元乃木坂キャプテン・秋元真夏 名字のルーツ 「あきもと」は「もと」を「元」と書く人が多い不思議
今年初めに乃木坂46を卒業した、元キャプテンの秋元真夏。卒業後もドラマやバラエティ番組で活躍している。
「~もと」という名字は、「山本」「松本」「橋本」「坂本」など、ランキングの上位にたくさん入っている。
これらの「~もと」という名字は、鹿児島県でこそ「山元」「松元」「橋元」「坂元」と書くが、一般的には「~本」と書くことが圧倒的に多く、「~元」はあまり多くない。そうした中、メジャーな名字の中で唯一「元」と書くことが多いのが「秋元」である。
「あきもと」は「秋元」「秋本」ともに1000位以内というメジャーや名字だが、「秋本」が900位台なのに対して、「秋元」は500位以内、実際に名乗っている人数をみても「秋元」は「秋本」の2倍以上と大きな差がある。
そもそも、「~もと」という名字は地形由来の名字である。「~もと」とは「ふもと」「たもと」を表し、「やまもと」は「山のふもと」、「まつもと」は「松の木のたもと」、「さかもと」は「坂のふもと」に住んだ人が名乗ったものだ。従ってそのルーツとなった場所は各地にあり、「本」という漢字を使用することが多かった。
では「秋元」のルーツは何だろうか。他の「~もと」と同じように「秋のふもと」と考えると意味がわからない。実は「秋元」という名字は地名に由来している。
ルーツの地は上総国周准(すえ)郡秋元郷、現在の千葉県君津市の東部で、マザー牧場の近く。南北朝時代にはすでに見える古い地名で、藤原北家で宇都宮氏の一族がここに住んで秋元氏を名乗ったという。戦国時代は、同地にある小糸城に拠って里見氏に仕える国衆の秋元氏がいた。
江戸時代の上野館林藩主秋元家もこの秋元氏の子孫と伝えるなど、「秋元」はここをルーツとするものが多い(秋元地名は他にもある)。
さて、現在最も「秋元」が多いのは青森県で、青森市以西の津軽地区に集中している。なかでも、つがる市の旧稲垣村に多い。また、秋田県北部にも多く、能代市や北秋田市の旧森吉町に集中している。
関東では、栃木県北部や千葉県西部に多く、とくに栃木県那須塩原市や千葉県流山市に集中している。
◆森岡 浩 姓氏研究家。1961年高知県生まれ。早稲田大学政経学部卒。学生時代から独学で名字を研究、文献だけにとらわれず、地名学、民俗学などを幅広く取り入れながら、実証的な研究を続ける。NHK「日本人のおなまえっ!」にコメンテーターとして出演中。著書は「47都道府県名字百科」「全国名字大事典」「日本名門名家大事典」など多数。