4800万円の注文住宅「とにかく明るいリビングを」が裏目に…150万円で設置した自慢の大型窓をめぐり後悔  

リビングは光を多く取り入れて、明るい部屋にしたいもの。開放的な大きな掃き出し窓は、誰もが取り入れたいと思うのではないでしょうか。ただ、ただ、窓は大きければ大きいほど、断熱性やプライバシー性が悪くなります。家ができてしまえば、後から取り替えるのは難しい部分ですし、慎重にプランを検討しないと、後から後悔してしまう可能性もあるかもしれません。

■こだわりの注文住宅

2人の子ども(長女3歳、次女1歳)と都内の会社に勤める夫と4人で暮らすSさん(30代、化粧品メーカー事務員)。長女が幼稚園に入園する前にマイホームを購入したいと考え、昨年の冬ごろに都内へのアクセスも良い埼玉県に4800万円で注文住宅を建てました。

注文住宅を計画するにあたり、特にこだわったのはリビングです。家族が集まる場所なので、常にきれいを保てるような収納力を用意するとともに、日当たりの良さを考えて計画しました。

住宅街のため、敷地はあまり大きくないものの、南側には遮る建物がないため日当たりが良いのが特徴でした。それを生かして、南側には憧れの天井までの高さの掃き出し窓を設置しました。オプションで150万円ほどかかりましたが、賃貸マンションのころから大きな窓のあるリビングで暮らしていたこともあり、これだけはSさんがこだわりたいポイントでした。

生活してみると冬でもリビングは暖かく、暖房器具の使用頻度も減って、賃貸マンションで暮らしていたころより光熱費も少しお得になりました。戸建てに引っ越してからは子どもたちも明るいリビングでのびのび遊べて、新しい生活に大満足していました。

■夏がはじまる頃に

そんな生活が半年経った5月半ばごろ。その日は休日で、天気が良く、夏の暑さと天気予報では伝えられました。

昼ごろまで家事をしながら夫や子どもたちとリビングでゆったり過ごしていたところ、南側の大きな窓からの日差しが強く、窓もカーテンも開けて過ごしていましたが、耐えられなくなりました。

子どもたちも暑がり始めたので、仕方なくエアコンをつけることに。近年夏が更に暑くなるなど、気候の変化があるとはいえ、5月にエアコンをつけることには少し抵抗がありました。

この時以来、まだ5月中だというのにエアコンが必要なことが増え、日によっては風のない家の中より、外の方が涼しいと感じることもあるように。明るいリビングにしたいと南側に大きな窓を設置したつもりでしたが、窓からの日差しがあまりに強く、日中はカーテンを閉めて過ごすことも多くなりました。

冬は暖かくて快適だったのに、「5月でこんなに暑いなんて、真夏はどうなってしまうんだろう…」。予想外の展開に、Sさんは不安になりました。

■大きな窓への不安

6月に入ると雨の日が増え、日差しがない分少し暑さが落ち着くので、部屋の中で快適に過ごせました。梅雨に入ってからは台風の予報もちらほら見られるようになり、埼玉県でも強風の日が2日続きました。

外の風の音を気にしながらリビングで子どもたちと過ごしていると、すぐ近くで大きな物音が…。外を確認しに行くと近所の空き家の外壁が一部剥がれ、家のすぐ近くまで飛んできていました。

それを見たSさんはゾッとして大きな窓の側で遊んでいる子どもたちを、窓から離れた場所へ移動させ、シャッターを閉めました。

憧れの大きな窓は、夏は暑くて、台風などの災害時には割れそうで、不安なものとなってしまいました。

また、7月になるとエアコンは必須に。おしゃれ重視で選んだリネンのカーテンでは遮熱が弱いため、シャッターを閉じて過ごすようになりました。

賃貸マンションのころは上階のバルコニーが屋根となり、部屋の中に直射日光が入って暑くなることはありませんでしたが、今は窓の上に短い庇があるだけです。

光を取り入れることを重視するあまり、遮ることについて疎かになってしまったとSさんは反省しています。

   ◇   ◇

「日当たりがいいこと、窓が大きいこと=良いこと」というイメージだったSさんは、夏がこんなに大変になるとは想像もしていなかったようです。このような問題を防ぐことはできるのでしょうか。アルファホーム名古屋株式会社で勤務しており、注文住宅の提案もしている川本麻登さんに聞きました。

■シェードを付けるなど、日光を遮る工夫を

ーー窓からの日光を防ぐためにはどうしたらよかったのでしょうか?

南向きの大きな窓は確かに素敵ですが、日の入り方や外からの目線などを、計画の際に気にする必要があります。窓自体の大きさの調節をしたり、庇を大きく取ったりできると良かったですね。また可能であればサンルーフを設置することで日差しを遮ることもできます。

ーーSさん場合、窓の大きさや庇はもう変えられないし、サンルーフも設置できるような広さはありません。もうどうすることもできないのでしょうか…?

なかなかお家を建ててしまってからは難しいですよね。そんな時は、シェードを付けたり、植物の緑のカーテンを付けて温度を下げる方法があります。

シェードならホームセンターでも購入ができて手軽ですよ。また、外にスペースがなかなか取れない場合は、カーテンを遮熱のものに変えたり、ブラインドを設置して角度で日光を遮るようにするといいと思います。

◆川本麻登(かわもと・あさと)アルファホーム名古屋株式会社 マンションコーディネーター

(まいどなニュース特約・ヨシダ コウキ)

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