演芸業界最大手である村山興業の跡取り息子である愛助は、幼い頃からエンターテインメントに親しみ、将来は欧米からも意匠を取り入れた新たな興行を立ち上げたいと夢見ている。
スズ子と楽団の面々が愛知県に巡業した際に知り合った2人は、東京に戻ってからも会い、会話を重ね、しだいに心を通わせ合うようになる。本日12月14日放送の54話ラストシーンでは、愛助がスズ子に「僕と恋人になってください。歳の差なんて関係あらへん。僕は、福来さんのことが好きです」と、愛の告白をした。そんな愛助と、演じる水上恒司の魅力について、制作統括の福岡利武さんに聞いた。
■スズ子らしい恋愛を描きたい
「スズ子と愛助の関係性は、笠置シヅ子さんの実話をベースにしてはいますが、『史実がそうだから、そうなっていく』というような考え方とは別の作劇を試みました。週タイトルでは『十も下や』となっていますが、実際は9歳年下の愛助が、スズ子に惚れ込む理由をしっかり作っていきたかったんです。そして(日本のエンターテインメントの発展を願う)愛助の『夢』も大事にして描こうと思いました。スズ子と愛助のなれそめは、9歳年下であるとか、出会いのきっかけが『熱烈なファン』だとか、当時としては珍しいものかもしれませんが、『ブギウギ』らしい、スズ子らしい恋愛をしっかり描きたいと願って作りました」
■水上恒司の持つ古風で、いい意味で泥臭い「真っすぐさ」が愛助に見事にはまった
また、愛助役への水上恒司の起用の理由については、こう語る。
「水上さんには、大河ドラマ『青天を衝け』(2021年)で渋沢平九郎という役を演じていただきました(※編註 『青天を衝け』出演当時の芸名は岡田健史)。役が決まってから水上さんは、平九郎に関連する本を読み、平九郎の墓参りに行き、平九郎が歩いた道を歩いたそうです。『彼がどう思ったのかを少しでも感じたくて』と、熱心に取り組んでいるのがとても印象的でした。役作りのしかたが古風というか、いい意味で泥臭いというか。
平九郎が亡くなるシーンは夜中の撮影になったのですが、彼の死を見届けようと、たくさんのスタッフが残っていました。水上さんの人柄がそうさせるんですね。すごい役者さんだなと思いました。いつかまた、何かでご一緒したいなと思っていたところ、『愛助役をどうしよう』というタイミングになり。愛助は、純粋にスズ子のファンで、エンターテインメントが大好きで、真っすぐな男。愛助の真っすぐさと、水上さんの持つ真っすぐさがうまくリンクすればいいなと期待していたところ、見事にはまりました」
■スズ子と愛助、趣里と水上恒司の「意外な共通点」
内側から湧き出る「真っすぐさ」が、愛助が登場して4話目にしてすでに大いに感じられるが、水上の撮影現場での様子はどうなのか。さらに福岡さんは続ける。
「水上さんは、愛助として『スズ子のステージを見て感動するというスタートが大事だと思うんですよね』とおっしゃっていました。愛助は、梅丸少女歌劇団のころからずっとスズ子のステージを観てきたという設定なので、撮影に入る前に前半のステージの映像を渡して観てもらいました。さらに、撮影現場でスズ子のステージを生で観たら、『めちゃくちゃ良かった! 最高でした! 世界一や!』『観てると元気になる!』と、テンション高く絶賛されていて。趣里さんのステージでの表現力をしっかりとリスペクトされて、それがそのまま『愛助らしさ』の説得力となって出ているのではないかと思います。
また、愛助という役に対する思い入れが大変強く、撮影に入りたての頃はとても緊張して『手汗がすごかったです』とおっしゃっていました(笑)。その後は現場でも趣里さんと頻繁にコミュニケーションをとって、しだいに息ぴったりに。ちなみに、スズ子と愛助は9歳差で、趣里さんと水上さんも9歳差なんです。そんな偶然も不思議で、ご縁を感じます。素晴らしい愛助になっていると思いますので、ぜひ楽しんでいただければうれしいです」
54話では、村山興業東京支社長・坂口(黒田有)による“横槍”が入り、2人の恋の行方に暗雲が垂れこめる。愛助の告白に、明日の55話でスズ子はどんな答えを出すのだろうかーー。
◇ ◇
『ブギウギ』
【出演】趣里 水上恒司/草彅剛 蒼井優 菊地凛子 生瀬勝久 小雪 水川あさみ 柳葉敏郎 ほか
【主題歌】「ハッピー☆ブギ」中納良恵 さかいゆう 趣里
【脚本】足立紳 櫻井剛
【音楽】服部隆之
【語り】高瀬耕造(NHK大阪放送局アナウンサー)
【放送時間】
▽NHK総合
毎週月曜~土曜 前8:00~8:15/(再)後0:45~1:00(※土曜は一週間を振り返り)
毎週日曜(再)前11:00~11:15
翌・月曜(再)前4:45~5:00(※日曜、翌・月曜は、土曜版の再放送)
▽NHK BS・NHK BSプレミアム4K
毎週月曜~金曜 前7:30~7:45
毎週土曜(再)前9:25~10:40(※月曜~金曜分を一挙放送)
(まいどなニュース特約・佐野 華英)